<※作者注…この物語はフィクションです。実在の団体、名称等とは一切関係ありません>
7・
悠太の墓は、遠くを望むと海が見える高台にあった。
広めの墓地の一角に、海が眺められるように配置してある。
悠太家から徒歩で数分のところにあるそれは、まわりの墓と比べても大きすぎず小さすぎず、
平凡なたたずまいだった。

墓を目の前にして、マリーも現実を受け入れざるをえなかったようだ。
きゅっと俺の上着の裾を握り、隣に立つ身だからこそわかるぐらいに、震えている。
「…ゆ、ゆうたくん…」
震えていたが、泣いてはいなかった。でもその姿は、俺には…悲しく見えた。
俺は彼女に話しかけることができず、そしてそのままその場を後にした。

家にもどると、悠太母がきれいな貝殻をマリーに渡した。
「え? これは?」
マリーは質問を母にする。
「悠太の形見です… いつか、あなたに会えた時に渡すんだと言って、悠太が大事に取っていたものです」
「え」
マリーは絶句する。好きな人からの贈り物… すでに他界した人間からの贈り物。
彼女はまた… 泣き出してしまった。

………

他人の家にあまり長居するわけにもいかないので、帰る旨を悠太母に伝え、
「泊まっていかないのですか?」
と言う申し出に、赤の他人の俺まで厄介になるわけには行かず、丁重に断った。
「せめてマリーちゃんだけでも… お家に連絡とかしますから…」
マリーは… 泣き疲れて寝ていた。ここでマリーの家に連れ帰ってしまうと、
彼女には悔いが残ってしまうだろう… なにか、そう、なにかすぐに元気になれるようなことを
思い出として一緒に持っていってもらわないと… くそっ、こんなの自分のエゴだ…
だが…しかし……

8・
悠太母の願いも再度断り、俺は彼女を起こさないようにそっと抱きかかえる。
車の助手席に座らせて、旅行で使う予定だった肌掛けをかけると、彼女はおきた。
「ん… んぅ…」
一瞬まどろんだ感じで起きて、またすぐに寝付いてしまう。
一気に疲れが出てきてしまったようだ。

とりあえず、悠太母に礼を伝え、悠太宅を後にした。
ゆっくりと車を走らせる。
行くあてはない。ただ、俺はこのまま悠太宅に居座ると、マリーがまいってしまうことを恐れた。
とりあえず、南下することを決定した。何も考えない、純粋に房総半島を南下するだけの…

………マリーがおきるまで、そっと走るか・・・

あたりはもう、完全に夜のとばりが降りていた。

「ん… 康平、ここドコ?」
「ん、ここか? ここは…説明し辛いな… 千葉県の最南端に近いところだ。」
「そぅ…んー…  …すぅ」
寝ちまった… 運転してると時々あるんだが、同乗者が寝てしまうと、たまにこんなやり取りがある。
…俺の運転に安心してくれているならそれはそれでいいのだが…
そういえば、俺の友人は寝てしまうと申し訳なさそうに謝ってきたな。
俺は別に気にはしていないんだが。

それからしばらく走ると、でかい灯台の見える浜辺にやってきた。千葉県最南端の灯台が光っているのがみえる。

「ふぁ… あたし寝ちゃったの・・・?」
マリーが起きた。
「ああ、ぐっすりさ」
「…ごめん」
唐突に謝るマリー… 俺の友人を思い出した。別に謝ることでもないだろう…
「謝ることないさ。いろいろあって疲れたんだろ?」
「…うん。ごめん…」
「だから謝るなって」
「… …そういえば ここは? どこ?」
「ここか? そうだな、千葉県最南端かな? 灯台がみえるだろ? あれが最南端の灯台だ。野島崎の灯台」
「よくわかんない。 でも、波の音がきこえる…」
「ああ、暗いが、あそこは浜辺になってる。それでだろ」
俺は車外を指差した。エンジンを止めると、波のさざめく音が聞こえる。
「ふーん… ちょっと浜辺にいってきても、いい?」
断る理由がない。
「しばらく休憩するから、いいよ。」
「ありがと」
”ガチャッ… バンッ”
車の外にでていったマリー。
俺はそのまま彼女を見送った。 浜辺に座ったのを見る。 これが昼間なら絵になるんだが… 夜は…
なんというか、夜の海は怖い。吸い込まれそうで。

と、思っていると、彼女が立ち上がった。そして海へ近づいていく。
って、おいおい、海水が服につくぞ・・・・・・まて。なぜひざ下まで入る!?

彼女はどんどん海に入っていく。なにか追いかけるようにどんどんと。
俺はあせって車を飛び出した。
「マリィィィィィィ!!!!」
叫ぶ。
だが彼女は止まらない。振り返らない。
…まずい!
浜辺に足をとられつつも、必死に彼女を追いかけた。

”バシャッ! バシャッ!”
俺はしぶきをあげつつ彼女に近づく。彼女は既に胸上まで浸かっている。
残暑が過ぎた頃合の夜のせいか、異様に冷たく感じた。
俺自身が胸の辺りまで浸かると、マリーは既に見えなくなっていた。
「くそったれ!! マリーどこだっ!!!」
無我夢中で沈んだと思われるあたりを手で探る。
暗くてよく見えない。…だが、糸みたいな何かが手に絡まった。
ワラをも掴む思いでその絡まったものを強引にたぐリ寄せる。

………ひっぱったとき、すごい重みがあった。
と同時に、腹になにかがぶつかる。それを手で確かめる。
人肌に暖かい何かが手を通して伝わってくる。
暗くてよくわからないが、マリーだと信じて、急いで浜辺に向かった。

