小話メドレーその20『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう~最初にやるのは化物語編~』

 僕が高町なのはと出会ったのは、そう、神原の一件が片付いて暫くしてからだった。
 我が家のファイヤーシスターズにせっつかれて買いにいった洋菓子屋の看板娘、それが高町なのはだった。
 そこでちょっとばっかり愉快な会話をして、お互いに顔を覚えて、それで数日後、夜道を駆けるあいつを見つけて、追いかけたのが運の尽き。
 僕はまた、新しい怪異に首を突っ込む事になったんだ。

「おいおい、これってまさか……魔法少女、ってやつか?」

「鼬型の怪異……現代風に言えばフェレットなのかな? はっはー、阿良々木君はまた愉快なのを連れてきたね」

「ジュエルシード、それを見つける為に力を貸して下さい! 阿良々木さん!!」

「AV機器? ……高町、お前またコアなものが好きだな」
「え、えっとね? 誤解しちゃ駄目だよ? お兄ちゃんが使ってるみたいな……お姉さんにエッチな事する道具じゃないからね?」
「露程にもそんな風に理解してねぇし使ってもいねぇよそんなモン! 小学生がそんな事知ってるとは世も末だな!!」

――――第一話『なのはフェレット』

 フェイト=テスタロッサとの出会いは、最悪な部類に入っていると言えただろう。
 あのちびっ子、ジュエルシードを狙って、うんともすんとも言葉を交わさずいきなり仕掛けてきやがったからだ。
 だけどその時に見たあいつの顔、あいつの眼に僕は何かを見たんだろう。
 警告されて、突っ返されて、攻撃されて、それでも僕はあいつを見放そうとは思わなかったんだ。

「フェイトちゃん! お願いだから……お話を聞かせて!!」

「言葉じゃ……何も伝わらない」

「人造人間……洋風に言えばホムンクルスって所かな? まー僕に言わせれば、腹から出るか試験管から出るかの違いだよね」

「人造人間ねぇ……パッと見は普通と変わんなく見えるけどな」
「同じだからこその人造人間だもん。……でも、他の女の子がどうなのか、私は知らない」
「まあそうだろうなぁ。お前、高町が人間相手のファーストコンタクトって感じだし」
「だからね、阿良々木さん。……私の身体、変な所が無いか……調べて欲しいの」
「……ふふふ、お前といると、僕は男として本っ当に試されるよ……ッ!」

――――第二話『ふぇいとヒューマン』

 八神はやてが僕達と会ったのは、丁度今年が終わるちょっと前ぐらいだった。
 その時にはもう千石とも再会したし、ブラック羽川の再来も終わったし、押野もこの街を去っていたし、勿論高町とフェイトのごたごたも決着していた。
 いきなり現れた3人と1匹、リンカーコアとやらを寄越せとつっかかって来たアイツら。
 正直な話、最初っから胡散臭いとは思ってたんだ。怪異と家族としてやっていける奴、だなんて。事実、怪異の本体はアイツらじゃなくて、もっと根の深いものだった訳だし。

「我等は守護騎士ヴォルケンリッター……例え騎士の誇りを捨ててでも、主は護ってみせる!!」

「あの4人組が本当に怪異だと思う? 1人に4つの怪異が憑いていると? それとも4人で1つとでも?」

「――闇の書! それがアイツらの本体……元凶だ!!」

「お前の家って本だらけなんだな。成る程、これなら闇の書なんて物騒なもんがあったのも頷ける」
「せやろ? 本なら大概のもんがあるんやでぇ。例えばこれば先月、神原師匠と一緒に買ったボーイズラブ小説で……」
「小学生がボーイズラブに手を出すな! ていうか神原を師匠って言ったのか、言ったよな!? どんだけ世間は狭いんだ!!」

