ギンガが目覚めたとき、彼女は手術台のような場所に寝かされていた。
 明かりの少ない、薄暗い部屋。
 拘束はされていないが、意識が戻ると同時に激しい痛みを身体が再認識しは
じめる。
 左腕に、違和感を感じる。視線を向けると、肩口から下がない。
「あぁ、そうか……私、負けたんだっけ」
 敵と戦闘し、敗北して、左腕一本持って行かれた。
 勝てると思って戦ったわけではなかったが、完膚無きまでに自分は叩きのめ
されたらしい。
 腕と、そして体中の傷が疼き、痛みを発するが、堪えきれないほどではない。
 誰かが的確な応急処置をしてくれたようで、ギンガは痛覚に支配されること
なく意識を保つことが出来た。
「目覚めたかね?」
 声は、すぐ側でした。起きあがる気力のないギンガは、首だけ声のした方向
に向けた。
「あなたは……」
 白衣を着込んだ男が、立っていた。青年というほど若くもなければ、中年と
いうほど年を食ってもいない。
 高くもなく低くもない背に、中肉中背の容姿。
 だが、ギンガはこの男を、薄笑いを浮かべ、舐め回すような視線で自分を見
つめる男の顔と名前を、知っていた。
「ジェイル・スカリエッティ」
「その通り、気分はどうかね?」
 この男がここにいると言うことは、自分は敵に捕まったのか。
 そういえば、戦闘を行った戦闘機人の一機が、目的と狙いは自分であると言
っていた。
「最悪……身体中痛いし、あなたの顔を見たら、吐き気までしてきた」
 精一杯の悪態をつくが、正直喋ることすら今のギンガには労力を要することだ。
 しかし、知りたいこと、知るべきことは山のようにあった。
「どうして、私を捕まえたの?」
「何、君は私の技術によって生み出された、一番最初の成功例。どんなものか
興味があってね」
「あなたが、私を作ったの?」
 それは、ギンガが前々から知りたがっていた疑問。
「いや、違う。私は君の製作には関与していない」
「……そう」
 やや落胆したように、ギンガは呟いた。
「けれど、君がどうして作られたのかは、知っている」
「――えっ?」
「誰が、一体、何のために、君という存在を作り出したのか、私はそれを知っ
ていると言ったんだよ」
 ギンガの目が大きく見開かれた。知っている、スカリエッティは、長年自分
が追い求めてきた真実を、知っている。
「興味が、あるかね?」
 スカリエッティは徐に、小脇に抱えていた物をギンガに見せた。
 それは、紛れもない人の腕。ギンガにはもう無い、左腕。
「良いだろう、教えてあげよう、真実を。そして、君に新たなる力を授けよう」


          第16話「血塗られた記憶」





 八神はやてをその手にかけ、その忠実なる守護騎士をも圧倒したギンガ・ナ
カジマは、ジェイル・スカリエッティの秘密基地、人によっては秘密研究所と
呼ぶ場所へと帰還していた。
 ちなみに、ギンガは秘密基地で認識している。響きの子供っぽさに、好感が
持てるからだ。
「新しい腕の調子はいかがかね、ギンガ」
 ギンガの帰還を知ると、スカリエッティはわざわざ出迎えに現れ、馴れ馴れ
しく彼女の名前を呼んだ。
 はじめ、彼に名前を尋ねられた際、ギンガは答えるのを拒否したが、「なら、
タイプゼロかファーストと呼ばせて貰おう」と言われたため、どうせ調べられ
れば分かることと割り切って教えてやった。
「極上……とでも言って欲しい?」
 意地悪そうな笑みを浮かべながら、ギンガは血に染まった左腕を見せつけて
やった。
 たまたま居合わせたノーヴェが、その生々しい色と臭いに顔をそむける。
 よく見なくとも、ギンガは全身に返り血を浴びていた。
「まあ、八神はやてを倒すぐらいには強かったわよ」
 サラリと言ってのけた事実に、周囲の空気が変わる。
 八神はやて、それが機動六課総隊長の名であることぐらい、ノーヴェでも知
っていることだ。
「殺したのかい?」
「さぁ? 死んでるかもしれないし、生きてるかもしれない。ただ、手加減は
しなかった、それだけよ」
 殺意は、確実にあった。
「怖いな、君は。誰に命じられたわけでも、提案されたわけでもないのに自ら
の上官を性能試験の相手に選ぶとは」
 スカリエッティの言葉に、嘘はない。
 彼は、ギンガの新しい左腕の性能試験を行うにあたって、当初はガジェット
やナンバーズを使うつもりであった。
 しかし、ギンガはそれをまどろっこしいの一言で片づけて、手っとり早く性
能を試しに行ったのだ。
 即ち、自分が強いと思っている人間に戦いを挑むという方法で。
「はやてさんは期待外れだったけど、守護騎士は良かったかな。怒り狂って、
我を忘れて攻撃してくるんだもの」
 はやてが誇る守護騎士、シグナムにしろヴィータにしろ、隊長たちに勝ると
も劣らない実力者だと言われている。
 無論、彼らクラスにもなれば個々に差が現れるに違いないが、数段実力の劣
っていたギンガからすれば、あのような連
中は総じて「強い人たち」という括りで纏められていた。

