リスクとリターン

ルールを知らない内は欲張り、安易に満期の近い、ギアリングの
高い銘柄を選んでしまい、翌日のタイムディケイに食われます。

ワラント特有のシステム
満期、権利行使価格、タイムディケイ。
これを理解する事がワラントのリスクとリターンを理解する事になります。

満期、権利行使価格

全てのワラントに共通していることは満期と権利行使価格が設定されている事です。
「満期までに、コールなら権利行使価格を上回っているか。プットなら下回っているか。」
ワラントは、そう言うことを問いているオプションです。
上回っていない回号は「満期までに行使価格を上回れない可能性」が高くなり
必然的に日を越すごとに価値が落ちていきます。 これがタイムディケイです。

権利行使価格を上回っている回号(インワラント)は「満期まで上回っている可能性」が
高いので、満期が近くてもタイムディケイの減少が比較的ユルく
逆に権利行使価格を下回っている回号(アウトワラント)は「満期までに上回っている可能性」が
低いので、目に見えて極端な価値の減少が始まります。


アウトワラント(アウト・オブ・ザ・マネー)

満期の近いアウトワラントは価値の落ち方が極端に加速していき
株価がほとんど動いてなくても日を追うごとに
1.2 → 0.80 → 0.40 → 0.22 → 0.08 → 0.04と
1週間程度で掛け金が1/30まで落ち込むような事もザラにあります。
最終的に買取値が0.01になり、場合によっては満期を過ぎる前に消滅する事もあります。

3万円が1万円になり5000円になり、最後には100円になり
ほとんどの回号は2度と3万に戻る事はありません。
要するに「満期の近い」「アウトワラント」は初心者殺しの物凄く危険な回号です。

しかし、そう言う回号ほどギアリングが高くなっていくので
0.04まで下がった所から突然、対象銘柄の株価が上昇してインワラント化すると
稀に0.04が2.5まで騰がったりすることもあります。
1万円が62万円になったと思ってください。

そう言う稀にある奇跡が起こったものが騰落率ランキングに入ったりしますが
たとえば0.04まで気配値が下がった銘柄が騰がるかと言えば普通は上がりません。
ほとんどのワラントは下がり続けて0.01円になるか満期を越えて0円になります。
大切な資金を、みすみす消滅するかも分からないクズワラントに掛けられる人は
まず居ません。 だから、そう言う1万が数十倍にもなるような劇的な勝利は
考えない方が、よっぽど賢い投資ができます。


インワラント(イン・ザ・マネー)

満期が訪れる遥か前に、権利行使価格を上回った回号。
或いは発生した最初から上回っている回号の事をインワラントと言います。
予め満期を達成しているので、比較的タイムディケイの目減りが少なく
劇的な勝利こそ無いものの、低リスクで扱い易く、スプレッドも比較的低く
中期的に保持でき、損切りもし易いのが特徴です。

そう言うワラントは最初から高値に設定されていて15円とか20円とか値段が高く
10万程度しか持って無い人は、あまり掛けられないので一見扱い難いように見えますが
そう言うワラントの方が2000Wしか買えなくても、アウトワラントよりも
堅実に利益を挙げてくれたりします。

アウトワラントは3万掛けて-5000円の含み損が、株価の急激な変動で一瞬にして
-15000円になるような事もありますが、インワラントは極端な株価の目減りにも
比較的強く、3万掛けて-2500円の損が、急激に株価が落ちても
-3700円程度で食い止まります。 一度決めた損切りのラインを
一瞬で超過するような事が無いので、損にも強いと言えます。

インワラントに200万円掛けて、その日の内に10万程度の利益を出すような手段を
プロは良く使うそうです。


リスクとリターン

要するに「インワラント」「満期の遠い回号」が低リスク、低リターンで
「アウトワラント」「満期の近い回号」はハイリスク、ハイリターンです。

  • アウトワラントがインワラント化した時に大きな利益が見込める
  • インワラントは利益が比較的限定されているが損も限定されている。
  • 満期の近いアウトワラントは、原資産が予想通りに騰がっても
 タイムディケイに食われて、損切りせざるをえない状態に事が多い。
  • 満期が最長の回号はタイムディケイがほとんど無い

このルールから言って、基本は満期が最も遠い回号を使うのがベストです。
上昇トレンドにある銘柄は、一時的に押し目があったとしてもトータルでは騰がることが多い。
満期の遠い回号は、タイムディケイを意識する必要がないので、
ある程度含み損を抱えてもプラスにひっくり返るまで抱えていられる。
しかし、満期が残り2~3ヶ月程度のアウトワラントだと、値が動かなかったり
思った方向と逆に動いた場合、タイムディケイ損でもう元に戻る事は無いと言う事もある。

