小話メドレーその9『重傷を負ったなのはが入院している時期を紅の豚風にしてみた、の図』

 あらゆる騒音を拒む病院私設、だがその中にあって一つだけ騒音の絶えぬ場所がある。――世に言う、リハビリの為の小運動場だ。
「…………っ!」
 大部屋の中央に立てられた一対のバー、その間でなのはが転倒した。幼い全身を包帯と重傷で彩る姿は痛ましい。
「なのはちゃんっ!!」
 伏す少女へとエイミィが駆け寄ってくる。痛みを与えぬ様に精細な手付きで抱き起こし、
「ねぇ大丈夫っ!?」
 焦燥の顔を近づけるエイミィを、なのはは抱き起こされてようやく気付く。
「……ああ、エイミィさん…。うん、大丈夫……程よく痩せたよ」
 軽口で答えるなのは、だがカートリッジシステムを操り損ねて傷付いた体はやつれたと言った方が良い。
「――今度あのギンピカロボットを見たら言っておいてよ、また遭おうね、って」
 そう言って笑むなのはにエイミィは苛立ちを隠せない。
「……この馬鹿ッ!!」
 怒声が大部屋に響きわたる。
「こっちがどれだけ心配してると思ってるの!? どーせなのはちゃんみたいな前衛組は、あたしらなんて後ろから話しかけてくる望遠鏡程度にしか考えてないんでしょう!!」
 叫ぶエイミィの表情に、しかし憤怒の情はない。あるのは、君を喪いたくない、という心配の表情だ。
「……そんなんじゃ今にフライドチキンみたいになって死んじゃうんだから。私やだよ、そんな葬式…」
 滲み出したエイミィの声がなのはの鼓膜を震わせる。だが、それでも、魔法少女である高町なのはは動じない。
「――飛ばない魔法少女は、ただの少女なの」


小話メドレーその10『“聖王のゆりかご”をインディペンデンスディ風に破壊してみた、の図』

『八神部隊長っ! ヤツ等、主砲を撃つ気です!!』
 武装隊員達と共に高空を舞う八神はやてに、アースラからの通信が届いた。聞かされて見る先、“聖王のゆりかご”がその底部を展開し、青白い光を零す主砲を地上に向けていた。
『……やったらその前に撃ち落としたる!』
 行動を念話で伝え、はやては近場にいた武装隊員2人と共に主砲へと飛ぶ。だがそんな彼女達の狙いを悟ったのか、周囲のガジェット達が三人を集中砲火する。
「何て数だッ!」
「あかんっ、狙われとるッ!!」
「――がぁっ!?」
 はやての忠告も空しく、平行していた武装隊員の一人が撃ち落とされる。その悲鳴にはやては歯を噛み、しかし速度を緩めない。
『部隊長、もう時間がありません!!』
『――射程に入ったで! 照準取って!!』
 辛くも飛行と共に充填した魔力、そこへアースラからの支援が届いてはやての砲撃魔法が発動する。
「……フレース・ヴェルグッ!!」
 振り抜かれたのは十字の杖、放たれた無数の銀光が“聖王のゆりかご”の主砲に迫った。
 果たされた結果は直撃、しかし――、
「あかん、外壁に阻まれたッ!!」
 銀光は展開していた“聖王のゆりかご”の底部を根刮ぎ砕くが、肝心の主砲そのものを害するには至らない。
「ぐああ!!」
 焦燥するはやての背後で悲鳴が散る。平行していた武装隊員のもう一人が撃ち落とされたのだ。それは追撃の機会を失った事に他ならない。
『駄目です部隊長ッ、逃げて下さい!!』
『……誰か、誰か他におらんのッ!?』
 アースラからの通信が、はやての広域念話が届く中、“聖王のゆりかご”の主砲が光を増していき、
『――部隊長ッ!! 私がやります!!!』
 凛とした声の念話が返された。それははやてにとってなじみ深い声色だ。
『ギ、ギンガっ!?』
 はやてが声の主を呼ぶのと同時、地上から一筋の線が上空に向けられた。藍色のそれは道、ギンガが発動したウィングロードだ。その上を長髪の女性が駆ける。
『私が主砲を撃ち抜きます! その間……周りのガジェット達を抑えて下さい!!』
『……解った! 総員、ナカジマ一等陸士の援護や!! ――これが、最後の勝負やで!!』
 はやての指示に返答はない。激化した戦渦と撃ち落とされるガジェットの群がそれを代弁する。破片と炎が舞う中でギンガが主砲に接近し、攻撃が叫ばれた。
『リボルバー……キャノン!!!』
 だが、
『!!!?』
 攻撃が放たれない。突き出されたギンガの拳は僅かな光さえまとわない。
『――ッ、魔力切れです!!』
『な……ッ!!?』
 ギンガの慟哭にはやては絶望を抱く。
……駄目なんか? もう、どうしようもないんか……ッ!?
 嘆きに表情を歪ませ、涙をにじませ、そして、
『――八神部隊長、頼みがあります』
 ギンガの呼びかけを聞いた。
『……私の妹と父に、愛してると伝えて下さい』
『――ギンガ? 待ちぃ、ギンガ、何する気や!!?』
 はやての言葉を返答はない。返されるのは、聞いた事も無いギンガの罵声だ。
『……この泥船がッ!! そのデカい穴開けたまま待ってなさい!!!』
 ギンガの移動速度が、ウィングロードの構築速度が加速する。最早極光を生み出す主砲内部に向かって。
『待ってギン姉! 何する気なのッ!!?』
 速度の中でギンガははやて以外の声を聞く。それは自分が愛した家族、護りたい妹。――その為にギンガは、最早止まらない。
「さあ行くわよオンボロ共!!」
 発車寸前まで光が強まる中、ギンガの突き出した手が高速で回転する。
 そして砲撃は放たれた。それは光の柱とも言うべき巨大さ、過剰な攻撃力の具現だ。だがその中を、ギンガ・ナカジマは突き進む。
『はははははははははははははははッ!! 見えてる、スカリエッティッ!? アンタ達が改造した私の腕がアンタの野望を壊しにッ!!!』
 光がギンガの身を削り、その中でギンガが大笑し、――そして貫徹の左腕が突き込まれた。
『――帰って来たわよッ!!!!』
 主砲が轟爆、その響きは“聖王のゆりかご”全体を伝う。……ギンガをその内に飲み込んで。