浜辺に近づくと、掴んでいたのが彼女の髪だと判った。
彼女の服に滲みこんだ海水の重みと自分の服が張り付いている。
すごく動き辛いが、なんとか上がると、彼女を抱え、安全な浜辺に彼女を横たえる。

「マリー! おいマリー!! 起きろ!」
"ベシベシ!" っとほっぺたを叩く。意識は戻らない。
彼女にぴったり張り付いた服の、控えめな胸元を眺める。
…胸が上下していない。
いそいで、息をしているか、口元に耳を近づける。
1、2、3、4、5。 息をしていないのを確認した。
脈をとる。
”トクン…トクン…”弱弱しいが脈はある。

「くっ…」
かばんの中のファーストエイドポーチを取りに言っている暇は多分ない。
急いで教習所で習った蘇生法の準備に取り掛かる。
うろ覚えだが、この際仕方がない。
こんなことなら救命講習に参加しとけばよかった!

マリーの口(口腔)を強引に開ける。異物は… ないな。気道確保。…まだ呼吸が回復しない…
…四の五のいってられん! マウストゥマウスを実行する。

”フゥ!・・・” !? 吹き込めない!?!
慌てて口を離す。すると、口から海水が溢れてきた。
だが呼吸は回復していない。
もう一度試みる。今度は呼気を入れられた。

………

2セットほど繰り返したくらいだろうか…
「ゲホッ! ゴホッ!!」
マリーの呼吸が回復した。と同時に、覚醒した。
「ゲホッゲホッ…ヒィィィ…ゲホッ…」
「マリー、大丈夫か?」
とりあえず、顔が鼻水と海水とよだれですごいことになってたので、手持ちのハンカチで拭ってやる…
しばらくしてマリーはつぶやいた。
「どう…して… げほっ …悠、太くんゲホッ、に、会わ…せてよぉ…」
俺は口をつぐんでしまう。
「悠、太くんがいな、い、この世界に、居たくはないの…」
すると、夕方までいい天気だったのに、雨が降ってきた…
「マリー… 雨だ… とりあえず、車に戻ろう?」
俺は彼女を促し、嫌がった彼女を強引に車に連れて行き、後部座席に乗せた。

空は、彼女の気持ちを代弁するかのように、雨風が強くなっていった・・・


9・
-ビュウウウ… ヒュゴー… ザーー
風と雨が酷い。とてもじゃないが窓は開けられない。
フロントガラスや屋根に当たる雨の音が、バチバチいっている。

ポタ… ポタ…

マリーから滴が落ちる。涙なのか海水なのかわからないが。
俺は、彼女をそっとしておいて、
後部ハッチ(トランクルームのドア)を開け、簡易屋根として、荷物をあさる場所を作る。
こういうのを想定して購入した車だが、さすがに雨が強すぎるらしい。トランクの端がちょっと濡れてきた。
急いで目的のものを取り出して座席に放り、ハッチを閉め、外から後部座席に移動する。

「マリー、とりあえず、これで拭いとけ」
座席に投げたのは、タオルと俺の替えの服だ。座席に移動して、タオルを渡す。
「いや・・・」
「いいから拭けって。そのままじゃ風邪ひいちまう…」
「いいもん…」
「いや、よくないって」
ついさっきのことを思い出して押し問答になってしまう。
「ここでマリーに体調崩されると、君の家族に申し訳たたん」
「しらないっ!」
「ったく…」
俺はタオルを取ると、マリーの頭をぐりぐりと拭き始める。
「きゃっ! いったっ! 痛いってば!!」
彼女は抗議してくる。
「いやなら自分で拭けっ! このバカっ!」
「ばっ!?  だっ、だだだ、だれがバカですって?! あんたこそバカよっ!」
「なにぃ?! バカはお前だろう!? お前が死んで誰が喜ぶというんだよ!?」
「そんなのしらないわよ! 私は…」
「愛しの悠太くんに会うってか?」
「・・・」
「こんのバカっっっ!! そんな理由で死んだって会えるとは限らないだろう!」
「それは・・・」
マリーは黙ってしまう。
「大体だな、天国や極楽浄土があるかなんて、わからないだろう。まして、そこに彼がいるともな!」
「・・・」
「死んだ人間は二度と戻らないし、会えないんだ! かっこつけたって、思い出の中にしか現れないんだよ」
「・・・でも」
「だったら、思い出の中にいる愛しの人に恥じない人生を送るのが、供養とか、そういうのになるんじゃないのか?!」
「・・・」
「悠太君にほめられるような、そんな生き方をしろ! 自殺なんて誰もよろこばねぇよ! 悠太君もな!!」
「・・・ひっ・・ひっく・・・ひっく・・・・・・」
マリーは泣き出してしまう。
「まぁ… 気持ちはわからないでもないが… まだ人生長いんだ。安易に追いかけるとか、考えるな…
 ……とりあえず、そのままじゃあれだ… 着替えろ」
なきながらも、マリーはうなずいた。

「しかし、まいったな… 外から丸見えだ…」
車は基本的に外から丸見えだ。この車も例外なく見えてしまう。
着替えるにしたって、女の子のストリップショーになりかねない。
俺は、トランクルームに転がり、俺の座っていた座席を折りたたむ。
こうすることにより、車の後部の半分はフルフラットになるのだ。
そこには布団のかわりに寝袋が畳んであり(車中泊でマットレス代わりに使っていたもの)
それをひろげて、そこに彼女を移動させる。
彼女も服もびしょびしょだ。・・・ぺったりくっついた服の透けて見える部分はがんばって見ないようにする。
ってかブラくらいしろと。 いかん 考えるな。般若心経・・・

