瑚瑠@ ウィキ

08A

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coryuu

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2008年度 国立HighQualityGameFactory大学 入学者選抜 前期日程
瑚瑠A  100分150点

Ⅰ.
次の文章は白河珋珱著『水泳部物語』の一節である。
場面は水泳部員達が、ランニングトレーニングの試験を鬼監督の後藤の下で行っているところである。
よく読んであとの問いに答えよ。


 後藤は命一杯の怒鳴り声を沙紀にぶつけると(*1)今朝と同じように 沙紀のセーラー服の胸倉をいとも簡単に掴んだ。今にも地面から足が離れそうなほどつきあげられて爪先立ち状態になっている。
「どういうことだ!」
 再び怒鳴り声が襲い掛かる。
「むちゃくちゃだ!」
 声はもはやただの騒音でしかなく言葉を聞き取るのは困難で、たとえ言葉が聞き取れても息切れしておまけに胸倉をつかまれているのでその意味を考えることはできなかった。
「最初に言った筈だろうが!
 3週とも均等にしろと!
今まで審査を見てきてわからなかったのか!!」
後藤は新しい言葉を発する度に勢いがましていた。沙紀は声を出そうにもまだ息切れが苦しいうえ胸倉を掴まれているため声がでない。
 (1)しかも肉体的だけでなく、同時に恐怖による精神的にも声が出なかった。
「なんとかいってみろ!」
 渾身の怒鳴り声が鳴り響いた。沙紀は体中に電流が走ったような気分だった。何か言わないと・・・そうでなければどんな仕打ちを・・・でも苦しくて声が出ない。
「貴様には呆れ果てるわ!」
 後藤はそう言い放つと先ほどの亜莉沙と、今朝と同じように沙紀をプールに叩き落した。今まで後藤は散々生徒をプールに叩き落してきたが、今回が一番豪快であった。その水を打つ音は今までとは比にならないほどだった。水面に隕石が落ちてきたかのように水面は大きく荒れた。
「ハァ、ハァ」
 水面から顔を出した沙紀は水に落ちた時の衝撃でますます苦しそうだった。せっかく乾いてきていた制服も髪も全て元通りであった。沙紀はプールに浸ったまま呼吸が落ち着くのを待った。しかしその間もぐんぐんセーラー服が水を吸っていた。呼吸が落ちついたころ後藤が口を開いた。
「お前には付き合いきれん!」
後藤の怒鳴り声が落石のように沙紀に降りかかった。
「お願いです!私も審査してください!」
 (2)ありったけの勇気を振り絞って沙紀が言った。
「ふざけるな!」
「お願いです!」
 沙紀は後藤の怒鳴り声に負けじと声を荒げた。後藤はじっと沙紀を黙って睨み続けたがやがて口を開いた。
「上がれ」
 ようやく落ち着いた声で言った。
「はい」
 沙紀も落ち着いてそういうと言われたとおりプールサイドへ上がった。今朝より長時間水中にいたことと、プールに落ちたのが2度目だったため、セーラー服が吸った水の量は半端でなかった重い服を着ているとうよりかは背負っているかのような状態だった。沙紀は大量の水を垂らしながらプールサイドに這い上がった。プールから這い上がったときの吸った水と垂れている水の量に於いても、後藤が散々プールに叩き落してきた生徒の中で最も多かった。
「入れ」
後藤はシャワーを指差して言った。
「はい」
 沙紀はそう答えると体中から滝のように水を垂らしながらシャワーの下へ向かった。沙紀がシャワーの下へ着くと後藤はバルブを全開に捻った。もはやシャワーというよいかは、巨大なバケツをひっくり返したかのような水が沙紀を襲った。
「ワシが水を止めるまでずっとそこに入っていろ。そうしたら審査をしてやろう」
 シャワーの轟音の向こうから後藤の声がかすかに聞こえてきた。外からは沙紀がどうなっているか見えなかった。(3)沙紀のセーラー服はもはや買ってから1ヶ月すら経ってないというのが嘘のようだった。とっくにセーラー服は飽和状態でまるで海草のようでみっともない状態だった。
「お前達はさっさと飯を食って練習でも始めていろ」
プールサイドで唖然として座っている他の部員達に向かって後藤は言い放つとそれっきり黙ったままだった。後藤のいるところで落ち着いて食事ができるはずがない。(A)部員達は全員プールサイドから立ち去ると適当なところを見つけそれぞれ弁当を食べ始めた。プールサイドには疲れきって沈黙する後藤と、海女のように体中びしょぬれの沙紀だけだった。そしてまるでそこは天然の滝のように凄まじい水音がするだけで他はいたって静かだった。(4)沙紀はもはや”何か”が体にのしかかっているという感覚しかしなかった。自分が濡れているかどうかも、ましてや今着ている服が新品のセーラー服だということも忘れそうだった。しかし沙紀は決して姿勢を崩そうともしなければ出ようともしなかった。絶対に後藤に負けてはいけない。(*2)後藤と初めてであった日の夕方 と同じ、沙紀は決意で燃えていた。いくら水が降りかかると沙紀の炎が消えることはなかった。
 本当にそこはまるで天然の滝のようである。プールサイドへの通路の入り口に立てば、(B)誰もがその奥には滝があるのではと一瞬でも思ってしまうに違いない。どれだけ時間が経っただろうか。当然、沙紀は時間間隔も麻痺していた。聞こえてくるのは滝の音、目に見えるのも滝。頭に降りかかるのも滝。体に身につけているものは何かわからない。いったいどれくらい時間が経ったのかもわからない。沙紀は既にあらゆる感覚がおかしくなっていた。
 やがて昼食を終えた部員達が戻ってきた。しかし沙紀はそれすら気づかなかった。後藤は部長の美香に練習の監督と沙紀の監視を任せるとプールサイドを立ち去った。美香は沙紀の監視を行う事は不本意であり、どうせなら今すぐこの滝をとめてやりたかったが、何せ後藤の恐ろしさ故、従うしかなかった。しかし沙紀は後藤が立ち去ったことも、 (5)美香が滝をとめるべきか葛藤している ことも、滝の中にいたのでは当然知る由がなかった。
 そして滝のような音がプール中に響く中、いつもどおり黙々と練習が始まった。やがて後藤も昼食を終えて戻ってくると、沙紀の監視に戻り同時に練習の監督も務めた。
 沙紀が滝に入れられて2時間は経っただろうか。しかし沙紀にとっては1日中入れられているような気がした。石像のようにじっと立っていた後藤はついにその重い足取りで滝の方へ歩み寄った。そしてとうとう滝を止めた。後藤がバルブを回していくと次第に滝はただのシャワーに戻ってゆき、やがてそれも止まった。
 沙紀は頭がグラグラしている。(C)さっきまでの滝の轟音は今では嘘のようになくなり、いつもの異様な静けさが戻っていた。沙紀は暫く全ての感覚が麻痺していたがやがて我に返った。今まで頭に降りかかっていたのは滝ではないシャワーだった。あの轟音も目に見えていたのもシャワー。そして、今、体に身につけているのは紛れもなくセーラー服。すっかり醜い姿になっているけれどそれは確かに一ヶ月前に買った新品。どす黒い色に漆黒の光沢、みすぼらしく収縮し体に張り付く黒衣とヨレヨレのスカーフ。およそ制服には見えない出で立ちだった。そして海女のように髪はべっとりと顔に張り付き、(6)海藻のようになったセーラー服 からも髪からもさっきの滝に負けじと絶えず水が流れ落ちている。なぜこんなことをされたのか、そしてこれから何をするのかも思い出した。
「約束通り審査をしてやろう」
 落ち着き払って後藤が言った。
「お願いします」
 滝によってボロボロになった口からやっとのことで言葉が発せられた。
「始めのランニングからもう一度やれ」
 後藤はそういい終わるやいなやストップウォッチを押した。沙紀は慌てて走りだした。しかし、先ほどまで滝の中で立たされ続けていたからだではやはり走ることは困難であった。まっすぐ歩くことすらままならない体である。(7)しかしこれでまた後藤を怒らせたのではイタチごっこである。沙紀は懸命に走った。足の感覚が完全に復活するまでできるだけ無理をしないように。他の部員達はすっかり練習を止めて、午前中の審査のときと同じように一列に並んで今度は起立して沙紀を見守った。

