紙木城直子とは何者か?

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**・紙木城直子とは何者だったのか? &italic(){注)この記事は「ブギーポップは笑わない」「歪曲王」及び「ヴァルプルギスの後悔File4」のネタバレを含みます。} ブギーポップシリーズも15作を超える長編作品となっているが、 その1作品目にして死亡してしまった彼女&italic(){――}紙木城直子を覚えているだろうか。 死亡した登場人物が、再度登場することの多いこのシリーズにおいて、 ヴァルプルギスの後悔File4まで、ほとんど再登場することもなく、 複雑に、膨大になっていく物語に置いていかれてしまった最初の存在とも言える。 しかしそんな彼女を完全に忘れてしまった人は少ないだろう。 何故ならその登場頻度に対し、彼女の存在はあまりに奇妙であり&italic(){――}何より謎を残しすぎた。 そんな紙木城直子の特殊性をここで振り返ってみたいと思う。 *1.エコーズとの交流 まず彼女と言えば何と言ってもエコーズは欠かせないだろう。 これは最初の特異点であり、最大の謎でもある。 笑わないの段階では、まだ正体は分からなかったのだが、 知っての通りエコーズは宇宙人、詳しく言うと<ナイトウォッチ三部作>で 登場する虚空牙である。 虚空牙は人類を"審判"するために4人の偵察を送ったが、 そのうちの最初の一人がエコーズであった。 彼は自ら喋ることを禁じられていた。それは虚空牙が自分達の情報を人類に公開しない様、 それによって審判の結果が変わることがないようにとの配慮である。 しかし、彼らには一つ誤算があった。紙木城直子の存在である。 彼女は喋れないエコーズの意図を、ほとんど正確に読み取ってしまっていた。 今だ謎の多い虚空牙の目的が、おぼろげながらに判明しているのは、 この時紙木城直子が話していたからと言っていいだろう。 何故話が通じたのか?MPLSだったからなのか? それは分からないが、虚空牙と言うのはMPLSや統和機構などをも超越した存在である。 その虚空牙が定めたルールを破る。 その異常性は後々の作品を読み進めていくにつれて増していっているだろう。 彼女は虚空牙の中でもイレギュラー存在だったのだ。 *2.田中志郎との交際 紙木城直子の恋人は田中志郎である。 彼女は弓道をしている彼を見て、一目惚れして告白し交際に到ったようだ。 "笑わない"の時点では、それはなんてことのない恋愛エピソードに過ぎなかった。 しかし"歪曲王"を読むと、その話は別の意味を持ってくる。 はじめブギーポップシリーズの最終巻予定であった歪曲王だが、 この作品の敵の歪曲王はブギーポップと同じ"自動的な存在"である。 自動的な存在はブギーポップが毎回出ているために、それを目にすることは多いが、 実際判明してるのはブギーポップ、歪曲王、そして半自動的な水乃星透子。 それらたったの3人しか存在していない。 そしてブギー以外の二人は、どちらも"ラスボス"といった立ち位置の重要人物である。 同時にそれは歪曲王&italic(){――}つまり田中志郎の特殊性も意味している。 "笑わない"の段階でブギーが分からなかったように、ブギーポップが統和機構 などにも今だ謎の存在であるように、自動的な存在は、浮かび上がらない限り ほとんど見つかることの無い特殊な存在である。 読者にしろ、友人の羽原健太郎にしろ、ブギーポップにしろ、 田中志郎の特殊性を事前に見つけることは出来なかった。 紙木城が一目惚れした相手とは、そんな相手なのだ。 そんな彼女は田中志郎を好きになった理由をこう述べている。 &italic(){「でもなんか知らないけど、あの子は"大したもの"みたいな気がするのよね」} 自動的な存在に対しても、彼女はやはり特殊な立場であった。 *3.炎の魔女の空間より "笑わない"のあと紙木城直子は舞台から退場する。 霧間凪の行動原理の支柱でありながらも、凪はあまり過去を語らないせいもあり 名前すら登場することはなくなってしまった。 そんな紙木城直子だったが、2011年発売の「ヴァルプルギスの後悔File4」にてついに再登場を果たした。 ヴァルプルギスの攻撃により、「霧間凪が望んだのう一つの過去」により 過去へと飛ばされた霧間凪。何の苦労もない環境で、強くなることもないまま過ごす彼女が 小学校の転向的で出会ったのが紙木城だった。 正史ではすぐに二人は親友となり、そのときに紙木城が凪を信じたことで 凪はお互いに信じあう強さを手に入れたのだ。 