326 :1:2008/07/29(火) 15:22:07 ID:/FrkqDVR

327 :名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 22:14:34 ID:pL1yNcra

328 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:15:16 ID:/Vatdmur

329 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:55:43 ID:ZrAoVlNo

330 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:00:05 ID:LVJqwoOh

331 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 17:26:26 ID:0NgOH8Zu

332 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:31:48 ID:LLkoEWQD

333 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 19:34:00 ID:/Vatdmur

334 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 19:44:12 ID:F0WGVPMx

335 :名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 20:25:10 ID:L8SN4tne
全く無茶しやがって・・・w
371 ::2008/08/16(土) 04:02:52 ID:hXdBdW8P
今更だけど>>326-334を書いてみた。
寝ぼけてるから期待しないでくれw

タイトル『ほしをくれたうさぎ』

372 ::2008/08/16(土) 04:03:35 ID:hXdBdW8P
 故郷のある地球からは見えない、月の裏側。森と花畑が広がり、小川のせせらぎが流れる世界で、
あのとき僕は命を繋いでいた。

 僕が火星へ向けて故郷を旅立ったのは二か月前。丈夫な厚手のマントに身を包み、新調した杖を
握りしめ、自ら描いた大きな魔法陣の中心に立ち呪文を唱えた。
遥か下方から村の人たちの歓声が聞こえる。隣を舞うように飛ぶ仲間と目を合わせ笑い合った。
僕たちは、火星の牧羊地開拓という重大な任務に携わっているという実感と喜びに打ち震えていた。
年中真っ赤な色をした葉っぱをまとう火星の木々も、きっと良い燃料となるだろう。
大きな山脈には雪が降るかもしれない。火星開拓は僕たちの文明の発展にとって、とても大きな
一歩となるはずだ。
だからぼくは…
今まさにその栄誉に浸っているであろう仲間たちのことを思うと、複雑な気分になるのだ。

 飛行は順調だった。僕の体はすいすいと星屑の間をすり抜けていったし、仲間の女性陣が乗る箒の
調子もずいぶん良いようだった。
しかし、星座の神々との交信を楽しみ、天の川を飛び越えたあたりで、事故は起こった。
少し前に生まれたばかりの流れ星の子どもが親と喧嘩をして暴れまわり、偶然傍を飛んでいた僕に
衝突したのだ。僕は軽々弾き飛ばされた。再び天の川を飛び越え、月の地面に衝突した。
「月に行ったら帰ってくることはできない。」
お師匠様がよく言っていた。「月の神様に捕まってしまうから」と。
だから、仲間が助けに来られないのも分かっていたし、恨めしく思ったりもしなかった。
ただ、自分の境遇を、これからのことを思うと、不安でいっぱいになった。
月の地面は固く、魔法陣すら描けなかった。杖もどこかに行ってしまった。
少しだけ、涙がこぼれた。
新月の夜だった。

 月に来て三日目のことだった。持っていた保存食も底をつき、途方に暮れていると、岩陰に
一羽の兎がいるのを見つけた。空腹を満たすことしか考えられなかったその時の僕は、魅了の
魔法にかかったようにその兎を追いかけた。
兎が逃げる。僕が追う。兎が逃げる。僕が追う。兎が逃げる。僕が追う。
繰り返すうちに、兎は月の裏側に逃げ込んでしまった。兎が逃げる。僕が追う―――
追った先に、花畑を見つけた。

 それから兎はたびたび姿を見せるようになった。森にも小川にも食べ物はたくさんあったので、
もう兎を追いまわすようなことはしなかった。僕たちの距離は少しづつ近くなっていった。
月に来てから十日が過ぎる頃には、僕たちはじゃれ合って遊ぶようになっていた。
兎が逃げる。僕が追う。兎が逃げる。僕が追う。兎が逃げる。僕が追う。
前と違うのは、僕が笑顔で、兎がどことなく楽しそうに跳び回っていることだった。

 月に来てから二週間と一日目の晩。今日は満月の夜だ。
僕は小川のほとりに建てた小屋の中で横になっていた。今夜はなぜか寝つきが悪い。
昼間に兎と遊ばなかったからかもしれない。兎は久しぶりに姿を見せなかった。
ふと、開け放った小屋の入口から、何かが中に入ってくる気配がした。
兎かな、と、僕は思った。当然だ。この世界には、僕と兎しかいない。
しかし、ほのかに見えたシルエットは、人の形をしていた。