なんとかもう片方の座席もフラットにすると、十分に着替えのできるスペースが完成する。
ついでにエンジンもかけ、暖房をONにする。
かばんから新聞をとりだし、ガムテープと共に窓に目隠しをする。
運転席の後ろのところは、むかしドンキ(ホーテ)でもらったレジャーシートを広げてカーテンにする。
そして照明をつければ、簡易更衣室の完成だ。
「とりあえず、室内照明はつけたから、問題なく着替えられるはずだ。君のサイズにあう物がないから、
 適当に袖とかめくってくれ。あとは下着以外は俺に渡せ。暖房でなんとか乾かすから」
「………ん……」
おい。なぜそこで顔を赤らめる。あ・・・服が透けてるのに気がついたのか。必死に胸隠そうとするな。
こっちがはずかしい。
……なに子供に情を抱いてんだ自分っ! おちつけ。相手はガキだ。ガキなんだ。

………

だいぶ時間がたった気がする。なにか彼女の動きが止まった気がするので、
「そろそろ着替えたか?」
俺はマリーに問いかけた。
「・・・まだ。ちょっとまって」
ちょっとの間の後、そう返事が返ってきた。
「そうか」

また衣擦れの音が再開する。
………なんだ? 何かおかしいのか?
「んー・・・」
なにか不満げな声が聞こえる。
すると、目隠し(カーテン)をはずしてマリーが顔を出す。
「なんだ どうした?」
「んー、康平の服がおっきすぎるんだよ…」
言われて納得する。彼女の手先をみると、見事に指が出てない。
というか、手首の位置あたりがもぞもそしてる。
俺は「あー・・・」といいながら、腕まくりをしてやる。
「ん、ありがと…」
といって、またカーゴルームにもどる。
「ぶ」
俺は吹いてしまった。
その、なんというか、カラーシャツだけ着た状態だったのだ。
四つんばいにカーゴルームに戻るとき、白いトライアングルが見えてしまった。
「マリー… しり隠せ…」
「え? っっっ!?」
慌てて抑える彼女。それは誘ってるのか? 誘ってるのかーーーっ?!
……いかん 自重しろ。平常心。

それからさらにしばらくして、彼女は俺のシャツとスラックスを履いて助手席に来た。
はっきりいうが、服が大きすぎる…
ぶかぶかのカラーシャツをスラックスにいれずに外にだし、スラックスは何回も折りたたんですそが短くなっている。
すると彼女から---
「… っくしゅん!」
くしゃみがでた。暖房がかかっているとはいえ、身体が冷え切ったままだ。
このままだと確実に風邪を引く、と思い、
「どこか銭湯かホテルかにはいろう?」
と彼女に問いかけた。
「うん…」
素直に返事をするマリー。さらさらヘアーだった髪が海水のせいでちょっとゴワゴワしてそうだ。
洗った後にドライヤーかなにかで乾かさないと、だめだなこりゃ。


10・
いつもの一人旅ならば、車にセットした寝袋などで寝るのだが、銭湯が近場に無く、
さらに車にとって想定外の客(マリー=女の子)がいるため、
ホテルを探すことになった。

高級そうなホテルは金がかかるからだめだ。
観光地のためか、そういうホテルが目立つが、
一番近い駅に移動すると、ちらほらとビジネスホテルやら民宿があった。
そのひとつのしなびつつあるビジネスホテルに入る。

「2名さまですね? ツインルームですか?」
面倒なのでそのままツインに。
(自殺未遂のあとだしな…)
マリーは黙ったままだ。
「ん?どうした?」
「・・・・・・」
返事がない。聞こえてはいるようだが、俯いたまま、返事をしないようだ。
「部屋は・・・」
と受付とやり取りしつつ、受付にニヤリ顔をされてしまった。
おい、ちっ ちがうっ、ちがうぞっ?! 何にと言われればわからないが(タテ前)、違うんだっ!
ここで言い訳をするとドツボにはまる恐れがあるから、いわないでおこう…
なんかマリーに小声で「ばかっ」っていわれた気がするが… 気のせいだ。うん。

とりあえず部屋につく。
部屋に入った瞬間、マリーは濡れた服が入ったかばんを投げてきた。
「うおっ」
「ばかーーっ! な、ななな、なんでツインなんかにするのよ~!!」
「だって、何もいわなかっただろうっ!? 金銭的にもリーズナぶふぅ?!」
マリーのキックが、俺の股間に命中した。
「ちょっ! お、おれの切ないところをををおおお」
くず折れる俺。
「あ、あたしだってお、女なんだからっ!! 一緒の部屋にしないでっ」
「だ、だってさ、お前のことが心配で… 自殺未遂してるし…」
くず折れてのた打ち回りつつも、言葉をつむぐ俺。
なんとか彼女を見上げる。あれ? 彼女、固まったぞ?
「おっ お風呂はいるっっっ!」

マリーは顔を真っ赤にしながら風呂に入っていった。



"シャーーーーー…"
シャワーの音が聞こえる。時々、水が跳ねる音が響く。
マリーは問題なくお風呂に入れているようだ。
もしここでシャワーの音"だけ"だったなら、すぐさま風呂場に突撃するところだ。
突撃した中で、マリーが裸体のまま手首を・・・・・・裸体?
なっ、なに想像してんだ俺は! 風呂場の音が普通に聞こえるからいけないんだっ
……ん、 理性を保て。 って なにガキ相手にモンモンとしてるんだ・・・
しかし、聞き耳をずっと立てるわけにもいかないな…
TVなにかやってないかな…

おもむろにTVを付ける。国営放送がいちばん無難と思い、局を合わせる。
その局では、ちょうどニュースをやっていた。
しかし、なにも気に留めるようなニュースは放送されておらず、
ただボケッとしながらTVをみていた。