 その強いはずの守護騎士を、ギンガは軽くあしらってやったのだが。

「古代ベルカの守護騎士が使うデバイスを破壊したか……まずまずだな」
「上々、ぐらいは褒めてあげましょうか?」
「褒める? 褒められるべきは、私ではなく君だよ」
 そう言うと、スカリエッティはギンガに背を向けた。
「まあ、新しいものはマメな点検と整備が必要だ。それに、いつまでも女の子
が血まみれというのは、目に良くない。ついてくるといい」
 無言で、ギンガはスカリエッティにつき従った。
 ノーヴェは、そんな二人のやり取りを唖然として見ていた。見ていることし
か、出来なかった。



 ギンガによって重傷を負わされた八神はやてであるが、奇跡的に一命は取り
留め、聖王病院へと搬送された。
 なのはとフェイトの応急処置がなければ危なかったというシャッハの話は、
守護騎士たちを青ざめさせるに十分だった。
 一命は取り留めたものの、はやては意識を取り戻すことが出来ず、暫定的な
処置としてフェイトが六課の総隊長代理を務めることとなった。
 総隊長であるはやてが負傷した以上、二つある分隊の隊長から代理が選ばれ
るのは不自然ではないが、なのはでなくフェイトである理由は、なのはが拒ん
だからだ。
 執務官としての実績があるフェイトと違い、なのはは戦闘方面意外は疎い。
 分隊を率いる程度ならまだしも、全体の指揮を総括することなどできはしな
かった。
 しかし、だからといってフェイトに務まるのかと言われると、本人に言わせ
れば「やるしかない」ということになる。
 第一、六課は現在壊滅的な打撃を受けた状態だ。
 総隊長及び多くの隊員が負傷し、拠点たる隊舎は崩壊、部隊を再編しように
も身動きが取れなかった。
 総隊長代理などと言っても、当面は地上本部ならびに本局宛に報告書をまと
めることと、仮の隊舎を用意するぐらいか。
 幸い、まだ六課には活動停止命令も解散命令も来ていない。
 この先どうなるかはわからないが、今は六課を立て直すことだけを考えなけ
ればいけない。
「はやてちゃんは言ってました。まだ、六課は終わったわけじゃないって」
 リインの言葉は、フェイトの心に響いた。
 はやてとは近頃、方針や考え方の相違で対立することもしばしばあったが、
今にして思えば彼女は常に六課と、そこにいる仲間たちについて考えていた。

「私はな、別に強くなくても良い。なのはちゃんやフェイトちゃんは十分強い
し、それで十分。私は強くなるんじゃなくて、偉くなる。みんなの強さを、存
分に活かせる場を作るために、もっと偉くならな!」

 いつか、はやてはこのように語ったことがある。

 あの時、互いの夢を笑顔で語り合えた頃が、あるいは一番幸せな時間だった
のかもしれない。
 なのはにしろ、はやてにしろ、長い月日が過ぎる中で、自分たちは道をたが
えてしまったのだろうか? そうなのかもしれない。フェイト自身には、これ
といった目標があるわけでもないし、夢にしたところで本当にささやかなもの
だが、二人は違う、違い過ぎるのだ。
「夢、か……リイン、あなたに夢はある?」
「夢ですか? ありますよ、もちろん!」
「それは、なに?」
 胸を反らせ、堂々と答えるリインの姿に微笑みながら、フェイトは尋ねた。
「はやてちゃんがいて、シグナムやヴィータちゃん、シャマルやい…ザフィー
ラがいる、そんな生活がずっとずっと続くことです!」
 分かりやすい、リインらしい夢だった。いや、リインに限らず、他の守護騎
士もあるいは、同じような夢を持っているのではないだろうか。
「それは、とても良い夢だね」
 そして、とても難しい夢だった。