しかしヴァルプルギスが作り出したアトランティス領域では、二人はすぐに仲良くならなかった。 親の関係でクラスから冷たい扱いを受ける紙木城に対し、この世界の凪は それを救い出す勇気が持てなかったのだ。 ある日クラスから紙木城が責められた時、戸惑う凪を見て紙木城は&italic(){――}突然凪を殴りつけた。 そして高校生の姿になった紙木城は、小学生の凪に言う &italic(){「あり得たかも知れない過去なんかどーでもいい。続かなかった未来も知ったこっちゃない。} &italic(){ 私は、今、ここで――しみったれたことで悩んでいるあんたをぶん殴ってやるために出てきたのよ」} そう言って凪を叱咤激励し、過去から引きずり出した。 凪はそれを受けて再び魔女の戦いの地へと戻って行ったのだった。 これは凪の強さによるものかも知れない。 あるいは既に戦いの行方は決まっていたのかもしれない。 またあるいはヴァルプルギスの試みた攻撃自体、本来意味をなさないものなのかも知れない。 しかし、超常の存在ヴァルプルギスによる誤算があったときに、 その場にいたのはやはり紙木城直子だったのだ。 ---- 結局彼女が関わった、特に特殊な事柄は以上の3つである。 ・虚空牙のルールを無視 ・歪曲王の存在に無意識で特殊性を感じ取る ・炎の魔女の攻撃の中でイレギュラーとなる 虚空牙、自動的な存在、魔女&italic(){――}どれもこの作品の中でも、 特に特殊な存在と言えるだろう。 更にもっと言うならば、彼女の親友は"MPLS"で"炎の魔女"の霧間凪であり 彼女は殺した相手は"合成人間"マンティコアだった。 ほんの少しの間にこれだけの存在関わった紙木城直子。 彼女亡き今、どれだけの事実が明かされるかは分からないが、 調べていくたびに見つかったのは、更に多くの謎であった。 普通の一般人なのかもしれないし、あるいは中枢をも凌駕する存在なのかもしれない。 ただ今読者に出来るのは、再び彼女が話に関わってくる時を待つこと・・・ &italic(){――}そして、一番彼女に関わり、その結果行方不明となってしまった <形骸の戦士>木村明雄の話が書かれることをただ待つことだけである・・・。
**・紙木城直子とは何者だったのか? &italic(){注)この記事は「ブギーポップは笑わない」「歪曲王」「ヴァルプルギスの後悔File4」のネタバレを含みます。} ブギーポップシリーズも15作を超える長編作品となっているが、 その1作品目にして死亡してしまった彼女&italic(){――}紙木城直子を覚えているだろうか。 死亡した登場人物が、再度登場することの多いこのシリーズにおいて、 ヴァルプルギスの後悔File4まで、ほとんど再登場することもなく、 複雑に、膨大になっていく物語に置いていかれてしまった最初の存在とも言える。 しかしそんな彼女を完全に忘れてしまった人は少ないだろう。 何故ならその登場頻度に対し、彼女の存在はあまりに奇妙であり&italic(){――}何より謎を残しすぎた。 そんな紙木城直子の特殊性をここで振り返ってみたいと思う。 *1.エコーズとの交流 まず彼女と言えば何と言ってもエコーズは欠かせないだろう。 これは最初の特異点であり、最大の謎でもある。 笑わないの段階では、まだ正体は分からなかったのだが、 知っての通りエコーズは宇宙人、詳しく言うと<ナイトウォッチ三部作>で 登場する虚空牙である。 虚空牙は人類を"審判"するために4人の偵察を送ったが、 そのうちの最初の一人がエコーズであった。 彼は自ら喋ることを禁じられていた。それは虚空牙が自分達の情報を人類に公開しない様、 それによって審判の結果が変わることがないようにとの配慮である。 しかし、彼らには一つ誤算があった。紙木城直子の存在である。 彼女は喋れないエコーズの意図を、ほとんど正確に読み取ってしまっていた。 今だ謎の多い虚空牙の目的が、おぼろげながらに判明しているのは、 この時紙木城直子が話していたからと言っていいだろう。 何故話が通じたのか?MPLSだったからなのか? それは分からないが、虚空牙と言うのはMPLSや統和機構などをも超越した存在である。 その虚空牙が定めたルールを破る。 その異常性は後々の作品を読み進めていくにつれて増していっているだろう。 彼女は虚空牙の中でもイレギュラー存在だったのだ。 *2.田中志郎との交際 紙木城直子の恋人は田中志郎である。 