――――第三話『はやてブック』

 そんな感じであの1年、僕は戦場ヶ原達とは別に、3つの怪異を相手にする事になった。

「ねえ阿良々木君。私は江戸弁で喋る人間はこの世から抹消されるべきだと思うの」
「いきなり何の脈絡も無い事を言う奴だなお前は。で、その心は?」
「だって私の名前を言ってご覧なさい? “ひたぎ”よ、ひ・た・ぎ。江戸弁は“ひ”が“し”になり、“し”が“ひ”になるの。それがどういう意味か解る?」
「つまりアレか、江戸弁を話す奴だとお前は“したぎ”って呼ばれると?」
「そう。呼ばれる度に下着呼ばわり、逆に下着っていう時はひたぎになるのよ? これは途方も無い屈辱だわ」
「まあ確かに腹の立つ事だとは思うが、だからと言って元首都圏で使われていた言葉を全面否定する事も無いだろう……」
「だから……ねぇ阿良々木君」
「ん? 何だ」
「あなた、本当は江戸弁で喋る人間、って事はない?」
「長々と前振りしたが要点はそこか!?」

―――『魔物語』。
――――青春には、おかしなことがつきものだ!!

小話メドレーその21『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう~お次にやるのは刀語編~』

「ねえ、貴女達は本当に今の世界を疑っていないんですか?」
「……どういう事?」
「だって高町さん。次元世界とか、戦闘機人とか、魔法とか、魔導師とか」

「そんなもの、実在するわけないじゃないですか」



 突如として機動六課の前に現れた、“歴史の修正力”を名乗る少年。
 彼が示したのは歴史の間違い、そして、高町なのは達にそれを正して欲しいという依頼だった!!

「歴史の誤差がね、いよいよのっぴきならない所まで来てしまったんです。それこそ、“ぼく”なんていう誰でもない、“貴女達に歴史の間違いを知らせる都合の良い存在”が創られる程にね」

 少年の言う事には、この世のあらゆる歪みは、かつてあった12本の刀を巡る戦いが切っ掛けになったと言う。

「創造主の名は四季崎記紀。彼が造った12本の異形の刀、完成形変体刀……それを全て集めて下さい」

 その為に起きたのは、過去に飛ぶという、前代未聞の時間跳躍。
 かくして12の男女は、過去へと飛ばされる。
 そして繰り広げられるのは、刀を巡っての熾烈を争う闘争の数々――!!

―――第一刀!
――――鍔無し反り無し鞘も無し、誇るは折れる事無しの絶対強度! 絶刀『鉋』!!
――――振るうはこの世で最も柔軟な身体を持つしのび、真庭忍軍十二頭が一頭、真庭蝙蝠!!!
――――争うは剛健無比の鉄人少女、スバル=ナカジマ!!!

―――第二刀!
――――徹頭徹尾を黒く塗り、それが示すは万物両断の切断力! 斬刀『鈍』!!
――――抜くは閃きも見せぬ神速の居合い剣士、砂塵に塗れた城の孤独な城主、宇練銀閣!!!
――――交差するは火炎を纏う守護騎士筆頭、シグナム!!!

―――第三刀!
――――完全同一全く同じ、揃えてその数実にきっかり千本! 千刀『?』!!
――――廻るは三途神社にて千人の黒巫女衆を率いる唯一の千刀流後継者、敦賀迷彩!!!
――――挑むは機動六課を率いる我らが部隊長、八神はやて!!!

―――第四刀!
――――刀身たるや朧の如きその薄さ、至上最も脆弱な刀はここにあり! 薄刀『針』!!
――――操るは若くも麗しき白の青年、しかしてその実は現日本最強を誇る剣士、錆白兵!!!
――――対峙するは雷光引いた神速の魔導師、フェイト=T=ハラオウン!!!

―――第五刀!
――――その容貌に刀の面影一切無し、西洋甲冑を模した難攻不落の異形刀! 賊刀『鎧』!!
――――纏うは見上げんばかりの七尺巨漢、賊刀『鎧』を纏うはこの者以外にある筈無し、校倉必!!!
――――ぶつかるは巨躯の従者を従える召喚師、ルーテシア=アルピーノ!!!

―――第六刀!
――――余りに無骨なその形、置けば地に沈むその重量こそが最大の特徴! 双刀『鎚』!!
――――持つは極北の大雪山に住まう怪力民族、しかして彼女はただ一人の生き残り、凍空こなゆき!!!
――――出会うは一族を追放された竜巫女、キャロ=ル=ルシエ!!!

―――第七刀!
――――雷纏うその刃、我が身突き立てれば無限の再生力となる最悪の変体刀! 悪刀『鐚』!!
――――貫くは史上最強の才能に史上最弱の身体を持つ少女、七花の姉にして前日本最強、鑢七実!!!
――――立ち向かうは史上最強の凡人、ティアナ=ランスター!!!