 隊舎崩壊に伴い行き場を失った六課であるが、六課のバックボーンの一つで
ある聖王教会が、仮隊舎が決まるまでの拠点として教会が保有する施設の一つ
を提供した。
 教会側の真意は不明瞭だが、申し出を断る理由はなく、また負傷した六課の
隊員の多くが聖王病院にて治療を受けているということもあって、フェイトは
ここを一時しのぎの場とすることにした。
 大半の隊員はそれに従ったが、従わなかった者も多数存在する。
 脱走、あるいは除隊、いずれにせよ六課は壊滅したものと見切りをつけ、自
主的に去った者が少なからず存在した。
 規律や規則、秩序までもが崩壊しかけていた証拠であるが、フェイトはギリ
ギリのところで食い止めることに成功した。
 だがフェイトはこの時、自分が総隊長代理のままでは六課は長くは持たない
と実感していた。
 はやてと、そしてなのはにはカリスマがあった。
 それに比べてフェイトは、エースオブエースなどと呼ばれている親友のよう
に何か肩書があるわけでもなく、また、広報などの場に出ることを避けていた
こともあってか、部隊員をまとめる求心力に欠けていたのだ。
「こればっかりは、仕方ないか」
 今更言ってどうなるわけでもないが、このように明確な形で現れると辛いも
のがある。
 はやてが健在なら、例え隊舎を失おうとも力強い言葉で隊員たちを鼓舞し、
部隊の再編を行うことができただろう。
 また、なのはにしてもカリスマ性からくる人望の高さで、容易ではなにしろ
隊員たちをまとめあげたに違いない。
 だけど、自分にはカリスマもなければ、人望もあまり高くはない。
「だからこそ、頑張らないと」
 フェイトだけが、苦労をしているわけでもない。
 総隊長代理の打診は拒否したなのはであるが、彼女は実戦部隊の再編に乗り
出している。
 フェイトが総隊長代理になったことで、ライトニング分隊は戦力が半数になった。
 故に、これを解体してスターズと統合、分隊を一つにしたのだ。
 反対意見こそ出なかったが、ライトニング分隊副隊長シグナムは不満げだった。
 統合はなのは指揮する新生スターズ分隊ということになるのだが、その分隊
長はなのはであり、副隊長はヴィータのままだ。
 ライトニング分隊では副隊長を務めていたシグナムは、役職無しとなる。
 そもそも、本来なら副隊長であった彼女が隊長として格上げされても良かっ
たわけであり、口にこそ出さなか
ったがシグナムには違和感の残る結果となった。
 しかし、ヴィータにしろ、シグナムにしろ、現状では戦力として数えられて
いない。理由は単純、デバイスがないのだ。
 ギンガによって一撃の下で破壊されたデバイスは現在修理中だ。
 古代ベルカの騎士が扱う物だけあって、そう簡単に直る物ではない。
 つまり、部隊を統合したといっても実質的な戦力は、なのはと新人三人のみ、
しかも、その新人三人に至っても問題が発生していた。

 スバル・ナカジマが、その戦意を喪失していたのだ。



 施設内にあてがわれた一室で、スバルは膝を抱えて蹲っていた。
 ギンガが襲撃に現れてから、既に二日が過ぎている。聖王教会の施設へと移
ってきて、六課の隊員から離脱者が発生して、その中にはこんな意見もあった。
「ギンガ・ナカジマが裏切るなんて、六課はもうお終いだ」
「奴は寝返ったのか? それとも、最初からスカリエッティと繋がってたんじ
ゃないのか!?」
 他でもない、はやてが襲われ重傷を負ったのだ。
 身内には優しいはやてであるから、多くの部下が彼女を慕っていた。そして、
その彼女に重傷を負わせたギンガへと、怒りの矛先が向いたのだ。
 スバルに対する視線も、侮蔑と偏見を含んだものへと変化していた。一般に、
ギンガは裏切ったものであるとして認識されていた。
 それは、洗脳されているにしてはギンガの自我がハッキリしていたこと、洗
脳魔法に見られる機械的な動作がなく饒舌であったこと、などが理由としてあ
げられている。
 彼女やスバルの事情を知る者、つまりフェイトやなのははギンガがスカリエ
ッティの手により、戦闘機人としての部分を弄られ、高度な洗脳を受けている
のではないかと推測したが、それを理由に彼女を庇えば、ナカジマ姉妹が戦闘
機人であることを公表することになってしまう。
 また、戦闘機人ならば尚更怪しいなどと言い出す者も現れるであろうし、二
人ともこの件については触れたがらなかった。
 それが結果としてスバルを孤独にしていたのだが、そんな彼女にティアナが
ずっと付き添っていた。
 彼女もスバルが戦闘機人であることを知っている一人だが、今回の件では口
数が少なかった。
 ギンガがもし、こういう表現もおかしいが、単純に敵の手に捕らわれていた
だけなら、自分は親友を励まし、共に彼
女を救い出すために奮闘しただろう。

 だが、ギンガはスバルの敵になった。

 はやてを襲い、守護騎士を圧倒し、実力は以前のそれを遥に超えている。

「ギン姉……」
 蹲り、すすり泣くスバルを抱きしめてやることぐらいしか、ティアナには出
来なかった。
 ギンガがどうしてあんなことになってしまったのか、それは判らない。けど、
このままで良いわけがない。
 スバルはきっと、愛する姉と戦うことは出来ないだろう。ならせめて自分が、
自分が戦って、あの人を正気に戻すことが出来れば。

