「なぁ、さくら」
「なに?」
「なんか聞こえるけど、重機とか出てんのかなぁ」
「そうなんじゃないの?」
「掘り返してんのかなぁ」
「そうだろうね」
「あー、早く助けてくれねーかなぁ」
「そのうち助けてもらえるよ」

「なぁ、さくら」
「なに?」
「俺らよく生きてたよな」
「運が良かったんでしょ」
「他の連中、どうなったんだろうな」
「……さぁ」
「お前って冷たいよな」
「高峰だって冷たいよ」
「そんな事ないだろ」
「そんな事あるよ」

「なぁ、さくら」
「なに?」
「腹減ったなぁ」
「喋ってるからおなかすくんだよ」
「お前は減ってないのか?」
「減ってるに決まってるじゃん」
「腹減っても、出るもんは出るんだなぁ」
「……はいはい」
「やっぱ冷たいわ」
「馬鹿な事言ってないでおとなしくしてなよ」

「なぁ、さくら」
「なに?」
「俺ら助かるのか?」
「そのうち助かるよ」
「でもさぁ、もう何日目よ?」
「何日も経ってないでしょ」
「でも、携帯の電池切れちまったじゃん」
「ゲームなんかしてるからでしょ」
「いや、そうだけどさ」
「ボクのだって、勝手に使うし」
「……悪かったよ」
「いいよもう」

「なぁ、さくら」
「なに?」
「お前けっこう可愛いよな」
「はッ、はァ!?」
「いや、前から思ってたんだけどさ」
「な、何言ってんのいきなり?」
「背もちっちゃいし、けっこう俺好みなんだよな」
「あのねぇ、ボクは──」
「あー! 真っ暗なのが悔やまれるなぁ」
「……ボクは真っ暗でよかったよ」
「冷たいなぁ」
「いいから黙っててよ、酸素が減るでしょ」
「こんなんで酸素が減るなら、俺らとっくに死んでるだろ」
「まぁ……そうかもね」
「なぁ、さくら」
「今度はなに?」
「エッチしねぇ?」
「はァッ!?」
「いや、俺まだ童貞だしさぁ」
「あっ、あのねぇ! 高峰、こんな時に何考えてんの!?」
「こんな時だからだよ。死ぬ前に一回ぐらいやっときたかったなぁーって」
「だからって、なんでボクなの?」
「だって、お前しかいねぇじゃん」
「そうじゃなくて!」
「さっきも言っただろ? けっこう好みなんだってば」
「いや、高峰の趣味は関係ないって! ボクは──」
「あー! もう襲っちゃおうかな」
「ちょっ、わぁっ!?」
「お、やーらけぇ~」
「ちょっと、こら!」
「いや、お前けっこう肉付きいいのな」
「ちょっと、やめ──ひゃぁ!」
「あ~、可愛い声出すじゃん」
「う、うるさいっ」
「やべ、俺本気になってきたかも」
「ええぇ!?」
「いや、マジ、もうね、我慢できんわ」
「ちょ、ちょっ、考え直して──んっ!」
「んっ……」
「あっ、んぅ……」
「これ、勃ってんの?」
「ば、ばかっ……ひゃぅ」
「けっこう感じてる?」
「やめてって、やっ……」
「こりこりしてる」
「馬鹿ぁ!」
「ダメ?」
「だ、ダメに決まって──ひゃぁっ!」
「すっげ、びくびくなってる」
「言うなぁ!」
「マジ俺、なんで今までお前の魅力に気づかなかったんだろう」
「なにがぁ!?」
「あー、これってあれかな、なんだっけ、吊り橋効果とかいうやつ?」
「知らないよそんな──ちょっとぉ! どこに手入れてんのっ!」
「あ、お前、これ、濡れてんじゃん?」
「馬鹿っ! やだちょっと、なに脱がしてんのっ!」
「あーもう、いいだろ?」
「な、何がっ」
「もういいじゃん、な? お前だって一度もやらずに死にたくなんてないんだしさ」
「勝手に決めないでって──んっ、あぁぅ!」
「もうやる、決めた。やるしかない」
「だから勝手に──あぅ、ヤダちょっと、本気!?」
「本気と書いてマジ」
「でもっ、でもほら! お、おなかすいてるんでしょ?」
「そんなの忘れた」
「ええぇ? ぼ、ボクは冷たいんじゃないのっ?」
「ここ、熱いし」
「あぅっ、馬鹿ぁ!」
「あー、お前の顔見えねぇのが悔しいなぁ」
「ボクは見られたくないっ!」
「んじゃいいじゃん。見えないし」
「よ、よくないでしょぉ!?」
「いくぞ……んっ!」
「あっ、ダメ、ダメだって──あっ、ひッ!」
「うあ、すっげ……うわこれ、すげっ」
「痛ッ、痛いってばぁ!」
「いや、ちょっ……マジすげぇ」
「抜いてっ、痛いって高峰ぇっ!」
「ごめん、無理」
「ええぇっ!? そんな、ひゃっ!」
「ここ、いじるからさ、な?」
「そんな、やっ、あっ、ひぁっ!」
「あぁっ、さくら、すごいわ……マジ、これ、ああぁ……やべ、もうやべぇ!」
「ひっ、ひぅ……ひゃぅ……」
「あああぁっ──出るっ、くぅッ!」
「ひぅ、あっ、くぅ……」
「あぁっ、すげ、あああぁ、さくら……出た、出ちゃったよ……」
「うう……うううぅ」
「すごいよ、マジすごかったよ、さくら……」
「うぅ……馬鹿……高峰の馬鹿ぁ!」
「あ、え、えっと……ごめん」
「謝るくらいなら最初からするなぁ!」
「ごめん……あっ」
「ったくぅ……」
「ほんと、ごめん」
「もういいよ……」
「ほ、ほんとか?」
「ちゃんと、ぼ、ボクの事も……気持ちよくしてくれたら、許してあげるよ」

     *     *     *

「えー、新たに、生存者が救出された模様です。現場と繋がっていますので、
呼んでみましょう。現場の滝川さん──」
「はい、こちら現場の滝川です。つい先ほど、崩れた瓦礫の下から、こちらの
学校の生徒とみられる少年ふたりが救出されました。二人は衰弱しているもの
の意識ははっきりしており──」

                                     Fin.

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最終更新:2007年08月13日 18:04