夢急天乃原線

天乃原線(あまのはらせん)は、夢急天乃原営業部管轄の路線である。
天城(あまぎ)~満弦ヶ崎中央(みつるがさきちゅうおう)間の本線と、満弦ヶ崎中央(みつるがさきちゅうおう)~弓張海岸(ゆみはりかいがん)間に分かれている。
停車駅案内については、添付ファイル(一番下)を参照のこと。


基本データ

  • 路線距離(営業キロ):42.2km
  • 軌間:1435mm
  • 駅数:19
  • 複々線区間:天城~鷲宮間
  • 複線区間:鷲宮~満弦ヶ崎中央間
  • 単線区間:満弦ヶ崎中央~弓張海岸間
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最高速度:天城~満弦ヶ崎中央間130km/h(各駅停車区間は120km/h) 満弦ヶ崎中央~弓張海岸間90km/h
  • 信号方式:ATS-P

歴史

  • 1927年2月6日 天乃原電気鉄道が天城~天乃原間を開業。当初は全線単線、750V電化。
  • 1932年9月16日 天乃原~倉永間が開業。
  • 1934年4月4日 満弦ヶ崎~弓張海岸間が開業。
  • 1938年5月8日 海鳴市~倉永間を複線化。
  • 1940年 満弦ヶ崎~弓張海岸間を休止。
  • 1944年10月1日 海鳴高速軌道・東沿岸電気鉄道・落合電気鉄道・高町鉄道・天乃原電気鉄道が合併し、夢急電鉄となる。海鳴市駅を廃止し、海鳴駅を開業。夢急本線と同一改札内で乗換ができるようになった。当初は運賃体系が他路線(十勝線を除く)と異なっていた。
  • 1948年12月11日 満弦ヶ崎~弓張海岸間を再開。
  • 1952年3月21日 全線1500V電化し、海鳴~天城間が路線別複々線となる。同時に天乃原~天城間を高架化。
  • 1967年4月 最高速度が100km/hになる。A特急乗り入れ開始。運賃が他路線と通算されるようになるが、同時に値引き運賃も導入された。
  • 1972年3月1日 倉永~満弦ヶ崎間が開業すると同時に、満弦ヶ崎駅を満弦ヶ崎中央駅に改称。倉永~満弦ヶ崎中央間は当初より複線。
  • 1982年6月 最高速度が120km/hになる。ただし一般車の最高速度は110km/hとなった。
  • 1984年2月1日 鷲宮~天乃原間を高架化。
  • 1995年3月 一般車の最高速度が120km/hになる。
  • 2007年3月 最高速度が130km/hになる。
  • 2008年4月1日 ICカード「CROCA」使用開始。
  • 2008年10月1日 夢急の運賃値下げにより、値引き運賃廃止。
  • 2009年3月 快速特急・区間準急を新設。同時に多くの準急が区間準急になり、昼間も区間準急の運転を開始する。また夕方の下りと朝の上りの一部の快速特急が天乃原にも停車するようになる。
  • 2010年3月 天城~海鳴間が三複線化され、うち4線を天乃原線が、残りの2線を夢急本線が使用する。これに伴い、天城~海鳴間も複々線化される。
  • 2012年3月 ダイヤ改正に伴い、快速特急と特急が廃止。特急列車はホームライナーとして運転される。
  • 2014年10月 ラッシュ時の快速急行を12両編成に増強し、天乃原~鷲宮間が複々線区間になる。


