漢字の大海
H23年度第2回
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houji
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(一)読み
- 瑇瑁の簪を挿している。
- すでに擣碪の音も絶えた。
- 国の未来を謬らせる荼毒となる。
- 園内の雑草を芟除する。
- 各地の反乱を悉く戡定した。
- 援軍もなく糧餉も尽きた。
- 大小無数の冢塋を見る。
- 俊彦を求めて後人を啓迪せしめる。
- 文章を吟味して贅肬を刪る。
- 文字と思しき楔状の刻印が認められる。
- 蓖麻を栽培して油をとる。
- 農民たちは翕然として一揆を結んだ。
- 闃寂とした夜の巷を歩む。
- 古人の意を知って説懌する。
- 同異を剖析し、是非を甄別する。*1
- 群鳥胙余を幸いに云う。*2
- 童奴は哂笑し妻子は詈る。*3
- 杲乎として天に昇るが如し。*4
- 鴻雁翔天の翼あれども栩栩の捷なし。*5
- 宮廷の花木嬋妍として朝暾に媚ぶ。
- 袖口の綻びを絎ける。
- 鸛は高木の樹頂に営巣する。
- 何か攫んだようだ。
- 憖知っていたが故に迷いが生じた。
- 人々の願望が神話を孚んだ。
- 錺職は幾種類もの鏨を使う。
- 訐きて以て直と為す者を悪む。*6
- 夫婦驩ばざるを得ず。*7
- 燠かなれば即ち趨く。*8
- 白浪天を掀げ尽日風吹く。*9
*1:(原文)異なれる境遇における異なれる経験より獲得せる極めて多くの異なれる事理を彙集し、同異を剖析し、是非を甄別し、もって至大の道理に帰趨するは、真を極むるの要道なり。『真善美日本人(著:三宅 雪嶺)』
*2:(原文)自唐夔州刺史李貽詩已云「羣烏幸胙餘」矣。『入蜀記 巻六(著:陸游)』
*3:(原文)童奴哂笑妻子罵, 一字不給饑寒驅。『少年行贈袁養直(著:戴表元)』
*4:(原文)杲乎如登乎天。『管子 内業 第四十九篇』
*5:(原文)鴻雁翔天の翼あれども栩々(くく)の捷なく、丈夫千里の才あって里閭(りりょ)に栄少し、十銭時にあわず銅貨にいやしめらるなぞと、むずかしき愚痴の出所はこんな者と御気が付かれたり。『突貫紀行(著:幸田 露伴)』
*6:(原文)曰。賜也亦有悪乎。悪徼以為知者。悪不孫以為勇者。悪訐以為直者。『論語 陽貨 第十七(著:孔子)』
*7:(原文)君臣不得不尊,父子不得不親,兄弟不得不順,夫婦不得不驩,少者以長,老者以養。故天地生之,聖人成之。『荀子 大略篇第二十七(著:荀子)』
*8:(原文)饑則附、飽則颺、燠則趨、寒則棄。人情通患也。『菜根譚 前集144項(著:菜根譚)』
*9:(原文)青苔撲地連春雨,白浪掀天盡日風。『(漢詩)風雨晚泊(著:白居易)』
*2:(原文)自唐夔州刺史李貽詩已云「羣烏幸胙餘」矣。『入蜀記 巻六(著:陸游)』
*3:(原文)童奴哂笑妻子罵, 一字不給饑寒驅。『少年行贈袁養直(著:戴表元)』
*4:(原文)杲乎如登乎天。『管子 内業 第四十九篇』
*5:(原文)鴻雁翔天の翼あれども栩々(くく)の捷なく、丈夫千里の才あって里閭(りりょ)に栄少し、十銭時にあわず銅貨にいやしめらるなぞと、むずかしき愚痴の出所はこんな者と御気が付かれたり。『突貫紀行(著:幸田 露伴)』
*6:(原文)曰。賜也亦有悪乎。悪徼以為知者。悪不孫以為勇者。悪訐以為直者。『論語 陽貨 第十七(著:孔子)』
*7:(原文)君臣不得不尊,父子不得不親,兄弟不得不順,夫婦不得不驩,少者以長,老者以養。故天地生之,聖人成之。『荀子 大略篇第二十七(著:荀子)』