373 ::2008/08/16(土) 04:04:53 ID:hXdBdW8P
 「…誰?」
声に出すかどうか少し迷った後で、僕は小声で尋ねた。
「こんばんわ」
鈴の鳴るような、綺麗で、ひどく澄んだ声が答えた。
「…誰?」
もう一度尋ねた。
「私は…月の女神・ルナです」
血の気が引いた。お師匠様の言葉を思い出す。「捕まってしまう」?この世界で人に似た姿のものと
出会った、それだけでも混乱しているのに、「何をされるか分からない」という不安も重なって、
僕は声を上げることすらできなかった。
「怖がらないで…」
月の女神・ルナと名乗った女性は、ゆっくりと僕に近づいてきた。心臓が早鐘を打つ。
シルエットのてっぺん、頭からは、何か細長いものが二本突き出しているのが見えた。
角だろうか?僕は食べられるのか?せめてもう一度兎に会いたかった。
様々な思いが頭を駆け巡る。
彼女――でよいはずだ――が腕を伸ばしてくる。覚悟もできぬまま目をきつくつぶった瞬間…

抱きしめられた。

 「ああ…ずっとこうしたかった…」
僕の混乱は収まるどころか一層ひどくなった。仰向けに寝転がった僕に覆いかぶさる彼女の顔は、
まさに月の女神といった表現がぴったりの、凛とした神々しい美しさを湛えていた。
大きくぱっちりとした瞳には涙が浮かび、長いまつげを濡らしている。
腰まで伸びた黒髪が脇腹をくすぐるが、そんなことを気にかけている余裕は全く無かった。
彼女は何も身に纏っておらず、二つのなにか大きくて柔らかい感触と、時折感じるコリっとした
小さな感触が、薄い毛布越しに押し付けられ、僕の混乱に拍車をかけていた。
目を白黒させ、先程とは違った意味で鼓動を高鳴らせている僕に向かって、彼女は話し始めた。

 「初めて会ったのは、この世界の裏側でしたね…あなたが落ちてきたときは驚きました。
こっちまで音が聞こえてきたんですから」
…?彼女は僕が落ちてきたときのことを知っているのか?彼女は続ける。
「怖かったんですよ?他の人を見るのなんて初めてだし、私を見つけたらすぐに追いかけまわすし」
他の人は初めて?お師匠様の話も所詮噂なのかな…それよりも、これって…でもまさか…
「でも…お花畑であなたが私を受け入れてくれたのは、すごく嬉しかった…
ずっと一人っきりだったから。寂しかったから…独りが二人になっただけだけど、でも幸せだった…」
…やはり、そうなのだろうか…この世界で僕が出会った「ひと」なんて、「ひとり」しかいない。
「…君は…ひょっとして…」
尋ねると、
「…はい。私は…あなたと遊んでいた、兎です」

374 ::2008/08/16(土) 04:06:48 ID:hXdBdW8P
 当然のことだが、少なからず驚きはあった。兎だと思ってたのがじつは女神様?
信じられない。でも信じざるを得ない。
言われてみれば、彼女の頭に生えているのは、間違うことなき兎耳だった。彼女はなおも続ける。
「あなたは笑うでしょうか…仮にも女神である私が、たった一つのものに心奪われ、毎日
そればかり考えるようになってしまいました。おかしな話です。これではまるで星座となった
乙女たちのようではありませんか。そう…私は…
人間であるあなたに、恋をしてしまったのです。」

 今度はあまり驚きはしなかった。彼女を笑うこともしなかった。
なぜだろうか。答えはすぐに見つかった。簡単なことだ。
隠す必要もない。言ってしまおう。
「…僕も、あなたに恋をしています。」
そう。僕も彼女に恋をしていた。たとえ相手が兎であったとしても。
毎日繰り返される逢瀬を、目を覚ましている間中待ち焦がれていたことを、他にどう説明できよう。
花畑の間から覗く彼女の耳を見つけたとき一瞬にしてときめいたあの気持ちを、
恋と呼ばずして何と呼ぼう。僕は兎に恋をしていたのだ。
「…嬉しい…なんと幸せな心地でしょう…」
この姿を見せ、嫌われたらどうしようと思うと、ずっと苦しかった。彼女は告げた。
それでも僕に自分のすべてを知って欲しかった、とも。
彼女は僕の背中にまわした腕に力を込めた。僕の腕も、彼女の腕の動きをなぞった。
もはや一片の迷いもなかった。僕たちは、どちらからともなく瞳を閉じ、柔らかく、口づけた。