列車種別

現在存在する種別

  • 快速急行 Rapid Express
天乃原線の主力種別。天城~満弦ヶ崎中央間で設定され、本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車で運転される程度である。
国鉄に対抗するため最高速度130km/hで運転する。そのため、一時期使用車両を限定していた。現在は改造が行われ、それ以外の車両も入るようになった。
1960年に無料特急として登場だったが、「本線特急と区別がつかない」という理由で1967年の有料特急乗り入れに伴い一時廃止され、全線開業後の1975年に再び設定された。当初は最大でも6両編成だったが、2000年から10両編成の運転が開始され、2014年からは12両編成の運転も開始した。
平日朝ラッシュは10両または12両、夕方ラッシュは10両または8両、昼間は8両で運転。休日は朝ラッシュに10両で運転するほかはほぼ全列車8両編成となっている。
現在、天城~満弦ヶ崎中央間を最速27分で結び、表定速度は85.3km/hとなっており、料金不要列車としてはかなり早い。ただし線路容量に無理があり天城駅手前で信号に引っかかり到着が遅れることが多かった(他の種別でも同様のことがいえる)。2010年の天城~海鳴間の三複線化によって解消を図っている。
ラッシュ時の混雑が激しいにもかかわらず、環状線とは異なり女性専用車両が導入されないことによる不満が出ている(国鉄は2004年に平日朝ラッシュに導入、2011年4月からは新快速や4両編成の列車を除き終日の設定になっている)。
理由としては、天乃原線に10両固定の編成が1編成も存在せず、特急以外の種別が全車共通運用になっていることにより車両での案内が出来ないこと、先に導入した環状線で女性専用車両解除後の車両が化粧や香水などのにおいがするなどの苦情が男女問わず寄せられていることから、新規設定及び設定解除が出来ない状況になっている。
朝ラッシュは倉永発車時点で満員になる。
  • 急行 Express
朝以外に運転されている。運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車のみ。快速急行との停車駅の差は1駅で、これは鷲宮駅のホームの有効長の不足によるもの。一時期は急行には専ら8000系などが入ることも多かったが、現在は特に使用車両は定まっていない。最高速度130km/hで走行できるが、実際は余裕のあるダイヤに設定されている。最大8両編成となっているが、実際は平日の昼間に6両編成の急行が存在するほかは8両編成で運転している。
天城~満弦ヶ崎中央間を最速28分で結んでおり、表定速度は82.3km/hとなっている。
編成数が短い上、先述の通り快速急行とは停車駅が1駅違うだけのため、夕方の満弦ヶ崎中央行きは比較的混雑する。休日の午前中の天城行きもかなり混雑していたが準急設定により若干は解消されると思われる。
  • 準急 Semi Express
快速急行・急行を補完する役割の優等列車。
現行の準急が登場した際はラッシュ時のみの運転だったが、2013年ダイヤ改正後には終日運転されるようになった。
天城~倉永間は急行と同一の停車駅で運転され、倉永~弓張海岸間は各駅に停車する。
ラッシュ時は8両編成で運転されているほかは6両編成で運転されている。2009年3月から、従来の準急を区間準急に置き換え、停車駅を削減した準急が登場した。
2014年に十勝線直通の準急が設定されたが、2018年ダイヤ改正以降は直通する列車が区間準急に変更された。
  • 区間準急 Section Semi Express
2009年3月ダイヤ改正から設定された種別。停車駅は、それ以前に存在した準急と同様に、天城~天乃原間は急行と同一の停車駅で運転され、天乃原~弓張海岸間は各駅に停車する。全列車が6両編成で運転される。
区間準急に変更された以降は昼間時に運転され、ラッシュ時の設定はほとんどなかったが、2013年ダイヤ改正で大幅に減少した。2018年ダイヤ改正以降は十勝線直通列車のみに使用されることになったため、区間準急が運転されるのは天城~天乃原間のみとなった。
  • 普通 Local
音声案内では各駅停車と案内される。全線を運転する列車はわずかに存在する。普通しか停車しない駅のホーム有効長が6両までであるため、ほとんどの列車が6両編成で運転されている。
ただし、倉永~弓張海岸間を走行する列車は最大8両編成で運転することがある。
海鳴~倉永間の複々線区間では、緩行線に入る。
  • 通勤ライナー、ホリデーライナー Liner
2012年3月ダイヤ改正から設定された種別。
停車駅は従来の特急から天乃原を除外し、乗車整理券310円を徴収する方式に変更される。
詳細はこちらを参照のこと。
2016年のダイヤ改正から、平日に運転される列車は通勤ライナー、土休日に運転される列車はホリデーライナーに名称が変更された。