―――第八刀!
――――“微”は“美”、“釵”は女性の意、四季崎記紀が恋した女性の模倣! 微刀『釵』!!
――――それなるは四碗四足全身に暗器を潜ませた不要湖の守護者、殺人人形、日和号!!!
――――狙うは科学と欲望の申し子、ジェイル=スカリエッティ!!!

―――第九刀!
――――清浄なる気配は王道の道標、“鋸”なのに斬られる方とはこれ如何に!? 王刀『鋸』!!
――――受け継ぐは変体刀所有者において唯一の真人間、活人剣・心王一鞘流師範、汽口斬愧!!!
――――訪れるは騎士の道を往く雷の申し子、エリオ=モンディアル!!!

―――第十刀!
――――刃を持たないその刀、この世で最も誠実に所有者の心を測る! 誠刀『銓』!!
――――頂くは大乱生んだ呪いの地に住まう変幻自在な苦手意識の権化、仙人、彼我木輪廻!!!
――――論じるは悠久の闇を強いられた紅の鉄騎、ヴィータ!!!

―――第十一刀!
――――変体刀十二本中最も強い毒気、持つ者はその心も保てない! 毒刀『鍍』!!
――――憑かれるは無数の強豪を身に縫い付けたしのび、真庭忍軍実質上の頭目、真庭鳳凰!!!
――――決するはスターズ分隊束ねるエースオブエース、高町なのは!!!

―――第十二刀!
――――戦国の世にあってはならぬその機構、ていうか最早刀じゃねぇよ!? 炎刀『銃』!!
――――預かるは否定姫に絶対の忠誠を掲げる“不忍”の元忍者、内部監査官補佐、左右田右衛門左衛門!!!
――――撃ち合うはシューティングアーツ直伝後継者、ギンガ=ナカジマ!!!

 そして全ての刀が揃う時、隠された十三番目の刀、完了系変体刀がその姿を現す!!
――――“刀”として在る人間、普く刀に嫌われた男! 虚刀『鑢』こと虚刀流七代目当主、鑢七花!!
――――一族郎党皆殺しの怨嗟に己が生の全てを捨てた女、奇策しか練らぬが故の奇策士、とがめ!!!
――――最後の変体刀を回収せんとする機動六課ほか三名が、対決する!!!!

 果たして十三の刀は揃うのか!? そして歴史の歪みはどうなるのか!!?
 全てが揃う時、一体何が起こるのか!!?
 『魔剣語』!!! 乞うご期待!!!!

小話メドレーその22『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう~ここらで一つ人間シリーズ編~』