小話メドレーその11『嘘予告をやってみた~大分前に話題に上がった某王国心編~』

(版権的に色々とヤバイので、勝手ながら削除させていただきました)


小話メドレーその12『嘘予告をやってみた~ここんとこマイブームなONEPIECE編~』

 その寝耳に水な大事件は、ある日突然発生した。

「――クラウディアが消息不明……? どういう事!?」
「解りません!! 突然連絡がとれなくなって」
「そんな、……クラウディアにはクロノ君が、ううん、今ははやてちゃんやティアナが乗ってるんだよ!!?」

 大型艦船が突如消息を立ち、代わりにミッドチルダに降り立ったのは、

「い、一体何が……、状況報告!!」
「雷ですっ! あの艦船が暗雲を吐いて……いきなり無数の落雷がッ!!」

 天候を操る正体不明の艦船、そして、

「……ふむ、今ならヴァースを奪い取ったかつての神の気持ちが理解出来るな」
「名前と出身世界を!! 何者ですか!!」
「不届きな娘だ。――我は神!! 神・エネルなるぞ!!!」

 月を通り過ぎて、うっかり別の世界に行き着いてしまった男だった!!



「どういう事だ! 我々に次元航行技術はない!! 古代兵器でもなければそんな事はありえん……!!」
「どうする、時空管理局は対応策として我々の世界から戦力提供を言ってきているぞ?」
「我々の最大戦力、CP9は先日潰され、まだ立ち直っていない! ……七武海の一人を向かわせよう」
「否、聞く所によれば敵は“自然系”の能力者、こちらも“自然系”の能力者を送らねば問題視されるぞ!」
「ならば奴を送れば良い。どのみち終身刑、向こうの世界へ放り出せば後の問題もない」

 時空管理局からの通信に驚愕する五老星が送り込む海賊は、

「キシシシシシシ、世界政府のクソ爺共から命令!? んなもんテメェらでやれ!!」
「いえご主人様、聞く所によれば向こう側の世界には我等の知りえぬ能力が数多あり、強豪も多いとか。新たなゾンビに丁度良いと思われます」

「別の世界で闘って来い、ねぇ……。はん、どうせ断っても聞かねぇだろうが」
「勝敗に関わらずヤツ等は俺達を捨てる気だろうが、まあ一生牢獄の中よりかはマシだな」
「ジョ~~ダンじゃな――――いわよぉぅっ!! いきなり別の世界とか、アンタ達信じちゃう訳ぇっ!?」
「で――――――――も―――――――――だ―――――――――――」
「おデブちゃん、長過ぎよぉうっ!!」

 異形にかしずかれた七武海と、元七武海が率いた秘密結社の上位エージェント達。

「恐らく向こうの世界の政府はまともな戦力を送ってこないわ。恐らく……王下七武海という政府公認の犯罪者達を送ってくるでしょう」
「政府が手を余す程の犯罪者!? そんなの送られてきたらどうなっちゃうんですか!?」
「解ってるわ。だから……私の方のツテで、信用出来る戦力も一緒に来てもらったの」
「……で、俺に白羽の矢が立ったってか。勝手な事しやがって……」

 リンディに頼まれてやってきのは、何本もの葉巻を加えた大柄の男。

「……ここ、は……?」

 そして異世界の海に落ちたクラウディア。そこでクロノは、ヴェロッサは、はやては、ティアナは、

「おっほ―――! 何だこのでっけぇ船!! 全部鉄で出来てんぞ!!?」

 麦わら帽子を被った、その少年と遭遇していた!!!

 NANOPIECE、始めたくもあり始めたくもないような感じでよろしく!!!

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最終更新:2007年12月22日 17:14