過去に設定されていた種別

  • 快速特急 Rapid Limited Express
2008年までは「A特急」として運転されていたもの。ほぼ終日運転されていた。線内の運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車で入線することがあった。
全列車夢急本線六課駅まで直通し、天城~六課間は多くの列車がノンストップで運転される。快速特急は線内運転の特急と異なり、天乃原(一部の列車は停車)と倉永は通過していた。21001系登場以降、車両は21001系(21021系登場後は21021系も使用されていた)を使用していた。
利用者の低迷から、2010年ダイヤ改正の際に夢急本線内の運転に短縮された。
  • 特急 Limited Express
2008年3月まで「B特急」として運転されていたもの。線内の運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車のみ。
朝と夕方に運転される。有料特急ではあるものの、本線系統とは異なり短距離であるため、事実上座席指定の列車扱いである。時間帯によっては「快速急行より遅い特急」になる例も存在する。最大10両編成。夢急天乃原車庫への回送もかねている。
2012年のダイヤ改正の際にホームライナーに置き換えられ、消滅した。



運転本数

2018年ダイヤ改正現在
  • 昼間の運転本数
天城~天乃原間:快速急行3本、急行3本、準急3本、区間準急3本、普通6本
天乃原~倉永間:快速急行3本、急行3本、準急3本、普通6本
倉永~満弦ヶ崎中央間:快速急行3本、急行3本、準急3本(各駅に停車)、普通3本
満弦ヶ崎中央~弓張海岸間:準急・普通2本


終夜運転時(2012~2013年)

  • 天城~満弦ヶ崎中央間:普通2~3本
  • 満弦ヶ崎中央~弓張海岸間:普通(直通)1本

設立までの経緯

当初、天城~天乃原間で開通した夢急天乃原線(開業当初は天乃原電気鉄道)は、昼間は2両編成の電車が30分おきにしか来ないローカル線だったが、当初、国鉄の独壇場であった満弦ヶ崎~天城間で国鉄に対抗するために満弦ヶ崎中央まで延長される。
国鉄に対抗するため、最高速度が130km/hの新世代通勤・近郊型車両を採用し、今まで1時間以上(国鉄利用時)かかった天城~満弦ヶ崎間が最速35分に短縮された(現在はもっと速い)。
当時の国鉄は天ノ原から先が単線となり料金も高くなったため、利便性に圧倒的に勝る夢急の独壇場となった。国鉄も全線で快速運転をする新快速(快速は東鷲宮から先は各駅停車であった)を導入し、複線化や天ノ原までの高架化・増発・特定運賃の導入を行ったため、天城~東(西)天乃原間は国鉄に客が流れている(値引き運賃を導入した経緯でもある。その後夢急も複々線化を行った)。
しかし天城~満弦ヶ崎は新快速でも最速32分で夢急の急行よりも遅く、通勤定期を除けば料金も高くなってしまい、新快速の本数も昼間1時間2本(天乃原止は除く)であるため利便性では夢急のほうがはるかに上回る。
なお、天城からは東方急行電鉄田園都市線が北側へ延びており、直通運転をすることも考えられたが、夢急が標準軌、東方急行電鉄が狭軌と異なり、保安装置が異なるなど様々な問題があり却下された。ただし乗継割引制度もあり、天城での乗り換えも便利である。東方急行電鉄も国鉄と競合しておるが、所要時間の場合でもある程度の距離があれば夢急ー東急乗り換えの方が短くなる(ダイヤが乱れていなければであるが)。