"ズズズズズ・・・・・・"

……ん?なんだ? なにか違和感を感じる。

"ズズズ・・・グラグラグラグラ"

地震かっ!?
とっさに出口確保の為、部屋の玄関を開けようとベッドから歩いていこうとしたときに、
風呂からドッタンバッタン! と大きな音が聞こえてきた。

(なんだ!?)
とっさに風呂のドアを開けるっ!
その直後、
「ふにゃあああああああああ!」
気の抜ける悲鳴と共に、マリーが飛び出してきた。
漫画にたとえるなら、目をぐるぐる状態にして必死になってる感じだ。
「こ、ここ、こ康平っ、じ、じじじ、地震、地震っ!」
マリーはパニック状態だった。自分の体が濡れていることも、
着るものひとつ身に着けていない状態なのも忘れて、
必死になって俺にしがみついている。
「地震! 地震ーっ! 怖いーっ!!」

人間、他人がパニックになるのを見ると、自分は冷静になれるというのがある。
まさに今がそのときなのかもしれない。
「マリー、落ち着け。落ち着けって。そんなたいした地震じゃない。安心しろ」
「いやいやいやいや」
マリーは嫌々言いながら俺の胸のあたりで顔をぐりぐりしてくる。
「こら! くすぐったい! やめろっ やめっ!!」
ガッシ! とマリーの頭をつかむ。
「ふぇ・・・」
顔を向けさせると、破顔させて瞳は潤み、いや、瞳の端で涙が決壊寸前のダムになっている…
ああ、こんな感じで見つめられると、俺やばいなぁ… いぢめたくなる…
「とりあえず落ち着け。大丈夫だから、風呂入りなおして来い。確実に風邪ひくぞ」
「う、うん・・・」
コクコクとうなずく彼女。俺は続けて言った。
「それに、素っ裸で出てくるな。目のやり場に困る」
「え? ええ? ーーーっ!?!?」

彼女はこれ以上にないくらいに顔を真っ赤に、体も羞恥で紅くなり、
長い髪を振り乱し小さいおしりをぷるぷるさせて風呂に戻っていった。
ほどなくして風呂場の中から「いやあああああ!」と悲鳴が聞こえた。
役得役得♪

………

違ぇ… おれはロリじゃねぇ…

いつの間にか地震は収まってた。
国営放送でも津波の心配は無いとか言ってたし、もう大丈夫だろ。



「まったくっっっ!」
バスタオルを頭に巻いて、ボディーソープ系のいい匂いを纏わせたマリーが
ベッドルームに現れた。
ビジネスホテルに設置してあるある意味無粋な業務用のものも、
彼女が使うと心地よい残り香が漂い、その上、気品があるように思えてくるから不思議だ。
そんな彼女は、まだ顔が紅い。
先ほどの言葉尻からも、風呂から飛び出した恥ずかしさが未だ残っている様子だ。
「ばかヘーもばかヘーよっ! じろじろ見ちゃってっっ!! むーっ!」
”ぷぅ!”とほっぺたを膨らませるマリー。
「な、なんだよ、ばかヘーって… 康平と呼べよ…」
そんな彼女に対して俺は、先ほどの情景がよみがえり、マリーを正視できなかった。
「えっ、えええ、えっちなことしたんだから、ばかでいいのよっ! ばかっ!」
うぐ… 痛いところを突かれてしまった。
(…ってあたりまえか)
先ほどの”ぷるぷる”などを思い出す。・・・いかんいかん。
「ま、またえっちな事考えてる!!!」
「ばっ! かっ、考えてねーよ!!」
声を大にして反抗する俺。しかし
「鼻の下伸びてるわよっ!?」
そう言われ、俺はとっさに鼻元を抑えてしまった…
「・・・・・・・・・ふふーん・・・やっぱり・・・・」
「・・・・・・」
マリーの策略にはまってしまったようだ。
「ちっ、ちがっ、これはだなっ」
「えっち」
「ぐはっ?!」
「ドスケベ。変態! ド変態!! 超変態っっっ!!!」
マリーは目をぎゅっとつぶって、顔を紅潮させながら怒鳴った。
「ぐ、う、おおぉぉぉ・・・」
その声に耐えかねた俺は、風呂に逃げたのだった。


…その頃、マリーが入水自殺未遂した現場付近では…
「はい…はい… いえ、海岸の辺りで電波が途切れてまして… はい、申し訳ございません」
黒服の男が携帯電話に向かって謝っている。
「ええ、お嬢様の痕跡は見当たりません。先ほど発見した乗用車も見つけられません。はい、それはもう…」
夜で雨が降っており、且つ傘をさしているにも関わらず、額をぬぐい相手にしきりに謝っている。
電話口から、すごい地響きを伴う怒号が辺りに響く。すごい音量なのがわかる。
「はっ!! 全力で探します。明日の昼か朝にはまたご連絡いたします。はい、はいっ!」
電話が切れたようだ。
「っはー… 御大もカンカンだな… はやく真理お嬢様を発見しないと、俺の命に関わる…」
雨は次第にひどくなっていった。
「朝には止むと言っていたが… 本当なのか?」
黒服のつぶやきか心を表すかのような荒天で、夜は更けていく…