*8:(原文)饑則附、飽則颺、燠則趨、寒則棄。人情通患也。『菜根譚 前集144項(著:菜根譚)』
*9:(原文)青苔撲地連春雨,白浪掀天盡日風。『(漢詩)風雨晚泊(著:白居易)』
(二)書き取り
- ビョウジョクに伏す身となった。
- 丁稚奉公中へまをする度にセッカンされた。
- 三国が河の合流点でテイジした。
- 君が口を出すと話がコジれる。
- 釦穴を丁寧にカガる。
- 大勢の召し使いにカシズかれていた。
- 詞の何たるかを心得ぬエセ詩人である。
- 他人の欠点をアゲツラう。
- 姫はコワク的な眼差しで王を見た。
- カンに障る事ばかり言う。
- 数本あったウシをすべて処置した。
- 奇を衒わず古人のセンショウを踏む。
- 神の名をセンショウして人を裁く。
- 薬舗で生薬をアガナう。
- 死を以て罪過をアガナう。
(三)国字
(四)語選択 書き取り
あいたい・あくたく・きんてん・けいしゅう・ちだつ・ちゅっちょく・びよう・ゆうよく
(五)四字熟語
いっさん・がいし・かいろ・きたん・しった・せんけつ・そうせき・とうこう・へいそう・ほくき
②意味・解説
次の11~15の解説・意味にあてはまるものを上記ア~コの四字熟語から1つ選べ。
11.人生のはかないことのたとえ。(解答)
12.きわめて珍しい話。(解答)
13.環境次第でひとは良くも悪くもなる。(解答)
14.身のほどを知らずに思い上がる。(解答)
15.才能ある者から憂き目にあう。(解答)
次の11~15の解説・意味にあてはまるものを上記ア~コの四字熟語から1つ選べ。
11.人生のはかないことのたとえ。(解答)
12.きわめて珍しい話。(解答)
13.環境次第でひとは良くも悪くもなる。(解答)
14.身のほどを知らずに思い上がる。(解答)
15.才能ある者から憂き目にあう。(解答)
(六)熟字訓・当て字
(七)熟語の読み・一字訓読み
(八)対義語・類義語
いっそく・きょうあい・しゃし・そうぼう・たんい・どうこく・のうそ・ふうび・ようちょう・らっき
(九)故事・諺
- カンバツに飢饉なし。(解説)
- 人のゴボウで法事する。(解説)
- 渡りヒヨドリ戻り鶫。(解説)
- 同じ穴のムジナ。(解説)
- フユウの一期。(解説)
- ガイサイの怨み。(解説)
- テンダイの筆。(解説)
- 修身セイカ治国平天下。(解説)
- 三界の火宅、シクの露地。(解説)
- レイスイの交わり。(解説)
(十)文章題
[A]
当世書生気質第二のカキンは愁嘆と諧謔とのケンコウ宜しきを得ざるにあり。居士熟書生気質二十章第十七篇を通読するに其の中諧謔の分子頗る多く能く人の頤を解くの妙あるも人情切迫して愁嘆極まりなき悲哀的分子に至りてはギョウテンの星の稀なるが如き憾なき能わず。斯く云わばおぼろ大人は定めし憤怒の形相を現して対え給わん。半峯居士は自ら小説の批評家を以て居りながら何ぞ偏見の甚だしきや。観よ。居士が平生サクサク賞賛して措かざる所の浮世風呂膝栗毛等の諸小説を。観よや。巻中何れの所にか悲哀の元素ありや。何れの処にか愁嘆の分子ありや。之を読むもの啻に臍沸き頤脱(はず)るるの快を覚ゆるのみにしてゴウも痛苦と悲哀とを感ぜざるなり。然り而して天下の広き読者の多き誰か一九と三馬とを嘲笑する者あらんやと。若し書生気質にして旅日記噂話の如く趣向なきものならしめば即ち止まん。若し然らずと為すあらば居士は断じて愁嘆元素のセンショウにして且つ薄弱なるをトガめんと欲するなり。
(高田半峯「当世書生気質の批評」より)