 心に誓うティアナであったが、彼女は一つの思い違いをしていた。

 それはティアナに限らず、なのはやフェイト、スバルでさえ知らなかったこと。
 もうすぐ彼女らはその事実を、知りたくもなかった真実を知ることになる。


 さて、六課壊滅において奇妙な幸運を手に入れたのはセインである。
 彼女の身柄を拘束していた六課はその機能が麻痺し、権限によって拘束して
いたはやては病院のベッドの上。要するに、処遇が宙に浮いているのだ。


 本局に引き渡そうにも、また襲撃される恐れがある。
 フェイトは慎重になっており、しばらくはセインを目の届く範囲に置くことと
した。
 ただ、彼女を監視するにも戦闘要員には手の空いている者がおらず、やむなく
ゼロに頼んでいた。
 ゼロに向いた仕事ではないが、彼も現在の六課の状況が厳しいことを知ってい
たし、受けざるを得なかった。

「ナンバーズは全部で12人、みんな戦闘機人だよ」
 セインと行動を共にすることが多くなったゼロは、必然的に彼女から多くの情
報を得ていた。
 セインはゼロが気に入ったのか知らないが、彼に対して冗談を言うことはあっ
ても、嘘を言うことがなかった。
 訊かれたことは一つを除いて全部話したし、聞き分けも良かった。
「私を含めて、4人やられているから残りは8人、その内5人が戦闘タイプ」
 ナンバーズといっても、セインのように戦闘に不向きなタイプが多数存在する。
 戦闘だけが能ではない、とはクアットロの意見であり、彼女は戦闘タイプの姉
妹を戦闘屋と呼んでいる。
 ノーヴェなどは僻みだ嫌みだと言っていたが、チンクは彼女の気持ちもわかる
と擁護していた。
「1番のウー姉は、ドクターが多分唯一信用している人。この人は情報入手及び
処理が専門の、ドクターの秘書みたいな人」
 セインは、姉妹の情報を与えることに対しては躊躇いを憶えていたが、ゼロが
一つの条件を呑んだことで開示をはじめた。
「3番のトーレ姉は戦闘タイプでは稼動歴が一番長い。実戦投入回数も多くて、
ナンバーズでは一番強いね。次にクア姉だけど……この人は情報戦専門。ハッキ
ングとかクラッキングとか、情報操作が得意で、凄く性格の悪い」
 その条件とは、スカリエッティの秘密基地の場所を言わないこと。彼女がそれ
を教えれば、管理局は大部隊を送り込んで制圧を行うだろう。
 ドクターはともかく、ナンバーズの姉妹らがそう簡単に降伏するとは考えにく
い。激戦となり、もし命を落としたら? セインには、それだけは出来なかった。
「7番のセッテは、なんて言うか機械っぽい。何が良いのかドクターに忠誠を誓っ
てて、教育係だったトーレ姉とよく一緒にいるね。この二人が、その、ギンガっ
て人を倒したんだ」
 ゼロは最初難色を示したが、最終的には条件を呑んだ。敵同士という立場では
あるが、セインの気持ちがわからないでもなかった。
「9番ノーヴェは、チンク姉が教育係をしてた子で、とにかく負けん気が強いよ。
勢いのある攻撃をしてくるし、実戦経験が不足してると思うけど、それを補うぐ
らいの突撃をかますかもね」
 10番のディエチは、かつてゼロとセインを砲撃してきたナンバーズで、12番の
ディードというのは、最初に倒したオットーの双子の姉妹らしい。
「以上がセインさんによるナンバーズ講座でした! 何か質問ある?」
 一応、ISに付いてなども判る範囲で教えて貰ったが、そんなことよりもゼロは
気になることがあった。
「二番目は、どうした?」
「え?」
「ナンバーズ二番についての説明が、なかったが」
 その問いに、セインは「あー、それねぇ」と頭を掻いた。
「実は知らないんだよね。ナンバーズ二番は、私が稼動するより前に長期任務に
出ちゃって……チンク姉から上しか顔は知らないんだ」
 正体不明の、二番。不気味ではあるが、ゼロとしては現状判っているナンバー
ズの対策をしなくてはいけない。