-ガチャッ!
「うわっ?! わわわわ、マリー!!! ドアあけるなっ!!!」
俺は黒服がそこまできていることには気がつかず、今そこ(浴槽)にある危機に直面していた。
「う、ううう、うるさいうるさいうるさい! ばかヘーは私の裸見たんだから、
 わ、わわ、私にも見せなさいっっっ!! ふ、ふふふ不公平よっ!!」
いきなりマリーがトイレ兼浴室に入ってきた。
「あれは不可抗力…「違うわっ!」」
完全否定する彼女。顔を真っ赤にしながら言ってきた。
「だ、だからってだなぁ! 大人の裸を堂々と見にくるなっ!」
俺は見られるギリギリ前に、シャワー用の浴槽カーテンを遮蔽物にして、マリーに下半身を見せないように努力する。
「いいからみーせーなーさーいーーー!!」
カーテンに手をかけるマリー。
「こらっ! 離せっ! マジでやめっ!!」
必死に抵抗する俺。しかしマリーも目が据わってる。引く気がないらしい。
(ってか、女の子がすることじゃねぇ! あまりの出来事に見境なくなったのか?!
いや、見境じゃなくてなんだ?!)
考え込んでると、マリーがバランスを崩したのか倒れこんできた。
「「あ」」


「いたたた…」
俺はバランスを崩したマリーから、当て身をもらうカタチで浴室の壁にぶつかり、意識を失っていた。
意識はすぐ回復したと思っているが… 今の状況に頭がパニックになっていた。
浴槽の中で、その…、マリーが俺の息子をいぢっているのだ。
彼女の手は小さく、繊細でシルクのような…そして大胆に握ったりつついたり摺ったり…
それが、「んっ、んしょっ、これがこうなってて、やだっ、熱いよここ…」と赤面しながらつぶやいている。
くっ、心地良い というか、ヤバイ。息子はすでにいっぱいいっぱいだ。
このままだと年端もいかない少女に逝かされてしまう。俺は平静を装って話し掛けることにした。
「あの、マリーさん?」
熱心に弄っていたマリーが手を止め、俺と目が合う。
すると、彼女は慌てた様子で、
「あ、ああああ、あのこっこれは違うのっっっ」
剛直したモノを握ったまま話す。
そしてマリーの手に力がこもる
「なにが違っ、んぅっ、違うんだ?」
俺はあまりの気持ちよさに言葉を詰まらせてしまった。
「だ、だだだ、だって、本で読んだのと違うから、ちょっとした興味でっ!」
なんの本だよ。
「クラスメイトの子たちがすでに経験したとか男のアレは同級生の比じゃないとか…」
…彼女の言い訳を聞いていたらなんとなく理解できた。
なるほど、こういうことに興味を持つお年頃というわけか。
しかし…
「だからってだな、いきなり行きがかり上知り合ったばかっ・・・りのぉっ」
マリーが息子の裏側を”つつーっ”と摺りあげた。
息子がすごいビクビクしているのを感じる。つーか逝く。間違いなくこれは逝く。
「えっ?! なになに?! どうしたの?!」
む、無自覚でやってるのかっ!?!
「くっ!!!」
が、がんばれ息子! 耐っ、耐えるんだっっっ!
「ひ、ひとのからだで遊ぶんじゃないっ!」
耐えたっ! がっ、がんばった! 息子よくがんばったっっ!!
しかしマリーは俺のがんばりなどまったく理解せず、容赦ない攻撃を与えてくる。
「えー? こういう機会ってめったにないんでしょ? いいじゃない。
 減るものなんてないからどんどんやっちゃえってクラスメイトの子が声高々に自慢してたわよ」
なんの自慢だああああっっっ!!!!
俺の心の叫びは彼女には届かなかった。そして行為自体は加速する。
「ん、そ、そうよ! これは責任よっ」
「いったいなんの責任だっ」
なにかに気がついたように身をのりだそうとする彼女。
「悠太くんを追いかけさせてくれなかったばかヘーに責任、とってもらうんだからっ!」
だからなんの責任なんだーっ!?
悠太君を忘れさせてとかで俺を襲うつもりかーっ!? それなんてエロゲだあああああ!!!
「今日のことを私がわすれないようにしてほしいの…」
「な、なにをいって…」
「ねぇ、康平…おねがい…」
言葉の終わりにマリーが息子を”ぎゅ”っと絞りあげた。
だめ、もうだめです。限界です。
自分の手が自由なんだからマリーの行為を止めさせればいいと気がついたときには遅かった。
「んっ!ふぁあっ!」「きゃあ!!」
俺の白く濁った液が彼女の手や髪や顔にほとばしった。
「やぁ! あつっ! なにっ これぇ・・・!」
マリーは俺の精液を受け止め、なにが起こったのかわからず悲鳴をあげる。
俺は”やっちまった感”と心地よい脱力感に浴槽から起き上がることができない。
「んっ・・・なんかくさい・・・栗? なにこれ・・・」
そういうと彼女は手についた液をなめる。
「っ!? 苦い! ・・・にがぁ・・・」
「ばっばかっ、舐めるなっ」
俺は心地よい感覚から急速に覚醒する。
「なによばかへー。こ、こんなに苦いならはじめから言いなさいよ!」
(むりだろっっ!)
心の悲鳴は言葉にならなかった。
「こ、これっ…みんなは病みつきになるほど美味しいって言ってたのに… 全然違うじゃない!」
「あ、あたりまえだっっっ! お前の舐めたものは精子だ! 赤ちゃんの素だよ!」
「え!?・・・・」
彼女の顔がみるみる蒼ざめていく。
「あ、安心しろ、舐めて妊娠することはない」
何いってるんだ俺は… ちがうだろ、こう、彼女に言うべきことが…
「じゃあ、どうやったらできるの・・・?」
俺は思考が停止する。考えがどこかへ飛んでいく。
マリーと気持ちいいことをしていることを想像したためだ。
「ば、ばばば、ばかやろうっ、おまえとできるかぁっ!」
………失言した。すごい失言だ。言ってはならない部類を”言い間違え”で言ってしまった。
「・・・・それ、どーいう意味?」
言ってしまって後悔した。今度は俺がマリーにたじたじだ。
マリーは服を着たまま浴槽に入ってきた。
「ばか、服が濡れるぞ…」「かまわない」
いかん、彼女は目が据わってる… やばい…
「い、いいい、今のお前を大事に思うからこそ、出来るか!っていいたいんだよ!」
「じゃあ、私が許せば、できるの?」
「そういう問題でもないだろっ!!!」
「ふーん・・・・・」
彼女が指を俺の口につっこんだ…
「くぁwせdrftgyふじこlp;@!?!?!?!?」
(にがっ! にがぁっ! じ、自分の精液っ ひぃ!)
その様子を見ていたマリーは、くすくすと笑い出した。
「あははっ♪ ばかヘー変な顔~♪」
(くっ、このっ・・・)
俺はシャワーを全開にしてマリーにかけた。
「わきゃあ!!」
ふん、どうだっ。
「ふ、ふふふ、風呂はいれ。マリー、お前もう一回風呂はいれっ。精子は洗い流さないと後がひどいぞ。匂いとかな」
「えっ?!」

