傷ついた彼女、私の一番の親友

彼女が宙を舞う 紅蓮に染まる彼女のバリアジェケット

無残に裂かれる彼女を守る鎧

心ない刃で彼女のからだが割かれるのを

私はただ見ていることしかできなかった―――――



――――――――とある魔術の禁書目録×リリカルなのは―――――――――


「どうして…ねぇ、クロノ!」
 俯くクロノ、それに駆け寄り服をまるで今にも引きちぎりそうになるほどの握る金髪の少女は叫んでいた。
「傷だけじゃないの、無理しすぎた彼女自身の心に成長してない体がついていけなくなったのも原因です…
もしかしたら、もうなのはちゃんは…」
 小さな医療室、小声でシャマルがつぶやくのを聞いて彼女はクロノの服を握り閉めながらそのまま膝から泣き崩れた
言えない真実。彼女の前で私は笑顔でいたかった。今だに復帰を考えている彼女のその姿を見るのがあまりにも苦しかった。
 なんで私はあの時助けに行けなかったのだろうか。そればかりが自分の脳内を駆け巡っていた。
「フェイトちゃん…どうしてそんなに泣きそうなの? 私は大丈夫だよ!」

その言葉が自分の心臓を締め付けてるように感じた。




家、その空気はあまりにも重い。
「クロノ…本気?」
 心配した目でリンディが最愛の息子を見つめていた。
「あぁ、彼女がこうなったのは僕たちが巻き込んだせいだからな」
「…管理局の職員として、私はあなたを止めるわ」
「母さん、それでも僕は止まる気はないよ」
「…母としてもあなたが危険な状況になることを好まないのよ」

 悲痛な表情の母を見ても、彼は自分を曲げない。
「それでも、僕は彼女にまだ恩返しをしていない。管理局の人間として、一人の人間として」

「なのはを治せる…?! でも、…どうやって?」
 クロノが家で伝えた言葉にフェイトは喜びの顔見せた。しかしクロノの顔は険しい。それを怪訝に思ったフェイトはなぜそんな顔をしているのか聞いた。
 不可侵、いや、あの機関自体にかかわるのに管理局の規約を100以上破る必要があると彼は言う。

「魔法を使えない。その状況で身の危険をさらす必要があるんだ…フェイト、治せる方法があることは伝えるが君はなのはのそばにいてくれ」

管理局の禁忌を犯し、彼はただ一人の男としてある都市に赴いた。


 そして彼女、彼の義妹であるフェイト・T・ハラオウンもまた…兄の言葉を無視して――――


嘘予告「レプリカ」


「協力を得ることはできるがここからは出ることはできないよ」
「そこを何とかお願いできませんか、『冥土返し』」
「…彼女の容体を聞いたところここまで連れて来ることが出来る状態だ。あとは君がどうやって連れて来るかだ」
 かつて、一度だけ世話になったことのある医師にクロノは懇願した。しかし、帰ってきた答えは期待したものではなかった。


「私は――――――ここにいる患者を放置して一人を助けに別世界に行けるほどお人よしではないのだよ」

 最大の難関、彼女をここに連れてくる必要がある―――――――





 私服で一人歩いていると不思議な人間にあう。ほとんどが学生だが、こんな暗い所ではその中でも柄の悪い奴らに会う。
「…可愛い子供だな。ふむ、いい感じだ」
「えっと…」
「金髪なんてあまりいないからなぁ…」
 眼が狂っていると感じた少女が逃げようとすると不思議な爆発に囲まれた。魔法かと思うがデバイスが見当たらない。
「力を使わないなぁ…レベル0か?」
 デバイスも何もない彼女ではただの11歳の少女。絶対的な危機を救ったのは――――
「まったく、偶然ですよ。これはあくまでも命令に従っただけですから『グループ』からのね」
 パンパンという軽い音と倒れた男たちの背中から一人の優男に彼女は出会う。
「名前は言いませんよ。とりあえず子供が来るようなところではありませんよ?」

名もなきアステカの魔術師と金髪の魔道師の出会い





「…フェイト・テスタロッサ?」
「私を知っているのですか…?」
「いや、だって理論はここで作られたからあなたの設計図はあるわよ?」
 “作られた”、彼女は今、そう言われた。
「『プロジェクトF.A.T.E』だったかしら…」
 2年前の彼女がちぎった鎖は彼女を放す気はなかった――――――








「なのはちゃんをどこに連れていくんや、クロノ君…」
 クロノの前に立ちはだかるのは仲間であり、最強の戦士たちと魔術師。それでも彼は管理局の禁忌を破り続ける。例え、四肢が動かなくなっても彼は抗うだろう。彼は―――男の子だから。
「はやて、僕にも意地があるんだ…男としての」





「クロノ…」
「ユーノ、話は通してある。あとは頼んだよ」

 右手に持った拳銃、それを向ける相手は学園都市の警備隊。その後ろでなのはを抱いたまま座っていたユーノは唇を血が出るほど噛みしめて走り去った。
「クロノ…信じているぞ。全員で帰るんだ…」
「誰に物を言っているつもりだ、この小動物が」
悪態が、悲しく聞こえる。彼の姿が見えなくなったころ、ひとつの軽い銃声が聞こえた――――





「子供を見捨てるほど私はひどい奴じゃないのよ!」
 全身からでる電撃、それがフェイトを襲う銃弾から守る。





「なァ…いい加減に黙れ、クソガキ」
 自分がクローンであることに嘆くフェイトに最凶の能力者は怒気を交えた声で彼女に話しかける。
「テメェがさっきから行ってることはなァ―――――」




「生まれてこなきゃよかった…」
「どうしてってミサカはミサカは疑問におもったり。だって、生まれてこなかったらあなたは“なのは”に会えないんだよってミサカはミサカは思う。あたしも姉妹も、全員がつながっているけどみんな自分が自分であると認識しはじめてるよってミサカはミサカ―――」
「で、でも、」
「君がここにいることに間違いはないんだよ。ここにいるのはフェイト・T・ハラオウン、君が自分の過去に悲観するのはいいが君が出会った人は偽りじゃないのだから」
 カエル顔の医師がほほ笑んだ。そして、白衣を揺らして後ろを向き、暗い部屋に向かう。その部屋にあるベッドにはフェイトの大切な人。
「さて…始めるかな、君の大切な人を助ける一仕事を」




「なのは―――――」
「フェイト…」

二人はまた空を飛ぶ――――――FATEを打ち砕き―――そして未来へ!

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最終更新:2008年03月29日 14:43