 なんだろう、と高町なのはは思う。自分は何を掴んでいるんだろう、と。
 ちょっと細い所を掴んでて、手前側には丸くて大きいもの、反対側の先端にはそれよりずっと大きなものがついている。更にそれは途中で左右に細いのが伸びてて、そして中央のは末尾で二股に分かれている。
 なんだろう、なんか見覚えのある形だな、と高町なのはは思う。
 何だろうか、何だろうか、何だろうか。三回考えて、三回見て、三回悩んで、そして答えは出た。
 ああ、これは、
「――人間の死体だぁ」
 呟いた時、左右の口角が吊り上がるのを感じた。どうやら自分は、笑っているようだ。
 それからぼんやりと辺りを見回せば、そこには沢山の死体が転がっている。
「ひょっとして……全部、私がやったのかなぁ」
 覚えが無い。何十人、いやさ数百人の数は転がっていても、そこに印象は無い。そんな思いで、ただぼんやりと高町なのはは死体の群を見下ろす。
「私、どうしちゃったのかなぁ……?」
 確か自分は、人を護る人間だった、気がする。
 だけど今の自分は、何百人もの人間を殺した、殺人鬼だ。
 どうして自分はそんな事が出来たんだろうか。
「おやおやおや、これはまた壮絶な光景が広がっているね。私達でも、そうだねアスでもこんなに沢山の人間を一度に殺した事は無いんじゃないかな」
 と、声が聞こえた。饒舌な男の声、誰だろうと見た先にいたのは、針金細工の様に長い手足をした男だった。
「ひょっとして君がやったのかい? お嬢さん。
 だとしたら君は将来有望だね、というかもう将来に到達していると言っても過言ではないね、そうだろう?
どうやらついさっき目覚めたようだが、しょっぱなからこんな事が出来るんだ、未来の、という形容詞では正しくないだろうからね」
「……目覚め、た?」
 首を傾げるなのはに、長身の男はにやりと笑む。
「――零崎化、してるんだろう?」
「……ぜろざき?」
 聞いた事の無い言葉だ。人の名前だろうか? それと化した、とはどういう意味だろう。
「お兄ちゃん、だぁれ?」
 問うた瞬間、男が急激に仰け反った。
「――素晴らしい! なんという事だ、こんな訳の解らないくそったれな戦争に巻き込まれて散々な気持ちになっていたが今の一言で救われたよ! というか埋め合わせを通り越して至高の気分だ!!
 成る程成る程確かにその通りだ、僕より年下の女の子が零崎化したのなら確かにその子は僕の妹だ! ああ素晴らしい、遂に妹が出来たよ、わーい!! 何かこの先の展開を無視した様な気もするが気のせいだ!!」
 ハラショー、とか喚く男をなのははぼんやりと見続ける。そんなのが数分続いた後に、男は機を取り直し、
「あ、ああ、僕の名前だったね。すまない、余りの感激に意識が行動を凌駕してしまった」
 と前置きして一言。
「――零崎双識だよ。以後よろしくやっていこうじゃないか、新しい“家賊”」


 かつて第97管理外世界で起きた空前絶後の親子喧嘩、通称『狐と鷹の大戦争』。
 そこに介入した時空管理局。投入された局員の中には、当時10歳だった高町なのはもいた。
 彼女はこの時を持って一度姿を消す。
 次に現れるのはこの6年後、ミッドチルダにおける空港火災での事となる。
 殺し名が第3位、“零崎”の姓に名を連ねる者として、火災を起こした犯人として。


「や、やぁ……殺さないで……」
 泣きじゃくる少女は、スバル=ナカジマ。
「――なのは!? どうして……なんでなのはがこんな事をするの!?」
 問いただすのは、フェイト=T=ハラオウン。
「なのは……ああ、そっか。私の名前だよね。ごめん、フェイトちゃん、あんまり久しぶりだったから反応し損なっちゃった」
 そして答えるのは、
「今私ね? ――零崎飛織っていう名前なの」
 名を変えた、高町なのは。


「――私は、高町なのはを絶対に許さない」
 高町なのはの零崎化は、本来ならばスバルが抱いていた筈の敬愛を怨嗟に変え、
「……どうして…なんで、なのはが……こんな……っ!」
 目覚める前の彼女を知る者達に、悲嘆を抱かせた。


「わーいっ! トキ君だー!!」
「……飛織、急に人に抱きつく事は、悪い事だと僕は思う」
「えーっ、いつもみたいに“悪くない”って言ってよー!!」
「ははは、なぁ飛織、トキよりも僕に抱きついてみないかい? 兄ならば至福の抱擁をお返し出来るよ?」
「お兄ちゃんは背が高過ぎて抱きつき難いからやだ。それに変態っぽいし」
「アス、アスっ! 妹に変態と言われたよ、これはいわゆる家庭内崩壊という奴じゃないだろうか!?」
「いや単にお前の事を正確に判断されただけっちゃよ」
「……ちゅーか飛織、なんでそんなに曲識の兄ちゃんが良いんだ? 昔殺されかけたんだろ?」
「人識は解ってないなぁ、そこが良いだよ。あの時のトキ君、とっても素敵だったんだから」
「意味解んねぇし」
「愚弟は黙ってるの!!」
「愚かでもなけりゃてめぇの弟でもねぇよ!!」

 そんな悲哀を気に求めず、まるで極普通の家族の様に振る舞う零崎の魔物達。
 果たして、“殺し”に目覚めた高町なのはの、零崎飛織の行く先はどちらなのか。

――――『零崎飛織の人間マジカル』

「リリカルマジカル、零崎、始めます!!」

小話メドレーその23『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう~最後はやっぱり戯言シリーズ編~』