臨時列車

天乃原線は設立の経緯から、複数の愛称つき列車が運転される。
  • 初日の出号
弓張海岸での初日の出の時間に合わせて1月1日の朝運転される。
該当列車は、初日の出の時間に合わせられた満弦ヶ崎中央→弓張海岸間の普通2本で、ヘッドマークも取り付けられる。
年によってはダイヤの都合のため1本に減らされたり、下記の快速急行「暁」に統合されて消滅する事もある。
  • 快速急行「暁」
同じく初日の出列車だが、こちらは満弦ヶ崎中央行き快速急行1本を弓張海岸行きに変更したものである。
年によってはダイヤの都合のため、2本に増やされたり、消滅する事もある。
2010年ダイヤ改正で早朝の下り快速急行の定期列車が消滅したため、臨時列車としての運転に変更された。
  • 特急「シーサイドアーバン」
海水浴シーズンの7月下旬~8月中旬まで運転されていた。
夢急本線六課発満弦ヶ崎中央行きの列車数本を弓張海岸まで運転区間を延長し運転されていた。
21001系電車、および21021系電車にはヘッドマークは付けられないため、車内案内で自動アナウンスが追加されていた。
  • 建国号
毎年2月11日の9時台の快速急行2往復にヘッドマークが取り付けられる。
  • 開業記念号
年によって運転されない事もあるが、天乃原線が開業した2月6日に運転される場合がある。
過去の運転実績では殆どが快速急行に充当されているが、まれに急行に充当される事もある。
  • 特急「すばる」
2008年8月に運転された臨時特急。満弦ヶ崎中央-古河線古河間で運転された。このときに同時に運転される特急の中では速達扱いになっている。
停車駅は、満弦ヶ崎中央-天乃原-海鳴-天城-中島-古河。
  • 特急「ランカスター」
2008年8月に運転された臨時特急。弓張海岸-古河線古河間を運転した。
停車駅は、弓張海岸-満弦ヶ崎中央-倉永-天乃原-海鳴-天城-水無月-一宮-中島-秋葉原-竜宮-古河。
2008年8月にはこれ以外にも臨時特急「キャロル」が夢急本線と古河線を走行する予定だが、走行距離については「ランカスター」が一番長い。2010年まで季節列車として運転したが、2011年は運転されないことが決まり、それ以降は運転されていない。

駅一覧

こちらを参照
弓張海岸駅を除く全駅で詳細型放送が導入されている。

ICカードの対応

2008年4月より、ICカード「CROCA」(クロカ)の使用が開始され、天乃原線では、弓張海岸駅では簡易改札を設ける他は全駅自動改札で対応する。

車両

ラインカラーは「青」。
設立の経緯のため、夢急本線とは異なる形式命名方式が使用されていた。
ホームライナーで使用される特急車は本線のものと同等のものが使用されるので省略した。現役一般車は2008年7月から形式変更を行った(ただし、V3000系だけ4月に形式変更して9800系に変更されている)。

車両史

設立当初はローカル線だったため、車両は全て単行で運転され、ラッシュ時に併結して運転する形を取っていた。
戦後も近代型の車両が導入されるのが遅く、2両編成で運転する車両が導入されたのは1956年と遅れを取った。しかも、このとき夢急本線ではカルダン駆動の車両を導入したのに対し、天乃原線の車両はほぼ完全新造だったとはいえ、吊り掛け駆動の車両だった。
天乃原線では1966年まで新造の吊り掛け駆動車が導入され、初のカルダン駆動車両が導入されたのは1967年のことだった。さらに、路面電車色が強いデ1型とデ101型が比較的長く使用されていたこともあり、輸送体質はなかなか改善されなかった。
以後、通勤路線となるまでは新車の投入が極力抑えられていたが、1995年に8800系が導入されて以降は、集中して新車を導入するようになった。