-------------------------------------------------------------------------------------
 
 僕の下で顔を真っ赤にしている彼女は、もはやかなり荒い息になっていた。
瞳に溜まった涙は、痛みによるものか、幸福感によるものか。繋がったばかりの二人は、
互いに余裕など持ち合わせていない。
「い、痛い?」
「ぃ…ぃだ…いえ……へ、へいきです…くぅっ……」
苦しそうな喘ぎが、まったく平気ではないことを雄弁に物語っていた。
「で、でも」
「…ぃいから…して……あなた…と、ひ、ひとつに…なれて…ぅっ……しぁゎ、せ…」
ああ。耐えられるものか。
「女神様っ!」
「だ…め……るな、って…ぅあ…」
「ルナっっ!」
僕はゆっくりと動き始めた。破瓜を経験したばかりの彼女の膣は、僕のものを痛い位に締め付けてくる。
快感に溺れそうになりながら、僕は彼女の粘膜を擦り続けた。
「っひっ…ぐぅっ…んっ……ぅうぅぅ…かはっ…」
彼女は必死で痛みに堪えているようだった。長い耳がプルプルと震えている。
猛烈に彼女が愛おしくなり、震える耳を指でなぞり、できる限り優しく舐め上げた。
「ふひゃっ!?ぅやぁ…みみ…っあっ…!らめ、なぃれ……」
彼女の喘ぎに甘いものが混じり始めた。僕は耳を舐め続ける。
「んっ…あん…ぃゃ…みみ、きも…ちぃ…あぁんっ…」
少しづつ腰の動きを速めていく。
「いっ、あんっ!…あっ!…くふぅっ…はっ、はやい、の…いぃっ……!」
「…ぐっ…る、ルナっ!そろそろ、いくよっ…!」
限界が近づいてくる。
「ぅ、うん!きてっ!きてっ!いっぱ…ぃ!」
「はぁ!はぁっ!いくよっ!ルナっ!出るっ!ルナっ!」
僕のものを思いっきりルナの奥までねじ込み、いちばん深いところでぶちまけた。
「っ、うっ!っあぁっ!」
「ぁあぁっ!ぉ、おくで…でてぅ…!んぁぁぁん!」
二人同時に大きく体を震わせた後、崩れるように倒れこんだ。
月に来てから一番の幸福感を感じながら、僕はそのまま眠りに就いた。




375 ::2008/08/16(土) 04:07:44 ID:hXdBdW8P
 それからの日々は、まさに蜜月という言葉がぴったりだった。
僕と彼女は二人っきりだった。他には何も要らなかった。そこは僕たちだけの世界だった。
朝は彼女とともに目覚めた。
一日中花畑でじゃれ合った。
日が暮れると、静かな闇の中で、何度も体を重ねた。
言葉にならないほど幸福な日々だった。
だから、
彼女の表情に影が差したことにも気が付けなかった。

 月に来てからちょうど一か月後のある朝。彼女はいなくなっていた。
僕は必死で探しまわった。広い花畑も、木漏れ日の溢れる森も、土と岩の支配する、表側の世界まで
探したけど、結局彼女は見つからなかった。心身ともにくたくたになって小屋に帰ってきたぼくは、
夕食もとらずに眠ってしまった。

 物音に目を覚ました僕の足元には、見慣れた兎の姿があった。僕はすぐさま飛び起きた。
「ルナ!どこに行っていたんだい!?心配したじゃないか!」
しかしルナは答えなかった。代わりに、悲しそうな眼をして告げた。
「あなたは、故郷に帰らなくてはなりません」