「でも、本気で一人で戦うつもりなの?」
「……あぁ」
 ゼロは、一人で動くことは出来ないかと考え始めていた。
 結果的な話になるが、彼とスカリエッティのゲームの余波で、機動六課は壊滅
したようなものだ。
 隊員の間には、ゼロが来てから全てがおかしくなったと思う者も出始め、かつ
てのはやて以上に彼を危険視していた。 そうした風潮をフェイトは押しとどめ
ようと努力しているのだが、こればかりは今のところ目立った効果がない。
「事実、オレが六課をメチャクチャにしてしまったようなものだ。多くの人が傷
つき、死んでいった」
 ギンガが囚われ、敵として戻ってきたように、自分はこの世界に良くない影響
を与えているのかも知れない。
「後ろ向きだね、随分」
「…………」
「あんたなら、何が起ころうと、ぶった斬って前に進むと思ったのに」
 何気ない言葉だったが、ゼロは少しだけ意外そうな顔でセインを見た。
「悩んでる暇ってさ、割りと勿体ないよ?」
「……そうかもしれない」
 自分には、戦うことしかできない。
 それが判っているのだから、やはり自分は戦い続けるしかない。
 答えなんて出なくても良い、得られる物などなくてもいい、それでも自分は戦
うのだ。
「ところで、スカリエッティについて何だが」
「ドクターがどうしたの?」
「奴は、戦闘機人を自分の意のままに操るような技術を――」

 開発しているのか? そう尋ねようとして、ゼロの言葉は中断された。

 フェイトから渡されていた、小型の通信機器が鳴り響いたのだ。

「事件か?」
 画面に現れたフェイトに、ゼロは簡潔に問いただした。
『……うん』
 いつもなら、すぐに事態の詳細を伝えてくれるフェイトの口が、何故か重かっ
た。ゼロは怪訝そうに、彼女の言葉の続きを待った。
『時空管理局本局が、襲撃を受けた』
 セインが、一瞬言葉の意味を理解できずにポカンとした。
「スカリエッティが、部隊を送り込んだのか?」
 行ったこともない施設名であるが、この世界を含めた多次元世界を管理する時
空管理局の本拠地であることは理解している。
 六課の次は、本局を狙った?
 だが、それにしては少々軽挙ではないか……
『敵は、単機』
 今度はゼロが、言葉を失う番だった。
『称号の結果、敵はギンガ……ギンガ・ナカジマと判明!』


 この日、時空管理局本局はスカリエッティ対策として本局内の警戒レベルを2
ランクあげる作業を行っていた。
 局員の配置や、有事の際の行動など、それらの指導と管理を任せられたのは次
元航行艦隊のクロノ・ハラオウン提督であり、彼は魔導師としても高い実績を持
つフェイトの兄だ。
「六課でさえ壊滅し、地上本部も危なかったというが……内部工作に対する備え
もほしいところだ」
 地上本部は、何者かが内部で暗躍し、管制機能を初めとした指揮系統を破壊し
たという。
 工作員の存在が考えられるが、より規模の大きい本局の局員を全員洗い直すと
なると、一体どれほどの時が必要になるか。
「いないと、信じたいがな」
「何をですか?」
「だから、内部工作員……!?」
 突然後ろから声を掛けられ、クロノのは驚き振り返った。そこには、平凡な管
理局の制服を着た少女が立っている。
 しかし、その顔にクロノは覚えがあった。
「君は、ギンガ・ナカジマ!」
 囚われ、敵によって洗脳を受けた可能性があるという少女が、何故こんなとこ
ろにいる!?
 クロノは待機形態のデバイスを取り出すが、ギンガは特に反応しない。
「ダメですねぇ、本局も。この制服を着て、普通に証明書を出せば入れちゃうな
んて。セキュリティが甘いと思いますよ?」
 混乱を避けるため、ギンガの裏切り行為は伏せられている。フェイトの報告書
が未だ届いていないので、管理局の公式記録にもまだ載っていたのだ。
「そんなじゃ――」
 ギンガの笑みが、冷たいものへと変化していく。
「何かあったとき、危ないじゃないですか」

 魔力光が、光り輝いた。


 圧倒的とは、他者より遥に強い力で相手を寄せ付けないことをいう。
 戦闘開始から三十分も経たぬ間に、クロノと駆けつけた局員達は窮地に立たさ
れていた。
「強すぎる……何なんだ、お前は!」
 クロノのデバイスが氷結魔法を発動させ、ギンガの左腕を凍り付かせた。
 ギンガは氷で固められた左腕を見るが、
「この程度の封印が、何だっていうのよ」
 呟くと共に、左腕から発せられた赤い光がまとわりつく氷を打ち砕いた。
 半ば唖然として、クロノはその光景を見ている。そして、あることに気付い
た。
「そうか……その腕、その光り」
 こちらの魔法を受け付けない絶対無比の力、格段に上がっているギンガの魔力、
そして腕から発せられる赤い光、導き出される答えは、一つだけだ。
「えぇ、レリックよ。この腕はドクタースカリエッティが作った特注品、レリッ
クウェポンが埋め込まれてるの。素敵でしょ?」
 赤い魔力光が、クロノの後ろに居た局員を撃ち飛ばした。額を割られ、血を流
しながら苦しみ藻掻いている。