当世書生気質第二のカキンは愁嘆と諧謔とのケンコウ宜しきを得ざるにあり。居士熟書生気質二十章第十七篇を通読するに其の中諧謔の分子頗る多く能く人の頤を解くの妙あるも人情切迫して愁嘆極まりなき悲哀的分子に至りてはギョウテンの星の稀なるが如き憾なき能わず。斯く云わばおぼろ大人は定めし憤怒の形相を現して対え給わん。半峯居士は自ら小説の批評家を以て居りながら何ぞ偏見の甚だしきや。観よ。居士が平生サクサク賞賛して措かざる所の浮世風呂膝栗毛等の諸小説を。観よや。巻中何れの所にか悲哀の元素ありや。何れの処にか愁嘆の分子ありや。之を読むもの啻に臍沸き頤脱(はず)るるの快を覚ゆるのみにしてゴウも痛苦と悲哀とを感ぜざるなり。然り而して天下の広き読者の多き誰か一九と三馬とを嘲笑する者あらんやと。若し書生気質にして旅日記噂話の如く趣向なきものならしめば即ち止まん。若し然らずと為すあらば居士は断じて愁嘆元素のセンショウにして且つ薄弱なるをトガめんと欲するなり。
(高田半峯「当世書生気質の批評」より)
[B]
人君は上に在りて、慈愛恭倹・公明正大の心を操って是を古聖賢に質し是を武備に練り、是を聖教に施すに性情に本(もと)づき、彝倫により至誠惻怛を以て臣僚を率いレイショを治む。執政大夫は、此の人君の心を体して憂国愛君の誠を立て、驕傲の私に克ち節倹の徳を修め、心志を苦しめ体膚を労し、艱難に屈せず危険に懼れず、力を尽くし身を致し、士道の要領必ず此くの如くにして遺憾なきの轍迹を履んで、身を以て衆に先だち、言を容れ人に取るの良心を推して、諸有司に議って人君の盛意を奉行し、善を挙げて不能を教ゆ。諸有司も亦君相の意を稟けて、敢えて己我の念を鋏まず、忠誠無二、俛焉として各力を其の職分に尽くし、廉介正直、共に士道を執りて其の僚属を奨励し、公に奉じ下を治む。又文武術の師範に諭して其の蒙昧を啓き、固執鄙野の陋習を去りて、上君相に視(なら)いて、門弟子を誘うに真文真武を以てし、治教をヒエキせん事を誨ゆ。此くの如くなれば、文武の教・学校の政、已に廟堂の上に立つを以て、臣僚自ら道に嚮かい士道の尽くさん事を思うは自然の勢にして、人々君相の心を心とするに至れば、経史を閲し刀槍を試みる、皆エンゲンあって空文偏武の伎能に流れず、悉く其の用を為さずという事なし。是ぞ真文真武の治教にして、風俗淳厚質実に帰し、人材も亦是より出でん事、何の疑いかあるべき。
(横井小楠「国是三論」より)
人君は上に在りて、慈愛恭倹・公明正大の心を操って是を古聖賢に質し是を武備に練り、是を聖教に施すに性情に本(もと)づき、彝倫により至誠惻怛を以て臣僚を率いレイショを治む。執政大夫は、此の人君の心を体して憂国愛君の誠を立て、驕傲の私に克ち節倹の徳を修め、心志を苦しめ体膚を労し、艱難に屈せず危険に懼れず、力を尽くし身を致し、士道の要領必ず此くの如くにして遺憾なきの轍迹を履んで、身を以て衆に先だち、言を容れ人に取るの良心を推して、諸有司に議って人君の盛意を奉行し、善を挙げて不能を教ゆ。諸有司も亦君相の意を稟けて、敢えて己我の念を鋏まず、忠誠無二、俛焉として各力を其の職分に尽くし、廉介正直、共に士道を執りて其の僚属を奨励し、公に奉じ下を治む。又文武術の師範に諭して其の蒙昧を啓き、固執鄙野の陋習を去りて、上君相に視(なら)いて、門弟子を誘うに真文真武を以てし、治教をヒエキせん事を誨ゆ。此くの如くなれば、文武の教・学校の政、已に廟堂の上に立つを以て、臣僚自ら道に嚮かい士道の尽くさん事を思うは自然の勢にして、人々君相の心を心とするに至れば、経史を閲し刀槍を試みる、皆エンゲンあって空文偏武の伎能に流れず、悉く其の用を為さずという事なし。是ぞ真文真武の治教にして、風俗淳厚質実に帰し、人材も亦是より出でん事、何の疑いかあるべき。
(横井小楠「国是三論」より)
おわり