インワラント化したものは「騰がるべくして値が上がってるモノ」が
多いので、さらに上昇していく可能性が高く
アウトワラントは「下がるべくして下がったモノ」が多いので
さらに目減りしていく可能性が高い。
気配値が1円を下回った回号には注意が必要です。

アウトワラントでも満期の遠い回号はタイムディケイが緩いので
初心者は満期の遠い回号から入るのが上策です。
理想としては、優良企業の最も満期の遠いアウトワラントを
インワラント化するまで抱えて開始5円 → 1ヶ月保持で22円とかまで
上がる事を期待するのが比較的、堅実で低リスク、ハイリターンに思えます。
たぶんワラントは本来、そう言う掛け方をする事を意図したオプションじゃないでしょうか。


満期            用途
今月~来月     上級者向けの日計り
2ヶ月~3ヶ月後  寄り天抜き
4ヶ月~半年    2~4日のスイング
最も長い満期   インワラント化を期待してロングポジション

こんな感じになると思います。
基本は4ヶ月以上。 今が10月なら2月~4月満期を主軸として意識するのが
リスク、リターンが均衡で良いと思います。
それよりも短い期間を選択するとリターンに対しリスクが見合わない
結果になる可能性が高いです。

満期が今月のモノは損益の如何に関わらず当日売買をしなければ100%損。
2、3ヶ月ものは意外と3,4日抱えるとキツいタイムディケイ損が発生して
思ったように稼げない。
タイムディケイは休日もカウントされているので土日を挟むと月曜に酷い含み損から
開始することになる可能性もある。

満期が近いモノはリターンよりもリスクが圧倒的に高く
相応のリスクを覚悟できた上で売買しないといけない上級者向け。
そして上級者ほど、あまり近い満期のモノに気軽に触れないと思います。


何故ワラントが損を出し易いか

掛け金が少ないと1円、2円程度の気配値のアウトワラントを余力いっぱいまで
買いたがってしまうものですが、0.01円ごとの値動きを大きく設定すると言う事は
それだけリスクが高くなり、不測の事態に耐えられなくなる可能性も高くなります。
加えて1円程度の回号はアウトワラントだったり、満期が近かったりするので
タイムディケイ損で思ったほど稼げず、結果的に損をし易くなります。



3万円の余力があったとして

掛けるなら1円の回号を3万W掛けて1.4円になる事を予想して1万円くらいの利益を期待するより
22円のインワラントを1000W買って3000円の利益を期待するほうが遥かに容易です。

前者は、予想した動きを外すと大幅な含み損を出してしまう可能性があり
タイムディケイを考えたら抱え続ける事が出来ません。
加えて、含み損を少しでも減らそうと損切りを躊躇っている内に損が大幅に拡大する事もあります。

後者は損を想定内に纏められて、損切りに覚悟を必要とせず、予想を外した動きをしても
ある程度は抱え続けられる猶予期間もあるので比較的、利も出し易い。

大切なのは損を出さないこと、損を出しづらいワラントに掛けて種が少しでも増えれば
次に繋がりますが、損をすれば掛けられる種そのものが減って、次はもっと少ない掛け金で
利益を得る事を考えなければならなくなる。
そうならない為にも初心者は、それこそ満期が最長のワラントしか使わないくらいで丁度良いと思います。
「満期の遠い回号って利益が薄いんじゃないか?」と思ってしまいそうですがワラントを理解して、
様々な掛け方を試していくうちに、最後には一周して満期の遠い回号以外は滅多に使わなくなります。


ギアリングは5倍代以下、満期は半年以上、価格は4円以上

伸びる事が予見できる上昇トレンドの銘柄を中長期的に持つ

これ以上の王道はありません。 王道は強く、損も出しづらい。
掛け金も多く掛けられリターンも多く見込める。
よっぽど酷い暴落に立ち合わない限り1度の失敗で資金の半分が減るようなミスも無い。
時間が無いサラリーマンでも出来る。

デイトレ的発想は邪道
今の日経自体が素直に踏みあがって行く市場じゃないので
デイトレには向いていません。
加えてデイトレ自体が利が薄く損を出し易い発想です。
そう言うのが通用したのは03~05年の新興ブームの頃で
今その手段を持ち出すのは、あまり賢いやり方ではありません。

満期の近い、ギアリングの高いアウトワラントで
デイトレを行うのは8割方リスクばかり高いギャンブルになります。
騰落率ランキングを見て1日2日の超短期で莫大な利益を得ようとすると
大抵失敗して損をする可能性が高いので、あまり勧めません。

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最終更新:2007年09月29日 11:32
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