日経の展望

8月暴落前後のイベント


経済成長率・全18市場中17位の国

8月の暴落で全世界の市場がピークから6~9%落ち込みましたが、9月19日の
FOMCでのFF金利0.5%引き下げに触発され、世界市場は混乱から脱却する切っ掛けを造り
BRICsは暴落以前のピークを遥かに追い越し、ダウ市場も含めて他国の市場は完全に回復しました。
世界経済の混乱は沈静化しつつありますが唯一、主要経済国の中で取り残された市場があります。
日経です。

07年2月の暴落以降、最も成長が遅い事を指摘されていた上
8月の暴落時にはピークから-17%落ち込み、世界が沈静化しつつある中で
FOMC前で-13~15%、FF金利引下げの報道後も-8~9%あたりで推移している。

原因はいろいろあります。
  • 政権が混乱して構造改革路線が停滞しつつある。
  • 円キャリーによる差益が以前ほど期待できない。
  • 新興国と比べ、リターンが薄く買い支えるに値しない。
  • 三角持合が解禁されたにも関わらず企業や国内株主の海外からのTOBの断固拒否の姿勢
  • 儲けてる企業ですら末端の給料が良く無い(個人消費が拡大せず内需が潤わないから国が強くならない)
  • 法人税が国際水準と比べて異様に高い

外国人にとって、ここらへんのマイナス印象が強いようです。
日経にとっては凶悪な害でしかなかった安倍総理が辞めた事で多少はマシになると思いますが
一度、手放した内需株や新興株をもう一度買いなおしたいと思う人が中々出てこない状態が続いた結果
日本は他の市場の上昇に牽引される事なく低調なまま燻っていました。
FOMC後に何とか大手ファンドが建設、不動産といった内需関連株や金融株を若干買い越して
日経平均を押し上げましたが、それでも強く騰がっていく力がありません。。

加えて、日経特有の事情として先物の売り仕掛けがし易く、特に騰がる材料がない場合
先物がどんどん下がっていって現物株の足を引っ張ります。
どうしても、日経が暴落してくれないと困る人が居るようで、彼らの活躍あって日経は
強い材料があっても踏みあがれない、極めて脆弱な市場になりました。

日本は他国と比べて株を売り易い市場らしいです。
売り仕掛けがし易いから売る。売るから株価は下がる。
良い所まで騰がったら売り仕掛けて株価を落としたがる。
こんなマネーゲーム的な仕掛けばかりやっていれば、外国人投資家から嫌われて当然だと思います。

外国人投資家から見れば、閉鎖的で特殊なルールが存在して、事業内容を考えれば
騰がっておかしく無い株が、わけの分からない下がり方をして思い通りにいかない。
他の国と比べて魅力の無い市場なので、それまで構造改革路線に期待して
損をしても我慢して買い越して来た海外の大手ファンドは日経から
大幅にポジションを落とすことを宣言しました。
ここ最近でも日本の株で損をして、日本以外の株の利益で補填したりするファンドも多く
世界的に日本株をスルーして欧米と日本以外のアジアだけを相手にする
ジャパン・パッシング(japan passing)が起きています。

それまで日経の6割以上を占めていた海外の資金が抜けたので
暴落以後は商いが薄く、売買代金が3兆円を越える大商いは一度もありません。
商いが薄いから、更に先物が幅を利かせ下がり、現物が売られる悪循環。

個人から見ても、一部注目されている外需関連銘柄以外は注目する価値がありません。
海外投資家は関心を示さなくなり、国内の個人投資家は海外市場に目を向ける。
日経はつまりそういう市場です。
まともに関わる価値はほとんど無いと言っても良いと思います。


市場から見た日本人の性格

日本人は「和を重んじる」と言いますが結局の所、内輪の馴れ合いが好きで
内輪の独自ルールを勝手に世間の法律にしたがる傾向があります。
とにかく駆け引きが好きで、力押しを良しとしないので市場の流れも分かり難い。
鉱工業生産が良くても鉄が下がったり、機械受注が良いのに機械株が下がったり
人と逆の事をやりたがりロジックを捻じ曲げる意地汚さが株価に出ているので
世界の市場の中でも特にとても嫌な奴らが仕切っている市場、と言う印象があります。
海外の投資家から言わせると「日本人は国を強くしたがらない目先の上前を
掠め取ることにしか興味が無い最低のプレーヤー」だそうです。

05年の強い上昇は個人投資家が大量に入ってきた新興ブームがあったことに加え
「国が強くなるためには規制緩和が重要」と言う小泉さんの構造改革路線に
外国人投資家が啓蒙されたことにより日本株が注目された株ブームがあったからの上昇で
今は、その両方ともありません。
ライブドアと村上ファンドが新興の信頼を失墜させ、個人は海外投資とFXに逃げ
安倍・元総理が構造改革路線の停滞を図らずも促させてしまい外国人は、やや手控えムード。
自立できず国内指標よりアメリカの指標に大きく左右される、アメリカの奴属市場で
世界18の市場の中で成長率17位(マイナス成長)のダメ市場。 それが日経です。

日経はそう言うモノなのです。アメリカの下請けです。経済的奴隷です。
外国人が居なかったら市場として成り立ちません。
株価がそう言ってるのでここは、もう割り切ってください。


つまり

今からやるならインド市場や香港ハンセン指数、
或いは暴落以降もそこそこ買われてる一部の国内株だけを対象にした方が良いです。
内需のプットも良さげに見えますが、これも場合によっては意味不明な買い支えられ方をして
テクニカルを無視してくる。
騰がるにせよ下がるにせよ、分かり易さや読み易さが何より重要なので
今の日経自体が、ワラントに向いて居ない、あまり良い市場とはいえません。


じゃあ日経はダメなのか?

と言うと、それも違うと思います。
良い点
  • 安倍さんが居ない。
  • 新政権の発足。当然、構造改革路線を強く推してるので
 ある程度結果が見えれば、外国人にもう一度見直されるかも知れない。
  • 郵政公社が民営化前に大幅に売りこしてきている。
 民営化後は割安株を強く買い越してくる可能性が高い
  • 末端の最低賃金が向上しつつある、短期的にはマイナスだがトータルではプラス
  • 法人税を見直す動きがあり、今後低減する可能性が高い
  • 株取引の課税が10%据え置きのままになった(民主党は30%にしろとか言ってる)
  • 日興コーディアルが米シティグループに吸収合併
 三角合併第一号の登場で、外資とのM&Aの火付けになる可能性もある

悪い点
  • 外国人の日経に対する様子見は暫く続く
  • FRBの利下げで円ドル124円とかの異常な円安特需は今後見込めない。
  • 新興を誰も買い支えない、買い向かう理由がまったく無い
  • 利上げが当面見送られ金融株が弱体化する可能性もある

今、日経が下がってる理由は市場への不信で、企業業績そのものは
どこも相当良いので、次の決算発表で見直される前に主力企業の
満期の遠いワラントを買い仕込んでおくのが上策に思えます。

日経は暴落の混乱を抜けて、かなり安定してきたと思います。
ユルい上昇相場で通用した基本的な手段が、かなり使えるようになってきたので
ここよりも普通の投資指南の本を見た方が戦略は組み立て易いかもしれません。

逆に暴落地合で使えた手段は使えなくなりました。
相場が変われば手段も変わるので、知ってしまうと逆にノイズになるような
手段もありますが、一応「過去に通用した」事を前提に書き込みます。

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最終更新:2007年10月06日 06:23
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