177 : ◆P5jZIheRaY:2009/08/23(日) 01:00:14 ID:LpN7h1ol

「あ、あの…お嬢様?」
「…なによ」
「わ、ワタクシは一体全体、どこで寝ればよいのでしょうか?」
24時間つきっきりで、とは言われたけど…まさか寝る時まで一緒ってことはないよね?
紳士レベルの高さには定評のある自分も、一介の思春期の男子でありまして、決して聖人ではない訳で。
細かいシチュはともかく、可愛い女の子と同じ部屋で寝ろと?自分、精神的にも身体的にも持ちませんよ…
「…あんたは床で寝なさい」
はい、今ナント?
床で寝ろ、You must sleep on the floor …いや、命令形だから単純にYou sleep on the floorでいいのか?関係ないけど。

「…家に帰って寝てもよろしいでしょうかね?」
「駄目に決まってんでしょ、ばか」
何だ、召使は犬扱いなんですか。そうですか。
猫扱いならまだいいよ、寒い季節はベッドに入れてもらえるしね。まぁ、自分がそれをやったら犯罪ですし、
寿命が縮むどころか命日を迎えそうではありますが。そもそも、そんな図太い精神は持ち合わせていませんし。

とりあえず、ここで自分が選べる選択肢は三つ。
1. 無理矢理にでも家に帰る。
2. このわがままお嬢様を説得し、他の方法を提案する
3. 床で寝る。犬っころの世界へようこそ。

ところで、ここで無理矢理「帰る」を選択すると、他のヒロインとの初遭遇イベントでも起きるのでしょうかね?
まぁそういうのは主人公だけの特権ですか。万年脇役以下、踏み台レベルの自分には縁のない話です…

「…なにブツブツ言ってんのよ」
「ちょっと世の中の不公平さを嘆いていただけです。お気になさらずに…」
「熱でもあるんじゃないの?」
お嬢様がなんとも微妙な眼差しを向けてくる。何を考えているのかよく分かりませんが、なんか惨めになるんで止めてください。本当に熱出ちゃいますよ?
「…ちょっと」
ちょっと、って何だ。何を指してるんだ。ちょっとしょっと?
それより、その手を上げようがやめようか迷っているのは何ですか。高さ的にちょうど自分の口のあたりですし、ぺろんちょと舐めちゃいますよ?いや、そんな度胸ありませんが。

178 : ◆P5jZIheRaY:2009/08/23(日) 01:03:57 ID:LpN7h1ol

ぴとり。

なんのおと?額にお嬢様の雪のように白くて綺麗な、すべすべしていて撫で回したくなるような手が当てられた音ー!

…いや、実際音はしていないはずですが、自分には聞こえた。間違いない。
これはアレですかね、熱がないか見てくれているんですか。お嬢様のひんやりした手の感触に、ちょっと感動。

「ちょっと熱い」
「いや、大丈夫です、のーぷろぶれむです。想定内で…」
想定内です。と言おうと思った。言う予定だった。だが中断せざるを得なかった。それは何故か。

お嬢様の額が当てられていました。自分の額に。

これはアレですね、48の検温法のひとつ、「額と額を当てて熱があるか見極める」。
顔が非情に近いのはもちろん、ちらちらと覗く胸元。これ最強。
ついつい見てしまう己の視線を逸らそうにも、体が言うことを聞かない。さらにシャンプーなのかトリートメントなのか、なんかいい匂いまで漂ってきてパニックに陥る。
最悪の場合(精神的に)死亡する危険もあるので、素人にはとてもオススメできない。ま、普段そういうシチュに縁のない俺みたいなのは、保守でもやってなさいってこった。

「…ほしゅ?」

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最終更新:2009年08月29日 11:59