北条鉄平のカケラ
――これは、ある一人の男の悲しい物語

北条鉄平は悩んでいた。

沙都子をいじめてなんかいないのに、沙都子はワシを見て怯える。
それどころか沙都子の大好きなぬいぐるみやお菓子を買ってきても
受け取ってくれない……。

妻は沙都子や悟史を叱ったりはしたがそれは妻なりの考えがあったから。

確かにそれは限度を超えるときもあった。
そして、一年前、妻が殺され沙都子も悟史も元気がなくなってしまった。
元気付けようと仲間を呼んで、園崎さんの娘さんが部活で提案した
麻雀を誘ってみたりもしたが駄目だった。
仲間も沙都子のために色々お土産を持ってきてくれたが、
やはり受け取ってもらえなかった……。

北条鉄平が沙都子を一年間放置したのは、
沙都子は自分と一緒に居ては幸せになれないと思ったから。
実は村人に沙都子の事を預かってほしいと相談したのも北条鉄平だった。

結局その時は応じてくれなかったが、しばらくしてから雛見沢を訪れた時、
沙都子がちゃんと暮らしてるのを見て安堵するのであった。
彼は雛見沢を去ってからも度々訪れては沙都子を見守っている。
北条鉄平の夢は沙都子と仲直りしたい、それもある。
それもあるが孤児院をつくって身寄りのない子供達を保護するのも夢の心優しい男。

彼は雛見沢がガス災害によって朽ちるのを思い出す。
気が遠くなるほどの昔の世界……100年を超える過去。
村のみんなが仲良しで、祟りもない、罪がなかった世界。
綿流しの祭の日に富竹が死に、鷹野が消え、村に疑心暗鬼が満ちた。
そして、幸せが絶望に変わる、あの日。

村人は抗った。
仲間が殺されることから、死の恐怖から必死に逃げた。
中には立ち向かう者もいたが、たった一つの音で綺麗に散った。

北条鉄平も沙都子やその友達が山狗に殺されるのを助けられなかった。

目の前に居たのに! 

力が足りなくて助けられなかったことを思い出してしまう!

……数多の世界で後悔したカケラ。
赤坂だけじゃない、北条鉄平という駒が足りなければ奇跡は起こせないのだ!

北条鉄平は綿流しの祭りの日、
沙都子やその友達を助けに裏山で小此木と戦う。

  • 「数多の世界で後悔したんね……。お前を傷付けたこと、
  • 通帳を守れなかった事。沙都子ぉ! 助けに来たん!!」

ひぐらしのなく頃に 鉄囃し編

映 画 化 決 定

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最終更新:2007年10月22日 16:47