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※ 注意 ※


此処から先は、ネタバレの全てが詰まっています。閲覧は自己責任でお願いします。
いずれ小説としてサイトに載せる予定です。いつかは不明。予定は未定。
待てないという方だけ、覗いちゃってくださいな。

よく考えてから、見るか否かを決めましょう。



ネタバレ05 1+1=2人でひとつ




何でも屋ネイプ。本名宇積薙。
奪い屋ジャック。本名宇積咲弥。
二人は腹違いの姉弟だ。

二人の父親は、当時二人の女性に手を出していた。
片方の女性が身ごもってしまっても、彼の浮気は止まらない。
一年後、もう片方の女性も身ごもってしまった。

父親は二人を愛している。自分なりに悩んだ末、選んだ一人と結婚した。
薙の母親である。
しかし、父親はもう一人の相手を忘れられなかった。
それに気づいた薙の母親は、夜中ひっそりと離婚届にサインをする。
荷物をまとめ、旦那と子を捨て出て行った。

やがて、父親はもう一人の相手と再婚する。
薙の元に、新しい母親と姉の咲弥がやってきた。

薙と咲弥は、沢山喧嘩をして、その分だけ仲良しになった。
まさしく、二人で一つ。時間さえ合えば、飽きることなく傍にいた。
息も合う二人は、まるで双子のよう。
同じ布団に包まりながら、彼等はお互いにしか分からない名前を生み出した。
トランプの11から、ジャックネイプ
咲弥も嬉しそうにしていたが、特にそれを大事にしていたのは、薙。
彼にとって、それは絆だった。

薙は咲弥のことが大好きだ。
恋や家族愛といったものとは違う。より深い、想いを抱いている。

反して、父親の事は大嫌い。彼はとにかく酷い人で、時折義母に暴力をふるう。
その度に、薙と咲弥の間に起きるものとは違う、耳障りでしかない喧嘩が起きた。
姉弟は黙って身を寄せ、事が終わるまで暇を潰す。
できることがそれしかなかったのだ。干渉していい流れではない。
止めるという手もあったが、義母自身に断られた。
咲弥程に好きな人間だったら、薙は言う事を聞かずに、間に割って入っただろう。
嫌いではないのだが、薙は義母に対してどこか距離を感じていた。

だからこそ、余計に、咲弥は薙にとって絶対的な存在。

咲弥が中学生三年生の頃だった。
父親が何の相談もせずに、咲弥の進路先を華一女子高等学校に決めた。
仕事屋の何れかに絶対所属が、入学条件である学校。
咲弥は怒ったが、薙はそれ以上にぶち切れてしまう。初めて、父親を殴った。

結局咲弥は諦め、華一女子高等学校に入学する。

一年後、咲弥とは違い普通の高校に入った薙。
バイトを初めた彼は、最初の給料でピアスをワンセット買った。

それは、目に見える絆。片方は自分が身に付け、もう片方は咲弥にあげた。

薙はあっさりとピアスホールを空けたが、咲弥は己の身体に傷をつけたくない。
お守り袋を購入し、中にピアスを入れて持ち歩いた。
たまに、無意識のうちにそれを取り出し、見つめてしまう。
薙が買ってくれた、お揃いのピアス。考えると心が自然に和んだ。

ある日の帰宅路。学校の門を潜り、歩きながらそれを眺めていた咲弥。
遠くから友達に名を呼ばれ、ようやく距離ができてしまっていたことに気づいた。
いいや、ショートカットだと、車のない道路に飛び出す。
その瞬間に、咲弥はピアスを落としてしまった。気づき、慌てて戻る。

刹那、曲がってきたトラックが勢いよく咲弥を撥ねた。

意識が飛ぶ直前に、護らなきゃと思い、強く握ったのはお揃いのピアス。

テレビの電源が落ちた時のように、視界が黒に切り替わる。
耳を通る誰かの声。虫のように小さかったそれは、
意識した瞬間に、太鼓のような大きい呼びかけに変わった。

薙だ。合図のように、はっと彼の姿が見えるようになる。

叫んで、涙を流して、力なくソファーに座りこむ弟。
咲弥は彼に手を伸ばし、気づいた。自分の身体が透けている。
信じられないといった表情で、薙、と試しに呼んでみた。

彼は顔を上げる。姿を捉えてくれたかと思えば、瞳を悲しみで歪め、再び俯いた。

咲弥の身体は、仕事屋専門の病院へと入院する事になった。
治療費を稼ぐ為、薙は何でも屋事務所に入る。

咲弥が護ったピアスはベットの傍にある。
薙は身に就けていたピアスを外し、隣に並べた。

代わりに、彼女が扱っていた武器を拝借する。

薙はとにかく何でもやった。基本は言いなりだが、度々堪忍袋を切らしてしまう。
相手に向けた攻撃は何故か、絶対に軌道が外れた。
傍にいる霊魂の所為なのだが、薙は見えていない上に、気づいていない。
否、本当は分かっているが、認めることができずにいるのだ。

霊魂になってしまった咲弥は、人によって見えたり見えなかったり。
唯一全員に見える時がある。学校にいる間だ。
恐らく、校舎から出て直ぐに轢かれてしまった所為だろう。

本当は身体に戻れるのかもしれない。だが、それ以上に薙が気になる。

薙は護り屋本村詩に目を付けられた。
情報を洩らすな、私の玩具になれ。吐き気のする依頼を、渋々と受けた。

今度は、咲弥がぶち切れる番。唯一つ残念なのは、二人に姿が見えないこと。

幸い、本村詩の友人である土塀さとやの存在が薙を救った。
彼が本村詩の家に来ている間は、本村詩に何もされない。

土塀さとやの家にまぬかれた日から、そこは薙の非難所になった。