観音堂

念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂〜三国伝来の佛教美術


概略

南鐘楼の先、本堂に向かって右側の念仏宗の観音堂では、観音菩薩をお記りし、千四百六十四点もの彫刻群が堂内外を荘厳している。
凡夫を救わんがため、この世に下生された観音菩薩は、春属である二十八部衆と風神・雷神と共にあらゆる方便を用いて、一切衆生を阿弥陀佛の浄土へ導かれる。
彫刻欄間に描かれた情景は、三十三観音が宙を舞い、平和の象徴である鳳風が飛翔し、人々に菩提心を起こさせる。

高さ31.3m(基壇、棟飾り込)、桁行(幅)39.2m、梁間(奥行)33.0m

中華人民共和国、工芸美術大師・佘國平佛師制作の全高10.75mの観世音菩薩像を祀っている。

観世音菩薩は、佛でありながら、私たち凡夫を浄土へ渡さんがために、この世に下生され、三十三の御化身といわれる様々な御姿をもって現れ、群萌を救い上げ、浄土へ導かれる菩薩である。


念佛宗(念仏宗)無量寿寺 観音堂の三十三観音

御堂の中、三面の欄間には、観音菩薩の三十三の御化身を現す三十三観音が描かれている。あらゆる衆生を救わんがため、時、場所、人に応じてお姿を変化される。
尊名は楊柳観音、竜頭観音、持経観音、円光観音、遊戯観音、白衣観音、蓮臥観音、滝見観音、施薬観音、魚藍観音、徳王観音、水月観音、一葉観音、青頸観音、威徳観音、延命観音、衆宝観音、岩戸観音、能静観音、阿耨観音、阿摩提観音、葉衣観音、瑠璃観音、多羅観音、蛤蜊観音、六時観音、普悲観音、馬郎婦観音、合掌観音、一如観音、不二観音、持蓮観音、灑水観音


念佛宗(念仏宗)無量寿寺 観音堂の彫刻 「瑞獣・瑞鳥」

瑞鳥「鳳凰」の彫刻が欄間彫刻、木鼻彫刻など、多く彫られ、四囲をお護りしている。
彫金、飾り金具にも「鳳凰」が多い。
鳳凰は天下太平、世の中が平和になった時に現れる瑞鳥である。
鳳(ほう)が牡(おす)、凰(おう)が牝(めす)。
念仏宗観音堂で最大の鳳凰彫刻は内陣天井の彫刻。重量約5トンある。

これらは、天下に道徳が行き渡ると姿を現すとされ

獏は象の鼻、犀の目、虎の足を持ち、力強く
麒麟は一角と馬の蹄を持ち、毛のある動物の長
白沢は、智慧があり人語を話し
驚は神霊の精
鳳凰は、羽のある生物の長で、四海を飛翔するといわれる(『和漢三才図会』)




参考 観音経

『法華経』の四要品の一つで、王経ともいわれる。
観世音菩薩のお働きが説かれた経典。

佛は無尽意菩薩に告げたもう。『善男子よ、若し無量百千万億の衆生ありて諸の苦悩を受けんに、是の観世音菩薩を開きて一心に名を称えんに、観世音菩薩は、即時に其の音声を観じて、皆解脱することを得せしめん』
  『法華経』「観世音菩薩普門品 第二十五」

〔意訳〕
釈尊は、無尽意菩薩にお告げになりました。「善き人よ。もし無数の多くの迷える人々が、どんなにありとあらゆる苦悩を受けていたとしても、この観世音菩薩からの呼びかけを聞いて一心にその名をとなえるならば、観世音菩薩は、直ちにその声を聞き悟って、皆、苦しみから救い出すであろう」



極楽浄土は一所 つとめなければ程遠し 我らが心の愚かにて 近きを遠しと思ふなり (後白河法皇)
極楽浄土は二つとないが、精進しなければ遠いものである。私たちの心が愚かなために、近くにあるはずの極楽の世界を、ずっと遠くにあるものと思ってしまうのだ

弥陀の誓いぞ頼もしき 十悪五逆の人なれど 一たび御名を唱ふれば 来迎引接疑はず (後白河法皇)
阿弥陀佛の御誓願は何と頼もしいものだろう。たとえ十悪や五逆罪を犯した悪人であっても、一度の南無阿弥陀佛にて、必ず来迎して極楽浄土に導いて下さるのだ

観音大悲は船筏 補陀落海にぞ うかべたる 善根もとむる人しあらば 乗せて渡さむ極楽へ (後白河法皇)
観音菩薩の大いなる慈悲の御心は、海に浮かぶ舟のようなものです。菩提心のある人がいれば、極楽浄土に導きましょう


総伽藍 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 『佛教之王堂』









最終更新:2022年11月12日 13:39