「じゃあ、終わりにしましょうか?」
 クロノは、意識的に後ろに下がっていた。

 勝てない、自分ではこいつに勝つことが出来ない。

 嫌だ、死ぬのだけは、嫌だ。

「父さんみたいには、いかないな」
 クロノはこの十年で、成長した。リンディとフェイト以外の家族を、結婚して
妻がおり、子供も二人居る。
 守るべきものが彼にはあり、帰るべき家が彼にはあった。だから、死にたくな
い。死ぬのは嫌だ。
 父のように、身を挺することは、出来ない。
「……目的は何だ。何故、単機で乗り込んできた!」
「別に大した理由はないかな。ドクターがナンバーズの一部が不満げにしてるか
ら、捕まった戦闘機人を助け出すことも検討しなきゃ、とか言ってたから。
ここに居るんでしょ? 二機ばかり」
 そんな理由で、時空管理局本局に乗り込んできたというのか。
 いや、確かに警備体制の移行を突くという作戦は成功しているが、本当にナン
バーズ奪還など出来るとでも言うのか。 すぐに他の武装局員が集まって、彼女
を包囲する。
 ギンガは既にSランク以上の実力を見せているが、数で押せば勝てないわけがない。
「でも、何かもうどうでも良くなってきた。あなたの首で貰って、それで帰ろうかな」
 とんでもないことを、ギンガは言った。
「ふざけるな!」
 氷塊が出現し、ギンガの頭上に落ちる。ほとんど反射的に、ギンガは左の拳を
突き上げそれを打ち砕いた。

「弱いわね、あなたも」

 氷の雨が降り注ぐ中、ギンガは不敵に笑った。

「辞めろ、ギンガ!」
 声は、クロノの背後から響いた。
 一瞬、虚を突かれたようにギンガが表情を変えた。そんな彼女を警戒しつつ、ク
ロノも声の主を確認する。
「あなたは……」
 それは、クロノ以上にギンガがよく知って居るであろう人物。ギンガは攻撃の構
えを解いて、その男を見つめていた。

「父さん――」


 ゼロは、フェイトとなのは、そしてティアナにスバルらと共に本局へと乗り込ん
でいた。
 ギンガの襲撃を聞きつけ、慌てて駆けつけたのだ。
「襲撃ポイントまでのルートですが、局内のセキュリティシステムが内部から狂わ
されたらしく、最短ルートまでの隔壁が閉鎖されています。遠回りをするにも、そ
こには襲撃者が放ったガジェットが……」
 応対した職員の悲観的意見をいつまでも聞いている暇はなかった。襲撃者がギン
ガで、戦っているのがフェイトの兄だという。
 どちらが勝つにしても、敗者の命の保証はない。互いの兄姉が頃試合をしている
という事実は、フェイトとスバルの血の気を引かせた。
「ポイントまでの最短ルートで、直線上の部分はある?」
 戦時になれば、途端に冷静になるのがなのはだった。彼女は職員が提示した地図
を元に、色々と質問していた。
「ありますが、十枚以上の隔壁で閉鎖されています。システム復旧までは時間が……」
 しかし、なのはは質問の答えを最後まで聞いていなかった。彼女が聞きたかった
答えは、既に出ていた。
「それで、襲撃地点にいるのはクロノ提督と?」
「駆けつけた職員のほとんどがやられたそうですが……失礼、待って下さい」
 局員の通信機器に新たな連絡が入る。
「今入った情報によると、陸上警備隊第108部隊所属の、ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐
が現場に突入した模様です!」
 スバルが、驚きの表情を局員に向けた。
「どうして、父さんが本局に……」
 そんなスバルの反応を横目で見つつ、なのはが叫んだ。

「急ぐよ。隔壁十枚、その程度なら私が撃ち破る!」

 レイジングハートを構えるなのはの姿に、ゼロを除く誰もが圧倒された。


「まさか、地上にいるはずのあなたがいるなんて……ね」
 肩をすくめるように、ギンガは声を出した。
 クロノを庇うように、娘の正面に立つゲンヤの表情は固い。
 フェイトからの報告で、娘が敵に捕まり、捕まったと思えば敵として現れはやて
を襲って重傷を負わせた、その事実を彼は知っていた。
「ギンガ、お前は何をしてるんだ!」
「何って?」
「八神を……あいつを襲ったというのは本当か?」
 目の前にいるのは、確かに彼の娘、ゲンヤ・ナカジマの娘であるギンガ・ナカジ
マだ。
 しかし、今のゲンヤにはそれすらも信じられなかった。まさか、娘がはやてを殺
そうとするだなんて。
「目を覚ますんだ、ギンガ! スカリエッティの野郎に何をされたのかは知らんが、
これ以上、罪を重ねるんじゃない。安心しろ、俺がお前を守ってやる!」
 娘の心を取り戻そうと、ゲンヤは必死に叫んだ。
 叫んだが――