(ああ…服は洗濯だな…)
俺はマリーを浴槽内に腰掛けさせ、自分は浴槽のふちに腰掛ける。
俺に背を向けたまま正座するような感じだ。
マリーの髪は長い。手入れが大変なうえ、洗うのも一苦労だ。
「もうちょっと後ろに下がれ」
マリーに言う。彼女は言われるまま俺に背を向けたまま下がる。
そして俺は業務用のシャンプーを使い、彼女の髪を洗い始めた。

俺は髪を洗う。ときどき
「お嬢様、かゆいところはありませんか?」
とふざけながらいうと、
「あははっ ないわよっ ばかへ~♪」
と返事が返ってくる。
これが普通の格好でなら微笑ましいのだが、今は風呂場。かつ二人とも裸なのだ。
シャワーから湯気が立ち昇り、寒さなどは感じない。
手には絹糸と見間違うくらいの金髪が、シャンプーと混じり幻想的なコントラストを映し出す。
それを自由にできている自分… ふと目を逸らせば、彼女の珠肌に水滴が滴る
これが… ”はっ、いかんいかん”と、慌てて彼女にシャワーを掛ける。
「わ! きゃぁ!」
マリーから軽い悲鳴があがる。
「シャワー掛けるなら掛けるっていいなさいよっ!!!」
マリーが立ち上がってこっちを向く。
両手は目にあてられ、ゴシゴシと目をこすっている。
「シャンプーが目にはいったぁ~…」
一糸纏わぬその姿… その… まるみえである。
「わっ、ば、ばばば、ばかっ、こっち向くなっ!」
「う~~~~ そんなこと言ったって、シャンプーが目に入って痛いんだってばっ!!」
しきりに目をこする彼女。
俺は、手に持ったシャワーの向きを天に向け、マリーに促す。
「マリー、プールのときのようにとりあえず目を洗え」
シャワーの描く放物線の頂点に顔をつける彼女。
「ううううううう」
唸る声が聞こえる。まるで猫のような。
そして顔を上げ、目を閉じたまま俺に訴えた。
「ば、ばかへ~…」
「ん、なんだ?」
「こんどは まつげ が目に入ったー」
「どれどれ…」
俺は彼女の蒼い瞳を凝視する。
「んー…」
「………」
たしかに、まつげが一本、白目の部分にある。
彼女がほんのり上気した顔になっていることは、気がつかなかったことにしよう。
俺は、彼女の吸い込まれそうな瞳に歯止めがきかなくなりそうだった。
「…あー、もう一回シャワーで目をしぱしぱしろ」
「うん…」
言われるままもう一度顔をシャワーにつける彼女。
「…もう、取れた…かな?」
「どれ、もう一回みせてみろ」
「うん」
そういうと彼女はいつもよりすこし目を開き(大きくし)、俺の瞳を覗む。
目をこすりすぎたせいか、若干白目部分が紅い。しかし、異物は取れていたようだ…?
「--っ」
不意に彼女が顔をそらす。
「おい。まだ完全に確認できてないぞ」
「いい」
いきなり異物の確認は終わった。
「いいって… よくないと思うぞ?」
「も、もも、もう痛くないから、大丈夫…たぶん」
「いいからもうちょっと見せろ」
「いいってばっ!」
顔を背けるマリー。頬が紅いのは、たぶん風呂のせいだ。
「よくないっ」
俺は彼女の顔(両頬)をがっちりとつかみ向き合わせた。
「やっ!」
「こら、目を閉じるな ちゃんと見せろ」
「いやっ!」
マリーが俺の手首を握って、逃れようとする。
「なんでだよ」
「だって、ばかへ~がまじめ過ぎるんだもん!」、
手首に力がこもる。でも、痛くはない程度だ。
「どういう意味だそりゃ?」
「だ、だって… だって… キ、キスさ…れちゃうか…とお…思って……」
最後は聞き取れなかった。が、抵抗しだした理由は理解できた。
俺は彼女に問いかける。
「…し、してみる…か?」
「え?」
マリーは目を開いて俺を見つめる。
彼女の潤んだ蒼く透きとおる瞳が俺の思考を鈍らせる。
「そ、その、………キス」
「………」
少しの間の後、マリーはうなずいた。
俺は、そのまま彼女の顔に近づいて…