 ジェイル=スカリエッティは恋をしている。
 それは想いを寄せている、という程消極的ではなく、愛している、という程積極的でもない。
 繰り返して言うが、ジェイル=スカリエッティは恋をしている。
 自分よりもずっと年下で、しかも更に年下の容姿で加齢の止まった、その少女を。


「やっほー“よっちゃん”、久しぶりー」

「……なぁ“姫”、その“よっちゃん”って矢張り“無限の欲望”からとってるのかい? だったら無理があると思うんだが」

 玖渚友に仕える9人目の『仲間』、それがジェイル=スカリエッティのもう一つの姿だった。


―――巻き起こる、天才達の跋扈する死の茶会

「……お待ちしておりましたわ、スカリエッティさん」
「お招き頂き光栄ですよ、赤神さん」

―――自分と同じく、恋を胸に秘めた少女との出会い

「うっわー! スカちゃんってめっちゃ頭良いんだねっ! 《うっかり山手線5週目突入、ただしフェルマーの最終定理を証明中》みたいなっ!!」
「……それは一見して阿呆に見えるという事かな……?」

―――突入する、傭兵養成お嬢様学校の内部

「貴方が何者でも私の名は荻原子荻、私の前では悪魔だって全席指定、正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討ってご覧にいれましょう」
「やってみたまえ策士君。こちらも伊達で人造人間やってないんだ、一般人の頭脳で勝てると思うなよ」

―――再会する、かつての同類

「おやおや誰かと思ったら《無限の欲望》ジェイル=スカリエッティじゃあないか、かれこれ何年振りになるだろうか。だが生憎と君との付き合いは覚えていたくもないし、というか僕は《死線の蒼》を呼んだのであって君を呼んだ訳ではない、とっとと帰りたまえド変態」
「はっはっは、どの口がそれを言うかねドロリコン君。私も君に会いたいとは毛程にも思っていないから安心したまえ嫌われ者の細菌野郎」

―――遭遇する、最強の殺し屋

「ぎゃははははっ! 何おにーさん、理澄の知り合い? だったら先言えようっかり殺しちまう所だったじゃん! ちゅーか僕に許されてんのは一日1時間何だかさ、無駄な時間取らせんなよ、殺すよ?」
「どの道私は殺されるか……」

―――そして史上最悪の男と、

「『お前は何者だ?』、ふん。俺が誰だろうとどうでも良い事だ。そうだろう?」

―――戯言使いとの出会い

「君が“姫”と出会ったから私達は“姫”と出会えた。そして、君が帰ってきたから私達は“姫”に捨てられた。そうだろう?」
「……戯言ですね、本当に。あいつの気紛れも、それに付き合う貴方達も」


――――ヨコヤリサイエンティスト~無限の欲望がやって来る~
―――――そして男は、世界の終わりを見るのか


小話メドレーその24『今度のは西尾維新作品じゃないよ? な嘘予告~GUNSLINGER GIRL編~』

「――スカリエッティを釈放!?」
 どういう事だ、と問うのは機動六課の面々、詰め寄られるはやてだったが、彼女に動じた様子は一切無い。
 というよりも、さもありなん、という表情で一同を見返していた。
「うん。……とある組織がな、ジェイル=スカリエッティの技術力が必要不可欠だ、って管理局に詰め寄ったんだそうや」
「管理局が認めたって言うんですか……? 彼があれだけの事件を起こして、まだ1年も経ってないんですよ!?」
「……ひょっとしたら、こうなるって解ってたからすんなり掴まったんかもしれんな」
 はやては天井を仰いでごちる。その様子を見据え、高町なのは問う。
「そのスカリエッティを欲しがってる組織は、一体どこなの?」
 なのはの言葉に周囲が静まり返った。それを聞いてどうするのか、そう危惧するだけの因縁が、なのはとスカリエッティにはある。
 だがはやてが返したのは、自嘲するような笑みだった。
「それがな、なのはちゃん。……どうやら私らと同じ穴の狢っぽいんよ」
「え?」
「――社会福祉公社。第97管理外世界、私らの世界の組織やよ」
 そして告げられるのは、信じたくない事実。
「そこでは……小さな女の子らが戦闘機人にされとるそうや。否、戦闘機人とも呼べない様な未熟な技術で、洗脳と短命を強いられてな」