「うっさいわね!!!」

 ギンガの怒声が、それをかき消した。



「目を覚ませ、ですって? まさか貴方、私がドクターによって改造されて、 洗
脳されてるとでも思ってるの?」
 違うとでも言うのか。
 娘の声に衝撃を受けながら、ギンガは愕然としていた。
「私は、知ってしまったのよ」
 ゆっくりと、ギンガが歩き出した。
「どうして、私が作られたのか」
 歩みに対して、ゲンヤは一歩、また一歩と後ろに下がった。娘から、彼は逃げて、
逃げようとしている。
「何故、私とスバルは作り出されたのか」
 ギンガの声に混ざるのは、殺気と怒気。ゲンヤに、父親に明確なまでの敵意を彼
女は向けていた。

「なんで、私とスバルが母さんの遺伝子を持っているのか!」

 絶大なる魔力が、ギンガの持つ紫色の魔力と、レリックが持つ赤色の魔力が混ざ
り合った波動が空間を揺らした。

「ギ、ギンガ……!」
 圧迫感に、ゲンヤが尻餅をついて倒れた。膝が震えて、立つことが出来ない。
まさか、ギンガは、娘は、あの事を――
「思うところ、あるみたいね? そうよ、あなたが、あなたが母さんの遺伝子を売
り渡したのよ!」
 考えてみれば、おかしな話であった。
 ギンガとスバル、クローン培養によって誕生した戦闘機人の姉妹の遺伝子が、姉
妹を救出した女性のそれと同じだった。
 それが縁で、女性は二人を引き取った。
「偶然の一致? そんな馬鹿な話があるのかと思ってたけど、子供の頃の私はそれ
を疑問に思わなかった。あの頃は、地獄から解放された嬉しさで、他のことは何も
考えられなくなっていたから……」
 ゲンヤの精悍といわれた顔だちが、崩れていく。それは娘に対し許しを請うよう
な、動揺しきった表情。
 そう、全ての原因は彼にあった。
 かつて、上官だった男の頼みを断れなかったゲンヤは妻の、優秀な魔導師とされ
ていたクイント・ナカジマの遺伝子を提供したのだ。
「あなたが、私を作り出すきっかけを提供した……あなたが、あの地獄に私を生み
出させた」
 歩み寄るギンガに、ゲンヤは明かな恐怖を感じ始めていた。
「し、知らなかったんだ。俺はただ、優秀な魔導師の遺伝子を研究するだけだと、
そう聞いていたんだ!」
 しどろもどろに言い訳を並べるゲンヤの姿に、頼りがいのあった父親の姿はない。
「言い訳は、それだけ?」
 ゲンヤと、そしてクイントは心当たりがあったのだ。ギンガとスバルの遺伝子が、
何故一致したのか。それを知っていたから、二人は姉妹を養女として引き取った。


 贖罪のつもりだったとでも言うのか?

「もう、いいわよ」

 ギンガは顔を伏せた。ゲンヤはその隙に起ち上がろうと、腰を浮かすが……

「もう、死んで」
 魔力光が、ゲンヤの胸を貫いた。


「父、さん……?」
 なのはが砲撃によって貫いた穴を通り、マッハキャリバーを飛ばしてギンガの元
へと現れたスバルが見たものは、

 姉によって、父親が撃たれる姿だった。

「父さん!」
 倒れる身体を、スバルが支えた。血が、制服一面に広がっていく。悲鳴を上げて、
スバルは父を呼んだ。
 そして、ギンガの方を見る。
「どうして、なんで父さんを!」
 泣きながら、スバルは叫んだ。
 そこにゼロやフェイトらも駆けつけるが、全員すぐに言葉が出なかった。
「ス、スバル……か」
 もう一人の娘が来たことに気付き、ゲンヤは声を絞り出した。
「スバル、聞いてくれ」
「喋っちゃダメだよ! 今、今すぐお医者さんを!」
「聞くんだ! いや、頼む、聞いてくれ」
 声に、スバルは思わず押し黙った。
「お前たち、姉妹の遺伝子は確かに俺の妻だったクイントのものだ……そして、そ
れを上官を通じて研究者連中に売り渡しちまったのは、この俺だ」
 衝撃の事実に、スバルは言葉を失った。失い、姉であるギンガを見る。彼女は、
喋り続けるゲンヤを不快げに眺めていた。
「だが、あいつは……クイントはその事を知らなかった。俺がお前らを引き取ったの
は、確かに負い目があったからだ。だけどクイントは、あいつだけは本心から、お前
らの母親になろうとしていたんだ」
 虫の息で、それでも伝えなければいけないことがあって、ゲンヤは最後の力を声と
言葉にして使い切ろうとしていた。
「恨むなら、俺を恨め。あいつを、お前たちの母さんを……嫌わないでやってくれ」
 血塊と共に吐き出される声は、弱々しかった。既に、ゲンヤの意識は薄れはじめている。
 スバルは、そんな父親の手を握りしめた。
「恨むなんて……私に、私たちにとって母さんは母さんだし、父さんは父さんだよ!」