現役の車両

  • N8000系
2019年から導入した通勤車両。
車番が枯渇している影響から、2008年に取りやめた頭文字を復活させることになった。
8両編成の運用が増えていることから、一般車両としては初めて8両固定編成を導入する。
また、両編成によって異なっていた形式も統一される。8両編成は0番台、6両編成は30番台、4両編成は60番台から番号が割り振られる。2両編成は80番台から番号が割り当てられると告知されていたが、その後の計画変更で取りやめられた。
車体システムの二重系統化が強化され、故障しにくい車両とし、車両置き換え後の部品リサイクルに配慮したつくりになった。
老朽化が進行している8000系・8800系・9800系を置き換えた。
性能の違いから、それ以前との車両の連結は行えず、当面の間限定運用に入っている。
夢急の一般車として初めて当初から車内Wi-Fiを搭載した。
(8両編成)クN8100-モN8200-サN8300-モN8400-サN8500-モN8600-サN8700-モN8800
N8001F~N8018F(NE01~18)
(6両編成)クN8100-モN8200-サN8300-モN8600-サN8700-モN8800
N8031F~N8040F(NS31~40)
(4両編成)クN8100-モN8200-サN8700-モN8800
N8061F~N8068F(NF61~68)
編成記号は8両編成がNE、6両編成がNS、4両編成がNF(2両編成が登場していた場合、NTになっていた)。
SiC素子VVVFインバーター制御、電気指令式ブレーキ

  • 8060系
2014年の輸送増強に合わせて、各線で導入されているブレーキ機能を強化した車両を導入することとなった。
当初から電磁直通ブレーキとの読替装置を採用していないが、既に天乃原線系統の車両は全て電気指令式ブレーキに統一されているため、問題なく導入可能。ただし、ブレーキ性能については他形式と併結されている場合は落とされる。
(8061F~8068F[ES61~ES68])
ク8160-モ8060
  • 8860系
8060系を6両編成に仕様変更した車両。また、電動車と付随車の配置見直しを行っている。
(8861F~8865F[HS61~HS65])
ク8360-モ8460-モ8560-サ8660-モ8760-モ8860
  • 9860系
8860系のデュアルシート版。2016年に1編成が製造された。
(9861F[WS61])
ク9360-モ9460-モ9560-サ9660-モ9760-モ9860
  • 28000系
天乃原線の通勤ライナー・ホリデーライナー専用車両として、2017年に導入した。
8両固定編成として、全ての座席に電源を用意し、車内Wi-Fiサービスを提供する。
特急車に準ずる設備を持つため、他線区への入線も可能になるように設計される。
ク28800-モ28700-サ28600-モ28500-モ28400-サ28300-モ28200-ク28100
(28101F~28105F[AH01~AH05])

これらは全てSiC素子VVVFインバーター制御で、電気指令式ブレーキを採用する。
また、定速運転装置と高加速補助装置を取り付け、高速ダイヤに対応できるようにしている。

  • 8021系
2001年登場。ロングシート2両編成版。本線系統の5021系に該当する。
30編成60両存在しており、編成記号は「ED」。元D1021系。
2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。
(8021F~8050F[ED21~ED50])
ク8121-モ8021
  • 8821系
2002年登場。ロングシート6両編成版。本線系統の5821系に該当する。
16編成104両存在しており、編成記号は「HD」。トイレは付いていない。元D2021系。
2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。
(8821F~8832F[HD21~HD32])
ク8321-モ8421-モ8521-モ8621-モ8721-ク8821
  • 9821系
2002年登場。デュアルシート6両編成版。本線系統の3021系に該当する。
12編成72両存在しており、編成記号は「WD」。トイレは付いていない。元D3021系。
2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。
(9821F~9832F[WD21~WD32])
ク9321-モ9421-モ9521-モ9621-モ9721-ク9821

これらは全てIGBT素子VVVFインバーター制御で、電気指令式ブレーキを採用する。また、導入当初は電磁直通ブレーキ搭載車との混結も存在したため、ブレーキ読替装置を搭載している。定速運転装置と高加速補助装置を取り付け、高速ダイヤに対応できるようにしている。


過去の車両

  • 8000系
1992年登場。本線系統の1212系に該当する。最高速度120km/hであったため、一時期快速急行の運用に入ることは少なかった。すでに持て余し気味だったが、130km/h対応工事を行った。2008年6月まではV1000系だった。2020年から2021年にかけて廃車され、形式消滅した。
(8001F~8010F[EV01~EV10])
ク8100-モ8000
GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2009年から2010年までに電気指令式ブレーキに換装)