「うぐっ!」「いたぁい!」
俺とマリーの小さく悲痛な叫びが風呂場に響いた。
唇の辺りがちょっとジンジンする。
どうやら勢いをつけてしまったのか、歯まで当たってしまったらしい。
俺はすぐに彼女の顔をみる…が、外見上は血がでたり怪我はしてない様子だった。
「だ、大丈夫か?」
俺は声をかける。マリーは唇に左手を当て、恨みがましく鋭くなった碧眼が俺を睨み、言う。
「いっ、たいじゃない!」
「す、すまない… 俺も初めてで…な」
俺は言っていて悲しくなった。この年になってもファーストキスどころか、彼女すら作ったことがないことに。
「え…?」
鋭くしていた目を今度は大きく見開き、彼女の顔が驚きに変わる。
「は、初めて…だったの?」
「ああそうさ…笑えるだろ?」
俺の自嘲めいた言葉に、彼女は首を振る。
「う、ううん! だ、だれだって初めてはあるもん… ただ、ばかへ~なら、経験あるかなって…そう思ってただけで…」
(つまりあれか…?)
「け、経験豊富な俺が自分をリードしてくれると、そう思ってたのか…?」
”こくん”
黙ったままハッキリと頷くマリー。
”…ふー…”
俺は思わずため息がもれた。

俺は…2chに精通している職場の上司にからかわれる位、あと数年で魔法使いになれる童貞…
実際は空想話(魔法使い)だが、童貞であることには変わらず、後輩への語り草になってしまっている。
そんな男をマリーは”経験豊富”と勘違いしてしまっている…どこで間違うのか…
ん? ”経験豊富”…?
「マリー… まさか君も初めてなのか?」
「え?、う、…うん」
俺の滑稽な問いに対して、肯定で返答がきた。
は…はは、まいったな… はじめて同志なのに息子を握られて逝ってしまったか…
先ほどの情景に内心笑ってしまった。

自嘲気味に考えていると、唐突にマリーが話し出す。
「ね、ねぇっ! さ、ささ、さっきのはノーカウントってことで、も、もう一回、やってみない?」
「え…」
俺は驚いた。まさかリトライを申し込まれるとは思わなかった。
「さっきのがファーストキスなんて、あんな思い出はイヤ… ちゃんとした、キス…しようよ…」
風呂場の熱気か定かではないが、彼女は頬を染め、伏せ目がちに言った。
俺は彼女のそのしぐさ、一糸纏わぬその姿、風呂場の熱気にあてられて、答えを返さずに行動でそれを示した。

マリーの口を控えめに抑えた彼女の左手を、手首をつかんで口から遠ざけた。
彼女はゆっくりと目をつむる…。
そして空いた片方の手で彼女のアゴに手を添え、彼女の顔が軽くには動かない程度に固定して、
”そっ”とキスをした。
「んっ、んぅっ!」
彼女の若干の身じろぎと呻きが聞こえた。
すると、彼女の右手が俺の頭に回され、顔がもっと密着する。
俺は離れられなくなり、そのままキスを続けた。
(ち、小さっ… やわらかっ… んっ、き、気持ちいい…)
俺は物心ついてからの生まれてはじめてのキスの感触に、酔いしれた。

しばらくすると、唇に蠢くモノが当たる感触があった。
俺は驚いて口をあけてしまう。すかさずそのモノは俺の口腔にすべりこんできた。

 彼女の舌だった。

「んっ!? んぅっ!!」
今度は俺がうめき声をあげる。
「んんっ、ん~~~っ、はっ、はっんちゅっ」
彼女も同様に声を漏らし、”ぴちゃぴちゃ”と淫靡な音が風呂場に響く。

俺の舌は彼女の舌から逃げる。それを追う彼女の舌…時折正面からぶつかり、
お互いに引っ込んで、また彼女の追撃が始まる。
”ぴちゃっ、ぴちゅっ、じゅるっ、じゅるるっ、あむっ、ふぁっ!”
マリーの息遣いや「あえぎ」が、風呂場にとけていく…
そして、俺はその行動に脳がしびれて、さらにとろけていく。
(もっと… もっと… 彼女が愛しい…)
なにも考えられない。この快感をむさぼりつくしたい… そんな感情が俺を次へを押しやっていく…

俺は、彼女と顔が密着しているだけでは満足できなくなり、濃厚なキスを続けたまま、彼女の手首をつかんでいた手を離し、
彼女の背に手を回してさらに抱き寄せた。
「んあっ! んふぅ!」
彼女の喘ぎ声が一段、高くなった。キスはとまらない。
彼女は手首を離された手を、俺の背中に回し、身体をより密着させてきた。
お互い、からだが熱く感じる。それほど情熱的にだきあっている。
体格は違えど互いの鼓動が確認できるほどに…

”トクンッ トクンッ”
普段よりも鼓動が早いのがわかる。でも、今の状態を解くことは考えられない。
互いに密着し、貪るようなキスは、とどまるところを知らなかった。

「んんっ、んぅっ」
マリーが身じろぐ。どのくらい時間がたったのだろうか。
俺たちはあれからずっと続けていたキスを、ようやくやめた。
”んちゅるっ”
顔を離す際、どちらのかわからない淫靡ななにか吸い上げる音がする。
「んっ…どうした?」
お互いの顔はまだ至近である。
上気したマリーの頬が、碧眼が、彼女を捉えた自分の視界すべてが、己の行動を紳士的なものから逸した。
自分はマリーの頬についた”テラテラ”輝くよだれを舐める。
「んんっ、ば、かへ~の…」
舐められてかすかに嬌声が漏れ聞こえる。”んぁんっ”
そのために彼女は何か言おうとしたが後が続かない。
なので続けて俺は視界に入ったマリーの右耳を舐め、甘噛みした。
「んっ、んひゃあっ!」
噛んだ瞬間、彼女の背が弓形に反る。
抱いた腕に”ビクッ ビクッ”と痙攣する動きがダイレクトに伝わってくる。
痙攣が治まりかけるときに、俺は彼女の頭を抱き寄せ、言う。
「イッたのか?」
「…そ、そんなこと、聞かないでぇ…」
達した直後なためか、垣間見(魅)せるしおらしい態度と言葉。
その吐息が、俺の耳朶を襲う。
”はぁっ、はぁっ、んっ、はぁっ”
呼吸を整えようとするマリー。