(*1) この日の午前、沙紀は遅刻してセーラー服のままプールにおとされている。
(*2) 後藤の水泳部顧問就任の日、沙紀は親友の亜莉沙とともに、ランニング中走るのが遅いという理由で
プールに落とされ、そのまま強制的に帰宅され、その途中で泣きながら後藤と戦うことを決意した。



問1.傍線部(1)(2)のときの沙紀の心情について、それぞれ70字以内で述べよ。
ただし、本文の場面時間より前の出来事で分かる範囲の出来事を踏まえる事。

問2.傍線部(3)「沙紀のセーラー服はもはや買ってから1ヶ月すら経ってないというのが嘘のようだった。」
とあるが、その様子が最も生々しくえがかれている一文の最初の5文字を抜き出せ。

問3.傍線部(4)「沙紀はもはや”何か”が体にのしかかっているという感覚しかしなかった。」
とあるが、この表現はどういうことを表しているのか。具体的に説明せよ。

問4.傍線部(5)「美香が滝をとめるべきか葛藤している」とあるが、「美香」はなぜ「葛藤」しているのか、
分かりやすく説明せよ。

問5.傍線部(6)「海藻のようになったセーラー服」と同じような表現をしている一文を抜き出せ。

問6.傍線部(7)「しかしこれでまた後藤を怒らせたのではイタチごっこである。」とあるが、
もしも後藤をもう一度怒らせるとどうなると考えられるか。「イタチごっこ」という言葉に留意しつつ、
後藤を怒らせうる可能性も含めて70字程度で述べよ。

問7.本文中の後藤の心情の変化について順を追って詳しく述べよ。

問8.傍線部(A)~(C)を英訳せよ。





Ⅱ.瑚瑠史について以下の問いに答えよ。 
問1.白河珋珱が運営しているサイトの初代の名前を答えよ。
問2.レピィルが一番最初にサイトを設立したのは何月何日か。
またサイト名とその設立を援助した人物の名前を答えよ。
問3.レピィルが自衛のために生み出した思念体の名前と出身地、サイト名を答えよ。
問4.セラフィックブルー小説事件は瑚瑠が何歳のときに発生したか「何歳何ヶ月」という形で答えよ。
問5.レピィル事件終盤、ツクールブリッジのチャットで行われていた密会に参加した二人の思念体について、
その実態、行動を250字以内で記述せよ。



Ⅲ.瑚瑠のゲームに関して以下の問いに答えよ。
問1.レピィル名義で3番目に公開されたゲーム名を答えよ。
問2.デビルバスターズの三魔王の名前を「○○王□□」という形で全て挙げよ。
問3.禁断の石の主人公の名前をフルネームで答えよ。
問4.エターナルブレイブの没システムで、習技書というものが存在する。その概要を80字以内で説明せよ。
問5.デビルバスターズにおいて、最も致命的な2大バグが存在する。その概要を100字以内で説明せよ。
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