彼女は弓道をしている彼を見て、一目惚れして告白し交際に到ったようだ。 "笑わない"の時点では、それはなんてことのない恋愛エピソードに過ぎなかった。 しかし"歪曲王"を読むと、その話は別の意味を持ってくる。 はじめブギーポップシリーズの最終巻予定であった歪曲王だが、 この作品の敵の歪曲王はブギーポップと同じ"自動的な存在"である。 自動的な存在はブギーポップが毎回出ているために、それを目にすることは多いが、 実際判明してるのはブギーポップ、歪曲王、そして半自動的な水乃星透子。 それらたったの3人しか存在していない。 そしてブギー以外の二人は、どちらも"ラスボス"といった立ち位置の重要人物である。 同時にそれは歪曲王&italic(){――}つまり田中志郎の特殊性も意味している。 "笑わない"の段階でブギーが分からなかったように、ブギーポップが統和機構 などにも今だ謎の存在であるように、自動的な存在は、浮かび上がらない限り ほとんど見つかることの無い特殊な存在である。 読者にしろ、友人の羽原健太郎にしろ、ブギーポップにしろ、 田中志郎の特殊性を事前に見つけることは出来なかった。 紙木城が一目惚れした相手とは、そんな相手なのだ。 そんな彼女は田中志郎を好きになった理由をこう述べている。 &italic(){「でもなんか知らないけど、あの子は"大したもの"みたいな気がするのよね」} 自動的な存在に対しても、彼女はやはり特殊な立場であった。 *3.炎の魔女の空間より "笑わない"のあと紙木城直子は舞台から退場する。 霧間凪の行動原理の支柱でありながらも、凪はあまり過去を語らないせいもあり 名前すら登場することはなくなってしまった。 そんな紙木城直子だったが、2011年発売の「ヴァルプルギスの後悔File4」にてついに再登場を果たした。 ヴァルプルギスの攻撃により、「霧間凪が望んだのう一つの過去」により 過去へと飛ばされた霧間凪。何の苦労もない環境で、強くなることもないまま過ごす彼女が 小学校の転向的で出会ったのが紙木城だった。 正史ではすぐに二人は親友となり、そのときに紙木城が凪を信じたことで 凪はお互いに信じあう強さを手に入れたのだ。 しかしヴァルプルギスが作り出したアトランティス領域では、二人はすぐに仲良くならなかった。 親の関係でクラスから冷たい扱いを受ける紙木城に対し、この世界の凪は それを救い出す勇気が持てなかったのだ。 ある日クラスから紙木城が責められた時、戸惑う凪を見て紙木城は&italic(){――}突然凪を殴りつけた。 そして高校生の姿になった紙木城は、小学生の凪に言う &italic(){「あり得たかも知れない過去なんかどーでもいい。続かなかった未来も知ったこっちゃない。} &italic(){ 私は、今、ここで――しみったれたことで悩んでいるあんたをぶん殴ってやるために出てきたのよ」} そう言って凪を叱咤激励し、過去から引きずり出した。 凪はそれを受けて再び魔女の戦いの地へと戻って行ったのだった。 これは凪の強さによるものかも知れない。 あるいは既に戦いの行方は決まっていたのかもしれない。 またあるいはヴァルプルギスの試みた攻撃自体、本来意味をなさないものなのかも知れない。 しかし、超常の存在ヴァルプルギスによる誤算があったときに、 その場にいたのはやはり紙木城直子だったのだ。 ---- 結局彼女が関わった、特に特殊な事柄は以上の3つである。 ・虚空牙のルールを無視 ・歪曲王の存在に無意識で特殊性を感じ取る ・炎の魔女の攻撃の中でイレギュラーとなる 虚空牙、自動的な存在、魔女&italic(){――}どれもこの作品の中でも、 特に特殊な存在と言えるだろう。 更にもっと言うならば、彼女の親友は"MPLS"で"炎の魔女"の霧間凪であり 彼女は殺した相手は"合成人間"マンティコアだった。 ほんの少しの間にこれだけの存在関わった紙木城直子。 彼女亡き今、どれだけの事実が明かされるかは分からないが、 調べていくたびに見つかったのは、更に多くの謎であった。 普通の一般人なのかもしれないし、あるいは中枢をも凌駕する存在なのかもしれない。 ただ今読者に出来るのは、再び彼女が話に関わってくる時を待つこと・・・ &italic(){――}そして、一番彼女に関わり、その結果行方不明となってしまった <形骸の戦士>木村明雄の話が書かれることをただ待つことだけである・・・。

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