「――どういうおつもりなんですか」
「どういうつもり、とは?」
 怜悧な表情で眼前を睨むフェイト。その先にいるのは一人の男。ジャンと名乗ったその男は、不完全型戦闘機人、当地名称“義体”の担当官達のリーダーらしい。
「スカリエッティを引き取りたいなどと……彼は新歴が始まって以来、最悪の犯罪者ですよ」
「――だから?」
 返された答えにフェイトは息を飲んだ。
「だから、って……」
「彼が犯罪を犯したのは貴方達の世界で、だ。私達は一切関係ない」
 いえ、とジャンは一度顔を俯かせる。そして再度上げられた時、そこにある表情は怒りだった。
「なぜ時空管理局は公に現れない? どうしてその力を隠し続ける? ――貴方達の力があれば、一体どれ程の人間が救われたと思っているのですか」
「―――――」
「貴方達に私達を止める権利は無い。貴方達が助けてくれないから、私達は自分達だけで助かる」


 返されたのは拒絶と怒り。それだけの力を持ちながら何故救ってくれないのか、と。


「……これが、義体の戦闘力!?」

「こんな小さな女の子が、質量兵器を使いこなすなんて……」

「どうして……エッタちゃん、どうして!?」

「私は、ジョゼさんとずっと一緒にいたいの! それだけなの!!」

「……サンドロ、私、死にたくないよぉ……っ!」

「戦闘機人技術が手に入れば、義体の寿命や弊害は解除され、安全も確保される。どうしてそれを否定する?」

「……貴様等のせいだ…っ! 貴様等のせいで、アンジェリカは……っ!!」


 送られたのは戦闘と葛藤。それでも貴方達が私達の邪魔をするなら手段は選ばない、と。


「ジョゼさん。ジョゼさんは、私達を恨んでいますか?」

「恨んではいないよ。――ただ、助けて欲しかった」


――――GUNSLINGER MAGICAL GIRL
―――――少女に与えられたのは、魔法との出会いと小さな救い


小話メドレーその25『嘘予告をやってみた~ちょっと異色なスパロボ大戦に挑戦編~』

 その日、八神はやては闇の書を覚醒させ、ヴォルケンリッター達と出会う。筈だった。
 自分しかいない薄暗い家、電話には担当医の慰めじみた留守電が一つ。
 悲哀と寂寥に心で泣き、八神はやては闇の書と出会う筈だった。
 しかし、その彼女の前に現れたのは――


「はじめまして、おいらロボコン!! ロボット学校の卒業試験で、やってきました!!」


 真っ赤なボディの、ちょっと間の抜けたロボットだった!?



「もうっ、お店のお菓子全部食べちゃうなんて……ちゃんと働いて返さなきゃ駄目だよ!?」
「バゥ~……ごめんなさぃ~……」
――――遠路はるばるハラッパ国からやってきた犬型ロボット、ロボタック!!

「貴方……誰? どうして傀儡兵の中に……」
「カブカブ! 博士ってばまたいい加減な所に送り飛ばして……スターピースが見つかんなかったらどうするんだろう」
――――時の庭園の傀儡兵より掘り出されたビーロボ、カブタック!!


 更に、時を同じくしてなのはやフェイトの前に現れる赤いロボット達!!
 そして少女達の前に次々と現れる、人間大のロボット達!!

「ここは……どこ? お茶の水博士はどこに行っちゃったの?」

『――我は門番。吉永家の門より離れる訳にはいかん』

「紅茶が冷めてしまうわ。アリサ、いれて頂戴」

「ナンバーズ? ……私達マルチアーノ12姉妹を前に12姉妹を名乗るとは、良い度胸ね」

「おっしゃ面白ぇ!! ロボトルで勝負だ!!」

「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………ん! んちゃっ!!」

「キテレツ~、キテレツはどこ行ったナリ~っ!?」

「――忍法、我慢の術って所かな」

「ぎゃああああああっ! ネズミ、ネズミ~~っ!!!」

「拙者の名はサスケ、見ての通りのカラクリ忍者でゴザル」


――――人間大のロボット達が、サイズに狭しと大乱闘!?
――――スモールスーパーロボット大戦、略してスモパロボ大戦!!!

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最終更新:2008年03月30日 21:07