  • 8800系
1995年登場。本線系統の1410系に該当する。最高速度120km/hであったため、一時期快速急行の運用に入ることは少なかった。すでに持て余し気味だったが、130km/h対応工事を行った。2008年6月まではV2000系だった。2019年から2021年にかけて廃車され、形式消滅した。
(8801F~8805F[HV01~HV05])
ク8300-モ8400-モ8500-モ8600-モ8700-ク8800
GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2009年から2010年までに電気指令式ブレーキに換装)

  • 9800系
1998年登場、本線系統の3000系に該当するが、わずか1編成しか製造されなかった。
1編成6両のみ製造され。事実上天乃原線へのクロスシート導入のための試作車扱いされていた。2008年3月までは「V3000系」だった。
2005年より長期休車中だったが、2008年3月ダイヤ改正に合わせ、130km/h対応工事に着手した。2020年に廃車され、形式消滅した。デュアルシートについては、予備部品として保管している。
(9801F[WV01])
ク9300-モ9400-モ9500-モ9600-モ9700-ク9800
GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2008年にIGBT素子VVVFインバーター制御と電気指令式ブレーキに換装)

2008年までに全ての車両に定速運転装置と高加速補助装置を取り付けたほか、9800系のみ2008年の130km/h対応工事に着手した際、IGBT素子VVVFインバーター制御と電気指令式ブレーキに交換した。
また、2010年までに8000系と8800系のブレーキ装置を電気指令式ブレーキに交換した。
かつてはこれらの編成の頭文字に「V」が付いていた。これはVVVFインバーター制御車であることから由来している。
2016年ダイヤ改正以降、8000系・8800系・9800系は朝夕のラッシュ時を除いて快速急行の運用から退いていた。

  • C1000系
1983年登場。試作要素が強く、1編成2両しか製造されなかった。本線の1200系に該当する。
2002年に本線系統の1200系第5編成として本線に転属した。編成記号は「EC」。
(C1001F[EC01])
クC1100-モC1000
界磁チョッパ制御、電磁直通ブレーキ
  • C2000系
1985年登場。4編成16両しか製造されていない。本線の1400系に該当する。
電気指令式ブレーキを採用してしまったがために、最終的には行き場を失い、2002年に全車廃車・解体されてしまった。ドリーム21も電気指令式ブレーキを採用しているが、C2000系と併結試運転をしたところ、トラブルが多発したため使用できなかった。
夢急史上最も不遇の車両であったりする。編成記号は「LC」だった。なお、夢急が最後に中部車両に製造を発注した車両でもある。これ以後、中部車両との取引はない。
界磁チョッパ制御、電気指令式ブレーキ
(C2001F~C2004F[LC01~LC04])
クC2100-モC2050-サC2150-モC2000

以上の編成の頭文字「C」はチョッパ制御(Chopper)から由来している。

  • A1000系
1975年登場。本線の2400系に該当する。10編成20両製造された。
当初より冷房を搭載していた。2003年までに全車廃車。台車は本線の1000系に流用。編成記号「EA」。
クA1000-モA1050
(A1001F~A1010F[EA01~EA10])
抵抗制御、電磁直通ブレーキ
  • A2000系
1972年登場。本線の2400系に該当する。4両編成で10編成40両製造された。
現在は1編成のみデュアルシートに改造されて2400系に編入された編成があるほかは全車2004年までに廃車。編成記号「LA」。
クA2100-モA2000-モA2050-クA2150
(A2001F~A2010F[LA01~LA10])
抵抗制御、電磁直通ブレーキ