正直、俺はガマンの限界を向えようとしていた。

さらにマリーはささやく。
「さ、っきから、ばかへ~のアツイのが… おなかに当たってるの…」
「……」
俺はなにも言えない。彼女を犯したい思考が正常な思考をどんどん浸食してきた。
俺の息子は、すでに臨界状態だ。
マリーに指摘されて、さらに微かな動作でこすれてしまい、いつでも突撃可能だ。
「それに、おなかの下が、すごくジンジンするの…」
彼女にいわれて、俺は抱き寄せていた体を少し離す。
下に視線を落とすと、ささやかな二つの丘の頂には柔らかそうな桜色の突起。
自己主張するかのごとく突き出ているのが判る。
さらに視線を下げ、彼女の股間を望む。
収穫期直前のちいさな麦畑を思わせるようなささやかな茂みの奥、足の付け根は、
水とは違う粘った液体が伝っているのが見えた。

俺の息子はというと、マリーのおなかの部分に離れずくっついて、寄り添っている。
触れているだけですごくキモチイイ。
俺は、
「マリー…」
というと、彼女の脇に手を入れて、彼女を少し持ち上げる。
「え? きゃぁ!」
驚いた彼女は、何をすればいいのか判らず、抵抗できなかった。
そして俺はそのまま、先ほどの双眸の片方を、自分の口に押しつけて、吸った。
”ぺろっ、ぱくっ、ちゅっ、ちゅぽん♪、ちゅぅ~~~”
「なっ! んぅっ! きゃん! やっ! ん~~~っ!!」
俺の一動作毎に彼女は鳴く。
マリーは刺激による快感で突き放すこともできず、俺の頭を抱きしめる。
俺の口はさらに密着し、いたずらする度に彼女は言葉が途切れ、鳴いた。
「やっ、ばかっ、ばかへっ、んぅ! や、やめっ…」
俺はひとしきり、彼女の胸を楽しんだ。

”はぁっ… はぁっ…”
マリーは心なしかぐったりしている感じを受ける。
流石にやり過ぎたか? と思っていると、
「ばかへぇ~…おなかの中がジンジンしてなにか、もう、もぅ」
彼女が言った。
辛抱たまらないような、なにかを欲しがる顔を俺に向ける。

俺は彼女が何を言いたいのかよくわかった。
いや、ここでわからないような朴念仁ではない。
だから言う。
「はじめは、痛いってきくぞ? それでもいいのか?」
「うん、ばかへ~なら……いいよ…」
さすがにこれから何をするのかは、知識はあるらしい。
などと考えていると
「は、はやくっっ」
彼女に催促されてしまった。
こっちもガマンの限界なので、焦らずに急いで、
彼女の茂みの下の部分に自分の息子をあてがった。
そして俺は… 彼女に徐々に入っていき………最後の一線を貫いた。
"http://www38.atwiki.jp/hutarikiri/pages/54.html" 総武の休日<3>
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  • 投稿がはじまりましたら、またご報告に上がらせていただきます。乱文失礼いたしました。 -- 81 (2017-09-20 18:43:41)
  • 現在は視力も回復し、車が運転できるほどになったので、投稿先を小説家になろう へ移動しようと画策しております。 -- 81 (2017-09-20 18:42:36)
  • それと、今後の展開が女の子と二人きり という趣旨に反するため、エタった一因でもあります。申し訳ございません。 -- 81 (2017-09-20 18:41:23)
  • 近況報告。2009年頃に一時失明したため、なにもできませんでした。 -- 81 (2017-09-20 18:40:00)
  • 一話から読んでます。 三話の続き書いてください。お願いですーー。週に一度は更新確認してまーす。 -- 名無しさん (2008-10-04 01:43:23)
  • よっしゃ続き書いてくれた 楽しみーーーーー -- 名無しさん (2008-07-28 21:42:05)
  • 生きてます。2chの規制によるモチベ低下で骨組だけの状態です 申し訳ありません -- 81 (2008-04-13 23:43:46)
  • 完全に更新停止? -- 名無しさん (2008-04-07 16:40:57)
  • この二人がしっかりとくっつくのかどうか気になる。親の反対とか年齢差で今回限りの逢瀬にならないことを望みます。 -- 名無しさん (2008-02-27 17:08:28)
  • 市場のKYっぷりに、投稿してから気がついた(笑 とくにその1でNゲージとかもうね… ……鉄ちゃんだからいいけど… -- 作者@81 (2008-02-22 07:04:53)
  • 何という半殺し・・・ -- 名無しさん (2008-02-10 15:43:53)
  • これはもう・・・・続きをよりいっそうきになる@w@ジー -- 名無しさん (2008-02-09 17:54:47)
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    Λ_Λ ..:::::
   /彡ミ゛ヽ)ー、 ...
  / /:ヽ、ヽ、:|..::
  / /:: ヽ ヽ| .:.
 ̄(_ノ ̄ ̄ ̄ヽ_ノ
はやく続きを… -- 名無しさん (2008-01-22 23:37:02)

  • 続きが読みたーい。この二人はどうなるんだ。 --名無しさん (2007-12-15 20:45:54)

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最終更新:2017年09月20日 18:43