「まだまだ、夢はこれからさ……」

 男には夢があった。

 人とは少し違う、夢と理想があった。

「そう、叶えるんだ……私の、夢を。誰にも辿り着けない、私だけの理想を」



 時を跨ぐ庭園に、生娘が一人佇んで、

「ドクターがいれば、それでいい」

 儚き想いを実らせて、

「それで、いいよ……」

 捧げるのは純潔か? 歩み行く道は、背徳者の道か?

 ルーテシアは一人、悩み続ける。


「偽りの仮面は身も心も、すべてを隠す」

 女は仮面を被っていた。

「ドクターと一緒で自分の存在を実感できない虚しい存在……だから、互いの傷を
なめ合うことが出来た。」

 女は男の夢を知っていた。女は男の夢知っている。

 だからドゥーエは、自分を消して生き続ける。


 これは夢? それが理想? 違う、ただの虚構だ。


「私にはもう、時間がない」

 少女の抱える砂時計、こぼれ落ちる砂粒は、

「時間が、ないの!」

 残り僅かとなりながら、少女を闇へと誘って。

 一つの決断を迫り来る。

「お願い、ゼロ。私の最期に……付き合って」


 絡み合うのは幾つもの策謀、そして陰謀。

 次元を超えた揺らめきと、世界を超えた輝きは、薄汚れた黒き光か。

「救世主オメガが破滅させた世界を、創造主スカリエッティが新たに創り上げる。
最高だと思わないかい?」

 決して不可能ではない、力と意思。

「貴女と私はよく似ている。思想も、行動も、そして理想も……!」

 残酷なる言葉は現実であり、しかし、真実となり得るか?

「さぁ、私の夢はまだ始まったばかりだ……醒めることのないこの夢に、最後までお付き
合い願おうか、ゼロ」

 宣言するは、新たなる戦いの幕開け。



「スカリエッティは、あなたを倒したいんじゃない……スカリエッティは、あなたに!」

 少女の告げる真実は、一人の男の野望を超えた、夢の塊。

 過去と未来、夢と理想、史上最強の決着が、ここにある。



「戦いを始めようか。最強と最狂、無敵と不敗、天才と天才。最後に勝つのは果たして誰かな?」



            ロックマンゼロ-逆襲の救世主-

             2009年1月1日、投下開始予定

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最終更新:2008年12月03日 10:59