以上の編成の頭文字は「Air Conditioner」(エアコン)から由来している。

  • H1000系
1967年登場。本線の2010系・2030系に該当する。2両編成5本、4両編成10本製造された。
冷房改造は1976年頃行われた。廃車は1995年から始まり、1998年に全車廃車。
クH1000-モH1050
クH1000-モH1100-サH1120-モH1050
H1001F~H1015F(M01~M10[4両編成],M11~M15[2両編成])
抵抗制御、電磁直通ブレーキ
  • H1050系
1970年登場。天乃原線最初で最後のボックスシート搭載車。これに該当する本線系統の車両は存在しない。
10編成40両を製造。冷房改造は1980年頃実施。
廃車は1995年から始まり、2000年全廃。4扉車両に無理にボックスシートを入れたため、居住性に難があったため、末期は普通の運用が中心だった。
クH1050-モH1270-モH1200-クH1070
H1051F~H1060F(CM51~CM60)
抵抗制御、電磁直通ブレーキ
  • 3800系(2代目)
元は1969年に海鳴本線向けに投入された機器流用車を、1984年に初代20000系の電動機を流用し、カルダン駆動改造と冷房化を行い転属したものである。
8編成16両が導入され、冷房車の導入率を上げることに成功した。
また、吊り掛け車が残されていた天乃原線では、所要時間の短縮を行うことにも成功している。
8021系の導入が進んだため、2003年から2005年にかけて廃車された。
ク3800(奇数)-モ3800(偶数)
3801F~3815F(M51,M53,M55,M57,M59,M61.M63,M65)
抵抗制御、電磁直通ブレーキ

3800系を除く各編成の頭文字は高性能→「High efficiency」から由来している。

  • T100系
1951年の1500V昇圧時に登場。2両編成40本80両が製造された。
当初は100系(新)として登場したが、区別のために形式名が変更された。
冷房改造されることなく1991年までに全車廃車となった。
抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ

  • T1000系
1956年登場。吊り掛け駆動車。2両編成20本が製造された。
冷房改造されることなく1989年までに全車廃車。
抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更)

  • T2000系
1962年登場。2両編成5本を製造。事実上、T1000系の改良増備車。
T1000系との差は扇風機の搭載の有無である。
冷房改造されることなく1994年までに全車廃車。
T1000系の電動機は新造だったが、T2000系の電動機は流用であり、最終編成のみ空気バネ台車を装備していた。
抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更)

  • T3000系
1965年登場。4両編成5本を製造。T2000系を4両編成にしたものである。
こちらは1980年~1982年に冷房改造とカルダン駆動改造を受けて、1992年までに全車廃車。保存車はない。
電動機を旧型車両から流用した吊り掛け駆動の車両だったが、台車は新造の空気バネ台車であり、
夢急本線の車両より若干早く本格採用されていた。
抵抗制御(改造前は吊り掛け、改造後はカルダン駆動)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更)

以上の編成の頭文字は吊り掛け駆動→「Tsurikake」から由来したものと思われる。

  • デ1型
1927年天電開通時の車両。両運転台で、最大4両編成まで増結可能だった。しかし、実際は戦後になってからでないと4両運転は行っていない。夢急合併後は20形と形式名が改められた。
合計56両を製造。戦争時にデ23とデ42を消失し、そのまま廃車している。その他は1970年までにすべて廃車した。デ1のみ天乃原車庫に保存されている。
満弦ヶ崎~弓張海岸間の列車にも使用されていたが、当時は天電の線路がつながっていなかったため、わざわざ狭軌台車に履き替えて国鉄経由で車両を送り込み、満弦ヶ崎駅まで運転し、再び標準軌台車に履き替える作業を行っていた。
抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ

  • デ101型
1932年、天電が延伸した際に増備した車両。デ101型のみであれば最大6両編成まで運転可能となる。しかし、実際は戦後になってからでないと6両運転は行っていない。夢急合併後は100形と形式名が改められた。
合計24両を製造。戦争時にデ121を消失し、そのまま廃車している。その他は1973年までに全て廃車した。デ124のみ天乃原車庫に保存されている。
抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ
最終更新:2023年12月21日 22:27