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7時だ。


僕のいつもどおりの一日が始まった。

7時には太陽はすっかりと昇っているので窓の外は明るい。

僕は窓を開け、布団を整え、いつも通りに母がいる一階へと階段を下りる。



      • そう、いつも通りに。



「おはよう董くん」


「おはよう・・・・・母さん」


いつもこの朝の挨拶からつまづく。


僕にとっての「母さん」は前の母さんしかいないからやっぱりいうのは抵抗があるのだけれど、継母の機嫌を損ねるよりはましだ。


だけど、今日言葉に詰まったのはそれだけが理由ではなかった。






継母は、腐っていた。





あの独特のすえたような腐臭が朝食を作る母の背中から確かに臭っていた。








「今日はスクランブルエッグよ。」

継母が振り向いた。



それは、継母ではなかった。





継母の顔は、醜く焼け爛れ、頬の皮や肉が崩れ落ち欠けていた。


そして継母はにいっと笑った。


あの作り笑いの顔で。


僕はまたもや叫びだしそうになる口を押さえた。

「どうしたの?気分でも悪いの?」


継母が聞いてくる。

腐臭が近付いてくるごとに臭いが増す。


「・・・・そうみたいだ。ごめん朝食今日食べられないや・・・」



そういって僕は学生かばんを引っ掴むと急いで玄関から飛び出した。




忘れろ・・・忘れるんだ。

駅までの小道を走りながら僕は自分に言い聞かせる。

ちょっと疲れていたから幻覚が見えていただけなんだ。

『そうやっていつも自分を騙して生きてきたのか』

またあの声が脳に直接伝わる。

ふと、あの三時半を思い出す。

いや、思い出すな!

僕の心が思考にストップをかける。



お前は誰なんだ!

僕の中で勝手に暴れるな!



『だからさっき言っただろ。俺はオマエだって』

嘘だ!


これは幻聴だ。

僕は首をフルフルと横に振る。


『やっぱりお前は見たものしか信じないんだな。まあそれが俺にとって好都合だったわけだが』


本当に僕は疲れているみたいだ。やっぱり家で寝てたほうが良かったのかもしれない。


『無理だろそれは。てめぇの母ちゃん腐ってたろ。あれもうすぐくたばるかもな』

腐る・・・?

『オマエも早くしないと手遅れになっちまうぞ。げんにもう右手腐ってるし』

僕は無意識にポケットに突っ込んでいた右手を、引っ張り出した。





『ほらな』


「・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



何なんだこれは!

僕は本日何回も出すのを我慢していた悲鳴を上げた。


確かに右手は腐っていた。

継母と同じような皮膚の爛れ。

継母と同じようなあの臭い。


僕は歩道の真ん中で座り込んだ。

息が荒い。



「どうしたの?立てるかい?」


背後から声がして僕はびくっとする。

通りすがりの男の人が不審に思ったのか声をかけてくれたらしい。

いえ・・・立てます大丈夫です。

そういおうとして振り向いた。

しかし僕の口から出たのはお礼の言葉でなく悲鳴だった。



その人の顔も、腐っていた。



                       to be contunued...