 涙混じりの笑顔を見せながら、スバルはゲンヤに微笑みかけた。ゲンヤは、
小さく笑みを見せた。
「ねぇ、そうでしょうギン姉――」
 同意を求めようと、姉の方に再び顔を上げたスバルが目にしたのは、

「だから、うるさいわよ、あなた」

 二発目の魔力光を放つ、姉の姿だった。

「うがぁっ!?」
 スバルが支えるゲンヤの身体に、ギンガの放った魔力光が直撃した。赤い光のそれ
は、ゲンヤを貫き地面へと刺さる。
 トドメの、一発だった。
 ゲンヤ・ナカジマは、愛娘の腕の中で……絶命した。

「嘘でしょ、父さん……嘘だよね、ねぇ、目開けてよ!」
 父親の死を、姉の手によってもたらされた死を信じることが出来ないスバルは、泣
き叫んでその身体を揺すった。
 しかし、死に絶えた人間が反応することはなく、ゲンヤは二度と動くことはなかった。
「無駄よ、もう死んでるわ」
 その無情なる声は、他でもない父親に手を下した娘の、スバルの姉のもの。
 スバルは、姉の声に反応するかのように、絶望を認識していく。
「ギンガ、なんてことを――!」
 フェイトがデバイスを構え、ティアナもそれに習った。ゼロもバスターの標準を、
ギンガに向けた。
 前者二人はともかく、ギンガはゼロに対してのみ複雑そうな表情を向けた。

「…………ギン姉」

 その緊迫を突き破るかのような低い声が、響いた。

 父親の遺体をそっと地面に置き、瞳を閉じる。
「…………」
 無言で、スバルは起ち上がった。いつもと違う友人の姿に、ティアナが危険な雰囲
気を感じ取った。
 そして、スバルは――

「ギン姉ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 瞳を金色に輝かせ、右の拳を振り上げて、ギンガに、姉へ突撃した。

「IS、振動破砕……先天固有技能!?」
 赤き光が、ギンガを守るように壁を作っていく。だが、そんなものは構わないと言わ
んばかりの勢いで、スバルは拳を打ち込んだ。
 衝撃が、ギンガとスバル、二人の姉妹の身体に響き渡っていく。スバルの右腕が軋み、
グローブに亀裂が走る。
 ギンガの張った結界も、ヒビが入っていく。


「このっ!」
 ギンガは魔力を解放させ、スバルを吹き飛ばした。これ以上、振動破砕を食らい続け
るのは不味い。
 吹き飛ばされたスバルと入れ替わるように、赤き戦士が前に出た。

「デァッ!」

 ゼットセイバーを構えたゼロが、ギンガに斬り掛かったのだ。

「ゼロ、あなたも私に剣を向けるのね」
 重い一撃に顔を顰めながら、結界で受け止めるギンガ。
「この前まで仲間だった私を、あなたは殺せるのかしら?」
 底意地の悪そうな笑みを浮かべるギンガだが、対するゼロは冷ややかだった。
ティアナに助け起こされるスバルを背後に感じながら、彼は断言した。
「お前はもう、ただのイレギュラーだ。オレは、お前を斬る!」
 斬撃が、結界を斬り裂いた。
 ギンガは後方に距離を取って、構えを取る。
「そう……あなたがそのつもりなら、私も全力であなたを倒す!」
 睨み合う両者であるが、二人の戦闘がここで行われることはなかった。

「さがって!」

 怒声に近い声で、なのはが叫んだ。レイジングハート、その砲撃形態の標準を、ギン
ガに向けている。

「やばっ!」
 ギンガの身体を光りの粒子が包むのと、なのはの砲撃が発射されるのはほぼ同時だった。
 しかし、ギンガは直撃寸前に自身を転送させることに成功した。
「外した、逃げられた!」
 悔しそうに、なのはがレイジングハートの先端で床を叩いた。当たれば一撃で相手の
意識を奪えただけに、その損失は大きかった。

 けど、なのはがそれを気にする余裕はなかった。

 スバルの泣き叫ぶ声が、なのはの戦闘による熱気を急速に覚ました。

「スバル……!」
 ティアナが、泣き叫ぶ彼女の身体を抱きしめた。父親の血に濡れた身体を、 実の姉
と戦い傷ついた身体を、抱きしめている。
 涙と嗚咽、その全てを受け止めることは出来ないだろう。
 でも、他の誰にも譲れない、任すことの出来ない役目だった。

 私は、スバルの親友なのだから。

                                つづく

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最終更新:2009年01月16日 14:38