 「…え?」
僕は耳を疑った。ルナは…僕を拒否しているのか?彼女が続ける。
「神も、人も住むべき場所は一つに決まっています…これは宇宙の摂理…
私は月で、あなたは地球。あなたはここにいるべき存在ではないのです…」
そんな…あんなに愛し合っていたのに…
「近いうちに、地母神ガイアの使いがあなたを連れ戻しにくるでしょう。
もし応じなければ、あなたが存在ごと消されてしまうかもしれない…」
でも…!
「だからせめて…『月の壁』の力が弱まっている新月の今夜…」
そんな…
「わ、私自身の意志で…見送らせて…ください」
そんなこと、応じられるわけがない。だって…
「そんなに、声が震えているのに…」
彼女の足元に雫が落ちた。僕の足元にも同じ模様が浮かんだ。
逆らうことはできないのだろう。女神が言うのだから間違いない。かといって、あまりに突然の
別れを受け入れられるはずもない。
彼女も僕も、今や大粒の涙を流していた。それぞれの足元に広がる雫の跡は、
魔法陣を描いていた。



376 ::2008/08/16(土) 04:09:00 ID:hXdBdW8P
 ああ。
ついにこのときが。
愛しい女神様に、僕の抵抗は効かないようだ。彼女は、涙声になりながら呪文の詠唱を続けていた。
僕は自然とほほ笑んでいた。
ゆっくりと体が沈んでゆく。二人っきりの世界に終りが近づいてくる。
「愛してる…!」
僕は叫んでいた。
「一人ぼっちだった兎もっ!」
膝まで沈んだ。
「綺麗な女神様も…!」
腰。
「可愛い…僕の、こいびともっっ…!」
鳩尾。僕の顔はぐちゃぐちゃだ。
「全部っ!あ、あぃしてるっ…!…ぅ…」
胸。僕は大きく手を振る。
「ず、ずっどっ!」
鎖骨。声が詰まる。
「わずれなぃよっっ!!!」
首まで沈んだとき、彼女が詠唱を終えた。
全速力で跳んで来る。最後まで可愛い兎だ。
彼女の顔もぐちゃぐちゃだった。
「ゎだじもっ…!」
絞り出すような声。
「あいじでるぅっ!」
何か固くてとげとげしたものを僕の手に押し付け、叫んだ。
「ごれっ…もっでで!はなざだいでっ!わだじのごど…ゎっ、わずれだいで…!」
僕も叫び返した。
「わすれだいっ!ゎずれないよっ!あいじでるっ!るなっ!」
「あいじでるっ!あいじでるっ!」
彼女の叫びが少しづつ小さくなり、やがて聞こえなくなったとき、僕は故郷の大地に立っていた。
僕の右手には、金色の小さな星が握られていた。

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377 ::2008/08/16(土) 04:09:41 ID:hXdBdW8P
 僕が地球に帰って来てから、早くも一か月が過ぎようとしていた。
予定よりもずっと早く、しかもたった一人で戻ってきた僕に、村の人たちは色々な質問をしてきた。
でも僕は何も答えなかった。
しばらくすると、村の人たちも何かを察してくれたたのか、質問しなくなった。
僕はほとんど抜け殻状態だった。いつまでたってもルナのことが忘れられない。
当然だ。約束したのだから。
夜になると、いつも月を見に行った。小高い丘に登って目を凝らしては、あの、土と岩しかない
世界に、兎が跳ぶのが見えはしまいかと、叶わぬ希望にすがり続けていた。

 それは新月の夜だった。始まりと、終わりの夜。見えるはずのない月を探しに、ぼくは暗闇の中を
歩いて丘へ向かった。
丘の上で立ち止まり夜空を見上げた時、とてつもない悲壮感に襲われた。
僕は何をしているのだろう。どうにもならないことだったのに。彼女の精一杯の決断だったのに。
でも諦め切れるわけがない。僕たちは愛し合っていたのだから。
僕の手は、ペンダントにしてぶら下げていた、彼女のくれた星屑を握りしめていた。

 刹那。溢れる光。星屑は、貧弱な鎖の呪縛を断ち切り、天高く昇って行った。あまりの輝きに
目を開けていられない。
しばらくして落ち着いてきたその光は、凛とした、神々しい美しさを湛えた、
月のような光だった。

「こんばんわ」

鈴の鳴るような、綺麗で、澄んだ声。
少し震えているのが分かる。
てっぺんには、長い耳が揺れている。

「会いに来ちゃった」

僕は駆け出していた。
すぐに涙で前が見えなくなった。
きっと彼女も同じだ。
広げた僕の両腕の中に、ずっと待ち焦がれたぬくもりが跳び込んできた。

――終――


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最終更新:2008年08月22日 14:12